第12話 翌日
1日3本ペースで投稿していきます!
ライアス様に指の手当てをしていただい翌日の昼前。
足音が聞こえた。
いつもと同じ迷いのない歩き方だった。
(来た)
私は包丁の持ちてを確認した。
また同じドジを踏むわけにはいかない。
ライアス様が厨房の入口に立った。
「傷は---」
「問題ありません」
「動かせるか」
「はい、包帯のおかげで」
「そうか」
そう言って、ライアス様は椅子に座った。
書類を開いた。
(それだけか…)
昨日のことを引きずるような人ではない。
分かっている。
でも「今日は何をつかう」よりも、傷のことについて聞いてきた。
私は野菜を刻みながら、それを考えていた。
今日は牛肉を使う。
食材の声は「骨を温める」と言っていた。
秋が深まるにつれて、体の芯から冷えやすくなる…
前世で、患者の栄養指導をしていたときは、季節ごとに食材を変える必要性を何度もしてきた。
牛肉に含まれる鉄分は、冬場の冷えに特に効く。
「今日は牛肉がメインです」
「理由は」
「体が冷えやすい季節になってきたので、鉄分で体を温めます。煮込みにすると体が芯まで温まります」
ライアス様は頷いた。紙をめくる音がした。
ナベを火にかけた
しばらく、静かな時間が続いた。
「…フィーナ」
「はい」
「今の包帯は自分で巻いたのか」
「…いいえ」
ライアス様が、紙をめくる手を止めた。
「…そうか」
今の「そうか」は、いつものとは違う色をしていた。
どういった意味だったんだろう。
答えがでないまま、私は鍋をかき混ぜ続けた。
出来上がった煮込みをさらに盛り付けていたとき、
ライアス様が私にいった
「次に切ったとき」
「はい」
「ペリーを呼ぶよりも私に言え」
「…なぜですか」
「ペリーは慌てる」
「あの人は慌てても作業に影響が出る人ではありませんよ
「私が慌てさせたくない」
(え)
「…ライアス様がですか」
「ペリーが慌てると周りが騒ぎになる。騒がしいのは嫌いだ。」
「…そういう理由ですか」
「ああ」
ライアスは書類に目を戻した。
話しは終わりだ、というような態度だった。
私は皿をテーブルに置いた。
(騒がしいのは嫌い)
それは本当なのだろう。
でも、
「先にいえ---」という言葉の意味は、たぶん少しだけ別のところにあるような気がした。
そう思ったのはちょっとした、自分の願望も含まれているのかもしれない。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
これからは、自分のペースで執筆をつづけていくつもりです。
評価やブックマークで応援していただけると励みになります。




