第五 司の衣
南の町の教会では、聖燭の月の前に打ち明けの日がある。町の者が順に教会へ来て、幕の向こうに座った司に、人に言えずにいたことを言って帰る日で、幕があるのは顔を見ないためである。司は幕の向こうで聞くだけで、聞いたことを外へ持ち出さず、誰が来たかも数えない。これは語った司が自分の町のことだと言った話で、衣を貸したのは自分だと、語る前に白状した。
町に蝋燭屋がいて、教会の蝋燭を二十年納めていた。女房は蝋燭屋より十は若く、教会へよく行き、蝋燭屋はそれを蝋燭を納めるためだとは思っていなかった。打ち明けの日が近づくと、蝋燭屋は司のところへ来て、一日だけ衣を貸してくれ、と言った。幕の向こうに座って、女房が何を打ち明けるか聞きたいのだという。司は断ったが、蝋燭屋は、聖燭の月の蝋燭を納められないかもしれない、と言った。教会の聖燭の月は蝋燭で持っているので、司は衣を貸し、聞いたことは幕の向こうに置いて帰れ、とだけ言った。
打ち明けの日、蝋燭屋は司の衣を着て幕の向こうに座った。衣は丈が長くて袖は手を隠し、頭巾は顔を隠したが、幕は床まで届いていなかった。町の者が順に来て、順に打ち明けて帰り、蝋燭屋は朝のうちに町じゅうの隠しごとを聞いて、聞きたい一つだけをまだ聞いていなかった。昼過ぎに女房が来て幕の前に座り、幕の下を見た。幕の下に履物の先が見えていて、その履物は女房が冬に縫い直したものだった。女房は幕に向かって、言いにくいことがある、と言い、幕の向こうが黙っているので先を続けた。毎晩、司の衣を着た人が家に来る。裏の戸から来て、朝まで帰らない。亭主は何も知らない。幕の向こうで衣の擦れる音がして、やめなさい、と司の声ではない声が言った。女房は、やめても毎晩来る、と言って帰った。
蝋燭屋はその日の夕方に衣を返しに来なかった。衣を着たまま家に戻り、女房には教会の用だと言い、暗くなると棍棒を持って裏の戸の外に立った。女房は裏の戸の閂を掛け、表の戸の閂を外した。通りの向かいの桶屋の息子は女房に言われたとおり表の戸から入り、朝まで帰らなかった。蝋燭屋は裏の戸の外で朝まで司を待ち、来ないので、来ない日もあるのだと思った。
次の夜も蝋燭屋は衣を着て裏の戸の外に立ち、女房は表の戸の閂を外した。衣を脱がないのは、夜が冷えるからだという。三日目は夜回りに見とがめられて、司の衣を見せて通してもらい、四日目に雨が降った。蝋燭屋は衣を濡らして朝に入ってきて、女房は湯を出した。蝋燭屋は湯を飲みながら、毎晩来るというのは嘘だったのか、と聞いた。女房は、嘘ではない、と言った。司の衣を着た人は、この四日、毎晩うちに来て朝まで帰らなかった。打ち明けの日に幕の向こうにいたのも、毎晩裏の戸に立っていたのも、司の衣を着た人だった。
蝋燭屋は湯を置いて、自分の着ている衣を見た。それから、誰が幕の向こうにいたと思っていた、と聞いた。女房は、履物を見れば分かる、と言った。蝋燭屋は衣を脱いで畳み、司のところへ持って行った。四日着た衣は蝋の匂いがして、裾は泥で重かった。司は衣を受け取って何も聞かず、蝋燭屋も何も言わなかった。表の戸のことは司は聞いていない。聖燭の月の蝋燭はいつもの数だけ納められ、いつもより少し安かった。司が語ったのはそこまでで、あとは一言だけ言った。衣は返してもらった。
女将の字で、四年前の青葉の月、南の教会の司、王都へ上る途中、酒は飲まなかった、とある。
私が足したのは、履物のくだりだけだ。書き取りでは、女房がなぜ気づいたかは書いてない。




