表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/58

042:オフ会の二次会

◇2041年3月@福島県郡山市 <関口仁志>


今回の「未確認飛行少女(UFG)情報サイト」のオフ会は、実は二次会の方がメインだったりする。


オフ会終了後、最初に二瓶丈晃にへいたけあきが慌ただしく出て行った。どうやら、別の待ち合わせがあるらしい。

そんな二瓶を関口仁志(ひとし)が見送った後、大槻乙音おおつきおとね阿部鶴衣あべつるえがバックヤードへ消えて行った。恐らく、メイドコスからの着替えの為だろう。

次に、朝香あさか高校UFO研究会会長の柳田と副会長の小野が、江尻貴志えじりたかしを伴って出て行った。三人は、未だ理系大学の受験対策について話したりなかったようだ。

その時点で早坂柊耶(しゅうや)と佐々木(じゅん)が、大槻玲音(れおん)を逃がさない形で立っていたので、関口が『何だろうと?』思っていると、着替えを終えてバックヤードから出て来た阿部鶴衣が「お待たせーっ!」と言いながら、男子三人を従えて出て行った。柊耶に確認すると、四人でカラオケに行くとの事だった。


そうして気が付くと、店内には関口の外に、四月から東都大学へ進学する早坂琴音(ことね)と、現生徒会長の宗像千乃むなかたちのだけがいて、そこに、ようやく着替えを終えて戻って来た大槻乙音が加わった。


「ごめんなさーい、遅くなっちゃいましたーっ! それじゃあ、行きましょう」


そんな風に大槻乙音に先導された三人が向かったのは、郡山の駅前繁華街の隅の方にあるカラオケボックスだった。



★★★



「ねえ、乙音おとね鶴衣つるえちゃん達と鉢合わせたりしないよね?」


不安そうに宗像千乃むなかたちのが訊くと、大槻乙音が「大丈夫ですよ。鶴衣ちゃんが行く予定の所は、確認済みですから」との事。


入口で手続きをしていると、三人の「ムシ」達、矢吹天音やぶきあまね玉根凜華たまねりんか大槻由佳おおつきゆかが店にやって来た。ここには既に来ていて、近くのビルの屋上から関口達が現れるのを見張っていたそうだ。

個室に入って、ようやく関口は気付いた。彼以外の六人は、全員が女子じゃないか……。


「ふふっ、相変わらず関口さんって、ハーレム体質なのね」

「何だい? そのハーレム体質って?」

「本人は無自覚のままに、大勢の女子を引き寄せる男子の事よ」


大槻乙音が、訳の分からない事を言い出した。でも、琴音と千乃の二人は、こういった乙音の言動には慣れているのか、完全にスルー。天音が不安げな目を向けて来たと思ったら、隣の凜華が「大丈夫ですよー。誰も天音さんの関口さん、取ったりしないから」と言う。


「ふーん、関口さんって、天音ちゃんの彼氏なんだあ……あ、紹介しなきゃね。早坂琴音さんと宗像千乃だよ。琴音先輩は先代の朝香高校生徒会長で、千乃は今の生徒会長。一応、私は副会長をやってます」

「私が、矢吹天音って言います。来月から岩木高校に入学します。で、こちらが……」

「凜華ちゃんでしょう? 由佳ちゃんが『ムシ』になった後のお祝いの会の時に会ってるから、紹介は不要よ。凜華ちゃんは、来年、うちの高校に入ってもらわないとね。そしたら、生徒会とUFO研へ強制的に入ってもらうから」

「ええーっ、強制なんですか?」

「大丈夫。これから、どんどん女子を集めて行くから。その為にも、玲音れおんくんは絶対に捕まえとかなきゃね」

「ううっ、お兄ちゃん、可愛そう」

「大丈夫。うちの弟と鶴衣つるえちゃんに、ちゃんと指示しといたから……あ、鶴衣ちゃんってのは、生徒会の会計の子ね」

「えーと、早坂さん……」

「琴音で良いよ」

「琴音さんの弟さんって、例の痴漢くんですよね?」


安斎真凛あんざいまりんだけ温泉の露天風呂に入っている所を、朝香高校の早坂と佐々木って男子が覗いていたのは、「ムシ」達の間で情報共有されている。しかも、「妖精ちゃん」とか気持ち悪い事を呟いていたとか……。

「ムシ」の子は耳が良いので、どんな呟きも聞き取れてしまうのだ。


「大丈夫よ、凜華ちゃん。その子達、柊耶しゅうやくんとじゅんくんって言うんだけど、二人共、うちらで徹底的にお説教しといたから。現在は生徒会メンバーに加えて、矯正プログラム発動中よ」

「うーん、何か怖そう。てか、朝香高校の生徒会って、そういう所なんですか?」

「女の子には、みんな、優しいから大丈夫。てか、ほとんど女子なんだけどね」

「千乃が言う通りなんだけど、柊耶って、結構、見栄えが良くて女子にはモテるのよ。淳くんは眼鏡男子なんだけど、そっちも割と需要があるみたいだから、その二人を全面に出して、来月はUFO研の女子獲得大作戦をやるつもり」

「あ、あの、それって……」

「部室も女の子仕様に変更中だし、凜華ちゃんが入学する頃には、居心地が良い部になってるって保証するわ」

「あ、はい。ありがとうございます?」


凜華が疑問形でお礼を言った。いつもは元気な凜華なのに、今日は朝香高校生徒会のお姉さん達の勢いにタジタジになっている所が、少し可笑しい。


「それより、関口さんは、東京の「ムシ」達の事が気になるんですよね?」


琴音の言葉で、ようやく関口は、本題に入る事ができそうだった。



★★★



早坂琴音(ことね)は、家族や親戚に「ムシ」や予備軍の子がいる訳ではない。それなのに、この場に同席しているのは、大槻乙音の強い推薦があったからだ。

乙音が言うには、琴音は正義感に溢れた女性という事だった。たぶん、先代の生徒会長として、それだけ頼りがいがあるという事なんだろう。


関口としても、東京に「ムシ」のサポーターがいる事は非常に有難い。

現在の東京近辺での「ムシ」は二名。いずれも社長令嬢なので、本音を言えば、父親を「茶髪の子の保護者会」に引き込んで、その社会的地位を活用したい所だ。だけど、二人とも家庭の事情があるようで、彼女達の「時間を下さい」という申し出を受け入れて、もう少し待つ事にしていた。

とはいえ、「ムシ」達のサポート体制は、本来、東京の方が優先順位が高い。そういう意味で、少しでも多くのサポーターを確保しておきたいのだ。


「関口さんのおっしゃる事は分かりました。ただ、私も東京で暮らすのは初めてですし、大学で直ぐに友人が得られるか分かりませんので、少しお時間を頂きたいと思います」

「当然だよ。そもそも、僕だって同じような立場だからさ。たぶん、四月のうちは難しいだろうから、五月のゴールデンウィーク開けにでも、集まらないか? 理想を言うと、その時までに新しいサポーターが見付けられれば良いんだけどね」

「まあ、関口さんよりは、琴音さんの方がコミュ力ありそうだもんね」

「こら、乙音。関口さんに失礼でしょうが」

「あ、はい。ごめんなさい」

「あの、関口さん。さっきの申し出、承りました。頑張ってみます」

「早坂さん。僕に敬語は不要だよ」

「そうですか。じゃあ、私の事を琴音と呼んで頂ければ……」


途中で琴音が、何故か急に言葉を止めてしまった。代わりに乙音が声を上げる。


「もう、天音ちゃんったら、さっき、凜華ちゃんが言ったように、関口さんは誰も取らないから大丈夫だよー」

「あ、あの、私も別に異論がある訳じゃ……」

「ふふっ。天音さん、大丈夫ですって。ここにいる全員が、天音さんの味方ですから」

「えっ、それって、僕の立場は……」

「まあ、関口さんは、今まで以上に頑張ってもらわないとだね」

「そうそう。早く鈍感王子って称号は返上して下さいよー」

「もう、凜華まで」


天音が拗ねた様子なのが関口には気になったけど、その前に琴音が「連絡先を交換しましょう」と言い出したので、そっちに彼は注意を向けてしまった。

関口は、琴音と千乃との間で連絡先を交換し、確認の為にスマホのアドレス帳を開く。そこには、いつの間にか何十人もの名前が並んでいて、その九割以上が女性だ。

関口は、『何で、こんな事になったんだろう?』と改めて溜め息を吐いた。


それから、さっきのオフ会で二瓶丈晃と話していた「ムシ因子」の事になった。


「なるほど……、この中で『ムシ因子』を持たないのは、私と関口さんだけって事ですね?」

「そういう事になるのかな? ていうか、今の所、『ムシ』は女子しか発現しないから、男子には無いって考え方もあるよね」

「その辺は、直ぐには分からないと思います。それより、西日本の『ムシ』達の調査の方が大事ですね?」

「そうだね。と言っても、今から旅行って訳には行かないだろうし……」

「ポイントは、『「ムシ」の子を連れてないと意味がない』って点だと思います。うーん、やっぱり、もう少し時間が必要ですね」


何もかも後回しな気がするけど、取り敢えずは『課題が分かった事だけでも良しとすべし』と関口は思った。


この後は、「せっかくだし、もったいないから……」との事で、いきなり立ち上がった大槻乙音が、女性アイドルグループの曲を振り付きで歌い出し、その後は、女子だけでのカラオケ大会。何度か関口は参加を促されたけど、恥ずかしくて、絶対ムリ。

それでも、ここにいるのは可愛い子ばかりだし、そこそこ歌だって上手い。よって、見ているだけでも楽しくて、関口としても、まさに夢のような束の間のひと時を過ごしたのだった。




END042


当作品を読みにきて頂きまして、どうもありがとうございます。

閑話的な話が続いていましたが、次話からは再び紗理奈の視点に戻ります。

次話も引き続き読んで頂けましたら幸いです。


また、ブックマークや評価等をして頂けましたら大変励みになりますので、ぜひとも宜しくお願いします。リアクションだけでも残して頂ければ、嬉しいです。


★★★


できましたら、以下の作品も読んで頂ければ幸いです。

いずれも完結済です。


銀の翅 ~第一部:未確認飛行少女~

https://ncode.syosetu.com/n9786lf/

※当作品の第一部です。第二部からでも分かるようにしてありますが、できましたら第一部も読んで頂ければ幸いです。


ハッピーアイランドへようこそ

https://ncode.syosetu.com/n0842lg/

※東日本大震災後の原発事故に関する中学生の恋愛物です。


【本編完結】ロング・サマー・ホリディ ~戦争が身近になった世界で過ごした夏の四週間~

https://ncode.syosetu.com/n6201ht/

※今後、更に番外編を追加する予定ですが、現在は完結済にしてあります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ