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忘却少女と嘘つき世界~記憶喪失少女は激つよ皇女様の護衛になって記憶を取り戻します~  作者: ミンミン
アルシーヴ帝国編第二章:仮面と誓約の武闘大会

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第二四話:武闘大会に出ました~ご褒美です~

久々の投稿です

「クリス様~!」


 舞台から退場し、クリス様を探そうと闘技場の廊下を進んでいると――変装したクリス様がいた。手を振りながらクリス様の元へと向かっていく。


「よく頑張ったわね、アデル」


 呆れながらも、どこか優しい目でクリス様は私を見つめてくれる。そのまま頭をなでなでされる。いつもの、クリス様の温かい手――頑張って良かった。


「あの相手……ヴァーちゃん、強かったわね」

「はい……すごく不気味な人でした。クリス様と同じ戦い方もしてましたし……それに、あのまま戦っても勝てたかどうか……」


 ヴァーちゃん――結局その仮面の下がどんな顔なのかも分からなかった。クリス様と同じ剣術、魔法も使うし、私の魔法も耐えられちゃった。


 もしあのまま戦っていたら、私は勝てたのだろうか? 


 もし、勝てていなかったら、クリス様になんて思われていたか? そう考えると、どうしようもなく不安で――


「大丈夫よ、あなたなら勝てたわ。だって、私の護衛になるって言ったでしょう?」


 でも、この人はいつも私を安心させてくれる。私の不安を溶かしてくれる。心がぽかぽかして、いつまでも一緒にいたいと思ってしまう。


「――クリス様っ!」

「あら? まったく、もう……急に抱きついてこないの」


 抑えきれなくなって、ついクリス様に抱きついてしまう。ぎゅっとクリス様に抱きついて……離れたくない。


「ご、ごめんなさい……でも、あ、あと少しだけ、いいですか……?」


 恥ずかしくて声が消えそうなほど小さくなってしまう。でも、そんな声にもクリス様が笑って優しく答えてくれた。


「本当に……ちょっとだけよ」

「わ、分かってます……ちょっとだけ、です」


 なでなでとクリス様にぎゅっと抱きつく――優勝のご褒美には十分だった。


   ◇


 十分にクリス様に抱きついた頃、クリス様が話し出す。


「そろそろシルヴィアが来ると思うのだけれど……」

「シルヴィアさん来てくれるんですか?」


 シルヴィアさん。クリス様のメイドさんだ。武闘大会中、ヤキトリを買ってきてくれたりした……だが私の試合の途中、見かけることはなかった。果たしてどこで何をやっていたのか……気になる。


「あなたへのご褒美を用意してもらっているの」

「ご褒美……いいんですか?」


 なでなでに抱きつき。もうたくさんもらったのに、まだくれるんだ……嬉しい、けど何が用意されているんだろう?


「ええ、頑張った者には褒美を与える、当然のことよ」

「あ、ありがとうございます……ち、ちなみにご褒美って?」

「内緒よ、内緒」

「ないしょ……ですか?」


 指を口に当てていたずらっぽく微笑むクリス様の言葉に、期待が高まってしまう。


 ちょうどその時。


「お嬢様、宴の用意ができました」

「し、シルヴィアさん!?」


 私の後ろからシルヴィアさんの声が聞こえてきて、後ろを振り向くとメイド服を着たシルヴィアさんがいた。


「そう、じゃあ帰りましょうか……アデル、魔法で帰れるかしら? 場所はあなたの部屋でいいわ」

「そうですね、アデル様、お願いしてもいいですか?」


 魔法――『空間跳躍《サルトゥス・スパティオ・アエラ》』のことだろう。クリス様とシルヴィアさんが私を頼ってくれている。そのことがとても嬉しい。


「はい! 任せてください!」


 元気いっぱいに私はそう言って魔法を発動させる。


 魔法陣――そして発動。


「【空間跳躍《サルトゥス・スパティオ・アエラ》】」


 その瞬間、視界が切り替わり――目の前にはたくさんの料理があった。


「わあ……すごいです……」


 色とりどりの野菜、たくさんのお肉……中にはヤキトリまで! そして見たこともないきれいな円形の白いもの? 一番上には赤いなにかが載っていてとてもきれい。食べられるのかな……?


 そのきれいな白いものに目を向けているとクリス様が教えてくれた。


「それはケーキって言うのよ。甘くて美味しいわよ」


 すごい……これも食べられるんだ……


「それよりもお嬢様、乾杯しましょう、乾杯」


 そう言ってシルヴィアさんがコップを持ってきてくれる。いつものお水と違ってなんだかいい匂いがする。


「シルヴィアさん、これってなんですか?」

「それは南方の国、サザンハルト連邦の果実を使った果実水ですよ。甘くて、疲れた体に効きますよ」

「さ、乾杯するわよ……それじゃあ、アデルの武闘大会優勝を祝って――」


「「「乾杯!」」」


 カラン、とコップをぶつけ合う。


「アデル、何から食べたい?」

「ヤキトリが良いです!」


 今日はご褒美ということで、クリス様が料理を取ってくれるらしい。クリス様がヤキトリの入った袋を運んでくれる。


「汚さないように食べるのよ」

「わ、分かってます……」

「ふふ、アデル様は本当にヤキトリがお好きですね」


 うん! ……やっぱり美味しい! 次は何を食べようかな……?


     ◇


 今日は夜遅くまで、クリス様とシルヴィアさんと楽しく食事を続けた。初めて食べたケーキは、びっくりするほど甘くて、上に載った赤い果実はちょっと酸っぱくて美味しかった。


 武闘大会についてもたくさん褒めてもらった……そして、クリス様からこう言われた。


『しばらくしたら護衛任命式があるからそのつもりでいるのよ』


 そう、ついにクリス様の護衛になれる……ずっとクリス様といっしょにいられる……クリス様を守ることができる。


 そのことがすごく楽しみで、今日は寝られるかな? と少し思ってしまった。


 そして武闘大会が終わってから数日後……護衛任命式がやってきた。

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