周りから見た自分らは
「演奏部に入る!? 弥生ちゃん吹部やめるの!?」
突然の弥生からの宣言に、すみれは大きく目を見開いた。
「辞めません。吹部にはそのままいるつもりです」
「なら、なんで? 仮にうちに入ったとしても、両立できるわけ――」
「そこでお願いなんですけど」
「……?」
「演奏部に入るだけ、っていうのはできるんですか?」
「……なんで、そんなことするの……?」
「このままあの部活がなくなるのがもったいないって思ったからです。
……私観てたんです、すみれさんたちの文化祭。
観てる人はあんまり盛り上げってなかったですけど、私は感動しました。
すみれさんのピアノにも、そして籔島くんの歌にも」
「…………」
「すみれさん――」
弥生に呼びかけられ、すみれは呆然と彼女の言葉を待った。
「いいですか? 私が入るだけ入っても。演奏部を潰さないために」
「………」
すみれは空いたまま口を閉じ、再び開いた。
「うん、いいよ。
というか、むしろこっちからお願いしたいくらいだよ。 まさか弥生ちゃんが助けてくれるなんて」
すると弥生は首を横に振った。
「別に助けたつもりはありません。ただ自分のためにやったことですから」
「だとしても、ありがとう。ほんとに助かった」
「……いえ」
これで終わりか、そうすみれが思った矢先「もう一ついいですか?」と、続けた。
「何……?」
「すみれさんの気持ち、何となくですけどわかった気がします。……少しだけ羨ましいって思いました、何だか先輩を見てると」
弥生はそう言うが、すみれからしたらさっきから何を言いたいのかあまりわからずにいた。
「ロックって言うんですよね、こういうの?」
「ロック……? ……あぁ、そういうジャンルなんだ……」
ハクが作る音楽のことはわかっても、音楽のことに関してはまだ勉強が足りない。
たしか、前にハクに教えてもらった曲の中にも、曲名の中に『ロック』とついているものがいくつかあったなと今に思う。
「違います」
なのになぜか否定されて、自分は思わず「何が?」と、半ば脊髄反射的に問うていた。
「生き方のことです。すみれさんの生き方はロックだと思います」
「………? ちょっとわからない、弥生ちゃんが何言ってるのか」
「自由に生きてるって思っただけです。
……とにかくよろしくお願いします、部活のこと。
入部届は近いうちに出すので。
籔島くんにもそのうち伝えておいてください」
「あ、うん。わかった」
「メール」
「……?」
「メール。交換してもいいですか?」
「あぁ。うん、交換しよ」
自分たちはお互いにメールを交換した後、自分たちは別れた。




