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9.大切な人の、大切な人へ
梨奈が両親を思いやる姿に触れ、私は胸の奥が温かくなるのを感じていた。
その優しさに心を動かされた私は、彼女のご両親へ、ささやかな贈り物を二つ用意しようと決めた。
一つ目は、ご夫妻の結婚二十周年を祝う花束だった。
私の小遣いで用意できるものだから、決して豪華とはいえない。それでも、祝福の気持ちだけは精いっぱい込めたかった。
花には、短いメッセージカードを添えた。
「ご結婚二十周年、おめでとうございます。これからもお二人仲良く、末永くお幸せにお過ごしください。」
――その一輪一輪に、私なりの感謝の気持ちも託したつもりだった。
そして、八月十六日。
私はいつもどおり夜勤に就いていた。
勤務を始めて間もなく、携帯電話が静かに震えた。
画面には、梨奈の名前が表示されている。
「父と母、午後五時ごろに着きます」
受話器の向こうから聞こえる彼女の少し弾んだ声に、私も自然と笑みがこぼれた。
いよいよ、ご両親との再会の日が始まろうとしていた。




