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ダンジョン庁の無能窓口と笑われた俺、【看破】で偽装探索者を暴いていたら、S級クランに引き抜かれました  作者: 小狐


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第21話 漏洩疑惑

 703号室には田端審議官と五十嵐がいた。

 前回と同じ小さい会議室だが、今回は2人だけだ。


 「先日の委員会構成確認の結果が取れた。見てほしいものがある」と田端審議官が言った。


 席に着くと、資料が手前に置かれた。

 『クラン連盟安全調整委員会の構成資料』という表紙だった。


 1ページ目に構成機関が並んでいた。

 クラン連盟本部、庁の外部連携窓口、加盟クラン3団体の計5機関だ。

 それぞれの役割と代表者名が記載されている。


 2ページ目に委員会の業務委託先一覧があった。

 事務局業務の委託先が『総合安全管理機構』、その下の記録管理の委託先が『東栄管理サービス株式会社』となっている。


 東栄管理サービスの欄に目が止まった。


 設立年が3年前だった。

 代表取締役の名前に見覚えはないが、「事務局補佐」という欄に記載されている人物の名前が引っかかった。

 五十嵐が以前、庁への問い合わせ発信元として記録された業者名の中に、その人物と近い表記があったはずだった。


 「この記録管理委託先について、もう一度確認していいですか」


 五十嵐が手元の端末を見て、


 「東栄管理サービスの事務局補佐として記載されている人物は、以前の問い合わせ発信元の1件と同じ名前で確認が取れています。所在地も当時の発信元と同じ区になっています」


 と答えた。


 悠真は手元の資料の2ページ目に戻った。


 「委員会全体が問題という意味ではありません。ただ、記録管理を委託されている立場というのは、委員会の議事や資料に触れる位置にあります。この構成だと、合同確認の名目で攻略前の資料が委員会側に渡った場合、記録管理の段階でそれが流れていく構造になっています」


 田端審議官が資料を手元に引き寄せた。


 「業者の枠ではなく、記録が流れる席そのものが目的になっている、ということか」


 「そこまで確定はできていません。ただ安全確認のための委員会に、攻略前の資料が渡る形にしておくと、内容より先に記録管理の経路の方が使われる可能性があります」



 ◇



 田端審議官がもう一枚の資料を机に置いた。


 「正式審査書類も今日届いている。これも一緒に確認してほしい」


 『第十二層攻略支援正式審査書類』という表紙だった。


 添付資料の目次を見ると、本体の書類が3点、別添が1点あった。

 別添の名称は「参考資料(合同確認向け)」となっている。


 その別添を開くと、外部協力先候補の概要一覧が記載されていた。

 前回の会議前資料で切り分けた「外部協力先一覧」の内容と、実質的に重なっている。


 「前回切り分けた内容と重なっています。表紙と名称が変わっていますが、候補として挙がっている会社名がほぼ同じです。参考資料という形で別添に残っています」


 田端審議官は別添のページを確認して、端末に何かを入力した。


 「このルートで同じものが残ってきた、ということか」


 と五十嵐の方を見てから、悠真に向き直った。


 「委員会向け配布は今回停止する。別添の参考資料はこの書類から削除する。正式審査本体には問題ないか」


 「本体の3点については今の段階では問題は見当たりません」


 「分かった。以後、第十二層案件で外部に出る共有資料については、事前にこちらで確認を取る。五十嵐さん、内部の回付経路に今の担当を追加してください」


 五十嵐が端末を操作した。


 「追加します。内部メモに記録を入れます」


 田端審議官が資料を束ねながら、「今後もこういった確認で協力をお願いする」と言った。



 ◇



 庶務に戻ると、午後の書類が届いていた。


 スマートフォンを手に取り、玲にメッセージを送った。


 『第十二層の正式審査書類について確認が取れました。外部への事前共有はさらに絞られます。審査本体には問題ありません。今後の確認手順は別途連絡します』


 玲からの返信はすぐに来た。


 『分かりました』


 設備利用申請を手に取り、許可番号を確認した。

 問題なければ受理票を押してトレイに置く。


 今回は届いた書類を処理したのではない。

 書類が作られる前の段階で、誰が何を見られるかを決める部分に関わった。

 東栄管理サービスと三栄グループの繋がりはまだ証明されていない。

 委員会が実際に何をしようとしていたかも、分からないままだ。


 ただ相手は、中身より先に席を取りに来ているかもしれない。


 次の書類を手に取り、受理票を押した。

読んでいただきありがとうございます。

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