第17話 重なった日付
攻略当日の朝は、庶務に変わりがなかった。
書類が届く。確認する。受理票を押して、次の係のトレイに移す。
先輩職員が隣でコーヒーを淹れる音がした。
窓から差し込む光の角度が少しずつ変わっていく。
処理待ちのトレイに2件あった書類を確認した。
どちらも昨日の受付だった。
内容を読んで問題がなければ、受理票を押して送る。また1枚。また1枚。
廊下を誰かが話しながら通り過ぎた。
声が遠ざかって、聞こえなくなった。
◇
昼前に、第三係から書類の回送が来た。
「設備調達関係で管轄確認が必要なものがあります。内容を見ていただけますか」
「こちらで確認します」と答えて書類を受け取った。
照明設備と電源補助機材の設備調達申請書が2枚入っていた。
申請書の形式に問題はない。
許可番号が付いていて、担当者印も揃っている。
提供元の欄を確認した。
『三栄設備株式会社』と書かれていた。
手が止まった。
引き出しから五十嵐参事官の照会資料を取り出した。
三栄管理サービスと三栄機材の確認記録が入っている。
資料の末尾に関連会社の一覧があった。
三栄設備の名前はそこにない。ただし冠は同じだった。
申請書の受付日を見た。今日の日付だった。
照会資料を開いたまま、昨日の三栄機材の確認記録を横に並べた。
昨日の日付と今日の日付が、机の上に並んだ。
◇
スマートフォンで五十嵐参事官にメッセージを送った。
『設備調達申請書に三栄設備株式会社という提供元が出ました。申請書の形式自体に問題はありません。ただ今日の日付です。三栄系かどうか確認をお願いします』
送信して、申請書を照会資料の横に置いた。
次の書類を手に取った。
◇
午後も通常の業務が続いた。
申請書を確認して受理票を押す。
書類を揃えて次の係に送る
。先輩職員が昼食から戻ってきて、電話をとった。
廊下で誰かが笑い声を上げて、すぐに静かになった。
窓から見える空が少し曇っていた。
◇
夕方、五十嵐参事官からメッセージが届いた。
『確認しました。三栄設備株式会社は三栄管理サービスと役員の一部が重複しています。関連会社と見てよい状況です。申請書の内容自体に違法性は確認できていません。ただし申請日のタイミングについては引き続き確認します』
『分かりました』と返した。
続けて玲からもメッセージが届いた。
『第十一層、終わった。問題なし』
読んで、スマートフォンを机に置いた。
数分後に、また玲から連絡が来た。
『補助器材の一部が途中で出力低下した。攻略への支障はなかった。念のため』
昨日の審査記録に目が向いた。
三栄機材の提供元確認をしたページが、照会資料の横に開いたままある。
窓の外が暗くなっていた。
机の上に、今日の三栄設備の申請書と昨日の審査記録が並んでいる。
今日の日付と昨日の日付が横に並んだままだった。
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