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『追放された【無能鑑定士】実は″死亡フラグ″が見えるだけでした〜気付いたら世界の運命を変えていた件〜』  作者: 法月蓮


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第8話 攻略法の確立

 「ミリア、役割分けるぞ!」

 

 「わかった!」


 ミリアは攻略法を理解しているようで安心した。

 この状況を打破するには役割分担が不可欠だ。

 俺が″それ″を炙り出し、ミリアの一撃で仕留める。


 「レイが見るんでしょ?」

 

 「ああ」

 

 「じゃあ、倒すのは私ね」


 役割分担という活路を見出したからか、ミリアの声は活き活きしている。

 俺が予定された未来を見ながら、″それ″を観測して固定。

 ミリアが俺の指示で巧みに動く。

 盤石な体制が出来上がった。


 「次、右から!」


 「了解!」


 「次は上からくるぞ!」


 「オッケー!」


 ″それ″の攻撃をかわしながら隙を狙う。

 頼もしいことこの上ない。

 俺は視線を“それ”に集中する。

 逃がさない。

 存在を定義し続ける。

 その間に、ミリアが何度も踏み込み、斬りつける。

 そのたびに、“それ”は少しずつ削れていく。

 形が崩れ、存在が薄れ、徐々に弱っていくのが分かった。

 だが――

 気は抜けない。

 一瞬でも集中が切れれば、すべてがリセットされる。

 それにしても――

 

 「……目が乾くな、これ」

 

 「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」

 

 軽口を叩き合いながらも、緊張は続く。

 ミリアの剣捌きは一級品だ。

 勇者パーティーで共に過ごしていた時から目を見張るものがあった。


 「いける……!」


 キーーーーン!!!


 最後の一撃が“それ”を完全に断ち切った。

 輪郭が崩壊し、空間に溶けるように消えていく。

 さっきまでの音が消えた。

 何も残らない。

 俺はようやく視線を外し、大きく息を吐いた。

 

 「……終わった、か」

 

 「もう二度とやりたくない相手ね」

 

 ミリアは肩で息をしながらホッとした顔をしている。

 

 「同感だ」


 肩で呼吸をしていた俺は、自分自身でも息切れしていることが分かる。

 そして、ぽつりと呟いた。

 

 「“見られて初めて存在する”とか、どんな発想だよ」

 

 ミリアは首を横に振って分からないアピールをしている。

 ただ、さっきまで“それがいた空間”だけが、妙に現実味を帯びて異なる空間を広げていた。


 「あー、早く帰ってシャワー浴びたいわ」


 「そうだな」


 胸を撫で下ろしていると、突然″それ″がいた場所から文字が浮かび上がってきた。


 【警告】

 【観測過多】

 【補正処理:準備中】

 【時間制限:00:29:59】

 【時間内に倒せなかった場合は爆発する】


 「……おいおい、まだ終わってないのかよ」


 空間が歪み、敵の輪郭が再び現れ始めた。

 違うのはさっきよりもその輪郭が大きくなったことだ。

 異様な光景に目を奪われつつも、新たな項目に目が釘付けになった。


 「チッ……時間制限に自爆付きかよ」


 「えっ!?」


 ミリアはあたふたしている。


 「大丈夫、さっきと同じことをするまでだ!」


 ミリアを安心させようと思い、根拠の無い言葉を発してみた。

 とりあえず″それ″の現状が分からない以上、同じ方法を試すのみ。


 「ミリア、一気に叩くぞ!」


 「わかった!」


 俺が″それ″を凝視し、ミリアが踏み込む。


 キンキンカンカン!!!


 【制限時間:00:21:35】


 「くっ……!」

 

 連撃。


 固定、斬撃、固定、斬撃。


 【制限時間:00:00:51】


 そして――


 渾身の一撃。


 【制限時間:00:00:03】


 「やったか」


 そう思ったのも束の間。

 “それ”の形が、崩壊し出した。


 ……ひと時の静寂。


 「……やった?」


 「いや――」


 視界に、まだ文字がある。


 【準備完了】

 【フェーズ2:移行】

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