表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『追放された【無能鑑定士】実は″死亡フラグ″が見えるだけでした〜気付いたら世界の運命を変えていた件〜』  作者: 法月蓮


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/21

第3話 未来改変〜動き出す謎の刺客

 【観測者:興味を示しました】


「……意味がわからない」


 最後に見えたその一文が、頭から離れない。

 観測者?

 興味を示す?

 ――

 ――

 ――

 俺たちは北東の廃城を目指して街道を歩いていた。

 周囲は見通しが良く、どこまでも続く緑の平原が広がっている。

 ここは一本道だからひたすら進むだけだ。

 さっきの文字が気になり、独り言のようにブツブツ言いながら思考を張り巡らせる。


「さっきからブツブツ言って、何考えてるの?」


 隣を歩くミリアが、俺のその様子を見てこちらを覗き込んできた。

 そこでふと我に帰った。

 どのくらいの時間、考え込んでいただろう。

 周りの景色は変わっていなかった。

 またミリアの方へ目を向ける。

 可愛らしく目をパチパチさせて、俺の次の言葉を待っているようだ。

 ミリアの好奇心旺盛なところは、昔から変わってないな。


「……さっき見えた文字が気になってな」


 まだ何も答えは出ていない。

 説明するには情報が不十分だった。

 下手に説明して逆に混乱させてしまったら元も子もない。

 それより――

 視界の端に、また新しい文字が浮かんできた。


 【街道:イベント発生】

 【内容:商隊襲撃】

 【発生まで:00:02:18】


「……カウントダウン付きのイベント発生?」


 ミリアが顔を上げて反応した。


「これから何か起こるの?」

 

 俺は頷いて前方を指差した。


「予定では、この先で商隊が襲われるみたいだ」


「……こんなのどかな雰囲気なのに?」


 意味が分からないといった様子だ。

 

「だからこそ襲うのにちょうど良いってこともあるのかもな。まずい、襲われる予定時刻まであと二分ちょいだ」


「そこまでわかるの?」


「鑑定レベルによるのかもしれないが、今回はハッキリとわかった」


 そう言って、俺はミリアに走るよう指示する。

 ミリアは頷くと、駆け出した。

 視界のカウントが減っていく。


 01:26。


 00:58。


「見えた! あそこだ!」


 街道の先に荷馬車が見える。

 恐らくあれが商隊だ。

 再び文字が浮かび上がってきた。


 【盗賊:襲撃準備中】


「まだ襲われていないようだ。今ならまだ間に合う」


 俺は小声で呟く。


「どうするの?」


 ミリアが手を剣にかけながら聞く。

 正面から行けば、普通に戦闘になる。

 それでも勝てると思うが、万全を喫したい。

 視界に新しい情報が浮かんでくる。


 【成功条件:奇襲】

 【失敗条件:正面衝突】


「……なるほどな。正面から進むと何かまずいことが起こるらしい」


「じゃあどうしたらいいの?」


「正面じゃなく、裏から潰す」


 正面衝突じゃ失敗するなら、回り込んで奇襲すれば良い。とてもシンプルな戦法だ。


「こっちだ!」


 俺は街道を外れ、森の中へ入った。


「ちょ、ちょっと待って!」


 ミリアが慌てて後を追う。

 木々の間を抜けながら、ちょうど良い場所を探す。

 視界には敵の配置が“文章”で表示されている。


 【盗賊A:左側から弓で攻撃】

 【盗賊B:荷馬車裏から短剣で突進】

 【リーダー:後方から指示】


「……相手の動きは丸見えかよ。イージーだな」


 思わず苦笑する。

 これはもう戦闘じゃない。

 ただの作業と同じだ。


「ミリア」


 小声で呼ぶ。


「なに?」


「左の弓持ってるやつ、先に倒してくれ」


「……分かるの?」


「ああ」


「……了解」


 ミリアは短く返事をすると、気配を消して静かに接近した。

 ――そして。


 ガッ!


 鈍い音がした。

 弓を持った盗賊は声も出せずその場に倒れた。

 ミリアは確認のために一瞬だけこちらを見る。

 俺はオッケーサインを出した。

 そのまま指示を続ける。


「荷馬車の裏に回れ。短剣を持ってるから気を付けろ」


「……わかった」


 ミリアは俊敏に動き、あっという間にそいつも仕留めた。

 残るは――


「リーダーだけだな」


 ミリアは俺の指示を待っている。


 【リーダー:撤退判断まで残り15秒】


 まずい、逃げようとしている。

 リーダーまでの距離は俺の方が近い。

 ここは俺の出番だな。


「撤退なんてさせるか」


 俺は木陰から出た。


「おい、何をしている!」


 俺は声をかけた。

 なんか保安官になった気分だ。

 盗賊のリーダーは振り向いた。


「なっ——!?」


 その顔に浮かぶのは、明確な動揺。

 それもそのはずだ。

 仲間がいつの間にか消えているのだから。


「てめぇ、いつの間に――」


 最後まで言わせない。

 ミリアはその一瞬の隙を突き、鋭い一閃を浴びせた。

 リーダーの体が崩れ落ちる。

 戦闘は――終わった。


「……もう終わり?」


 ミリアが質問してくる。

 俺は頷いた。


「俺の予定通りになった」


「……何それ」


 ミリアは不思議そうに言う。

 その目を見て俺は思った。

 疑いから確信へ変わったと。


「本当に見えてるんだね」


「ああ。ようやく見えるようになってきた」


 俺も自分の見えているものが間違っていないと確信した。

 そのとき――

 商隊の方から、慌てた声が聞こえてきた。


「た、助かった……!」


 商隊の一人が歓喜の声を上げている。

 俺たちが盗賊と戦っている姿を目撃していたようだ。

 騒ぎになっているが、当然だろう。

 まだ何も起きていないのに、危機的状況だけが消えたんだから。


「ミリア、先を急ごう」


 俺は踵を返した。

 商隊の方々は満面の笑みで見送ってくれた。

 視界には文字が表示されている。


「……?」


 今までとは違う、新しい文章だった。


 【イベント結果:改変成功】

 【レイ:過剰介入】


「……どういうことだ?」


 過剰?

 更にその下からゆっくりと文字が浮かんでくる。


 【修正処理:実行】


「うっ――」


 頭が割れるような痛みが走った。

 次の瞬間、空気が変わった。

 音が消え、風も、気配も無くなるような――

 すべてが一瞬だけ“止まった”ような感覚に陥る。


「なに、これ……?」


 ミリアも異変に気付いたらしい。

 周囲を見回している。

 そして――

 何もなかった空間に“それ”が現れた。

 人の形をしている。

 だが、顔がない。

 輪郭が曖昧で、揺れている。


「……おい」


 思わず呟く。

 視界には、文字が浮かんでいた。


 【シナリオ:修正中】

 【状態:アクティブ】

 【目的:シナリオ逸脱の補正】


「……はは」


 乾いた笑いが漏れる。


「マジかよ」


 ただの文字じゃなかった。

 修正しに″それ″が出現したというのか……

 俺たちをどうする気だ?


「レイ……これ、何?」


 ミリアの声が、わずかに震える。

 ……説明してる暇はないな。

 目の前の″それ″が、ゆっくりとこちらを向く。

 そして。

 視界に、最後の一行。


 【排除対象:レイ】


「……来るぞ」


 俺は手短に言った。


「下がれ、ミリア!」


 次の瞬間――

 世界が、明確に“敵意”を持って動き出した。

お忙しい中、貴重なお時間を使ってここまでご覧いただきありがとうございます。

面白いと思っていただけたなら本望です。

引き続きどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ