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『追放された【無能鑑定士】実は″死亡フラグ″が見えるだけでした〜気付いたら世界の運命を変えていた件〜』  作者: 法月蓮


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第13話 浅はかな読み

 【鑑定結果:塔自体が魔物化】

 【危険度:70%】

 【死亡フラグ発生:致死率30%】


「死亡フラグが発生しようが、フラグを折るまでだ」


 俺は闘志を剥き出しにして言った。

 ミリアもファルも頷いている。


「さぁ、どっからでもかかってこい!」


 声を張り上げるのが先か、床が揺れるのが先か。

 どちらが先か分からなかったが、突然床が揺れ始めた。


 グゴォゴォゴォゴォゴォゴォゴォ……


「うわっ」《「きゃー」》


 ファルは火の玉形態のお陰で影響を受けていないようだ。

 だが、塔自体が揺れてるのは辺り一帯を見渡せばすぐに分かる状況だった。

 

「なんじゃ、揺れておる」


 ファルも気付いたようだ。

 姿勢を保つのがやっとというほど揺れ続けている。

 俺はこの状況を打破するために鑑定した。


 【鑑定結果:コアの存在を確認】

 【コアの位置特定:最上部と地下の最深部に反応あり】

 【同時に破壊しなければ爆発する】

 【弱点:最上部→斬撃 地下の最深部→火属性】

 【爆発までの制限時間:00:59:59】


「……同時に破壊? また制限時間付きかよ」


 瞬時に理解した。

 最上部に俺とミリア、地下の最深部にファルで同時攻撃がベストだと。


「俺とミリアは最上部へ向かう。ファルは地下の最深部を目指して火属性で攻撃してくれ!」


「わかったわ!」


「承知致した」


 二人はこの状況を理解してくれたようだ。

 俺とミリアは最上部へ向かって走り出した。

 ファルは地下の最深部へ向かう。


「あそこに階段があるわ」


「よし、急いで上がろう」


 俺たちは足元に気を付けながら急いで駆け上がった。

 階段は螺旋状になっていて、最上階まで一気に駆け上がれる仕様だった。


「あそこから光が見えるわ」


 ミリアが指差した方向へ目をやると、光が漏れている場所があった。


「よし、あそこへ行ってみよう!」


 【爆発までの制限時間:00:43:26】


 俺たちは肩で息をしながら、最上階へと辿り着いた。

 最上階は一つだけ扉があり、その扉の窓から光が漏れている。天井にはステンドグラスが張り巡らされていて、目を見張るほど美しかった。


「あの扉の奥に″何か″がいるのか?」


「とりあえず行ってみましょう」


 俺たちは扉の前へと進み、ドアノブを回した。

 扉は思いの外あっさり開いた。

 少し暗いが、よく見ると細い階段が更に上へと続いているのが見えた。

 息を殺して一歩一歩階段を上がっていく。

 目の前にまた扉が現れた。

 ミリアにアイコンタクトをし、扉を開いた。


 ◇


 一方その頃。

 ファルは地下最深部を目指して螺旋階段を進んでいた。


「先が長いのう……」


 ファルはポツリと呟く。

 灯りのおかげでかろうじて見えている状況だった。

 どのくらい同じ光景を見たであろう。

 ようやく地下深くに扉を見つけた。

 ファルは威勢よく扉を開けた。


 ◇


 俺たちは最上部へ到達した。

 気付けば塔の揺れは収まっていた。

 まばゆい日差しが俺たちを照らした。

 目が開けられるようになるまで少しだけ時間を要した。

 

「レイ、あそこ見て!」


 ミリアが指差した方向を見ると、巨大なひし形のコアらしき物体を発見した。

 念のため周囲も確認するが、特にそれらしき物体は見当たらなかった。


「あれをファルと同時に破壊すれば良いんだな」


「そういうことね」


 弱点は斬撃。

 ミリアにうってつけの仕事だ。

 ただ問題が一つある。

 ファルと同時に破壊するにはどうしたら良いかということだ。

 現在ファルは地下の最深部へ向かっている。

 ″向かってはいる″が、辿り着いたのか、コアを目の当たりにしているのか、状況が全く掴めないことだった。

 とりあえず揺れが激しく、一刻も早く止めないと、と思い分担したのは良いが、肝心の″同時に破壊する″に関しては無計画だった。

 まずは鑑定してから考えよう。


 【鑑定結果:最上部のコア】

 【弱点:斬撃】

 【地下の最深部コアと同時に破壊しなければ爆発する】

 【コアの構造:衝撃を吸収する。音が跳ね返る。】


「直接鑑定したら、なんか増えてるぞ?」


 コアの構造……

 衝撃を吸収……

 音が跳ね返る……

 それなら。


「おーーーーい! ファルーーーー!!」


 俺は扉を開けて、地下の最深部にいるであろうファルに向かって大声で呼びかけてみた。

 ……


「なんじゃーーー! レイの声が聞こえるではないか!」


 ファルに声が届いたようだ。


「よし、これならいける!」


 確信した。

 ミリアにここは頼み、俺はファルの元へ行って、最深部のコアも鑑定してみよう。


「ミリア、俺が斬撃の合図をしたらコアを斬ってくれ。俺はファルの所に行って最深部のコアも鑑定してみる!」


「わかったわ。あんまり無茶しないでよね」


 俺はその言葉を聞くと同時に元の道を引き返す。


 【爆発までの制限時間:00:33:45】


「やばい、時間が無い」


 俺は駆け足で階段を下りる――

 急に視界がぐらついた。

 あまりに急ぎすぎたせいで足がもつれてしまったようだ。


 ズザザザザ……


 俺はダイビングするかのように思い切り階段から転げ落ちてしまった。


「いてててて……」


 どれだけ傷付いただろうか……

 俺はなんとか立ち上がり、身体中を見てみた。

 意外なことに、傷一つ無かった。


「もしや? 構造のところに衝撃吸収ってあったな……」


 ふと思い出した。

 これなら安心して突き進める。

 再び階段を下り始めた。

 何周したかは分からなかったが、なんとか最深部の扉が見えた。

 俺はすぐさま扉を開く。


「ファルー!」


「なんじゃ。待ちくたびれたぞい」


 目の前には大きなひし形のコアらしき物体が佇んでいた。


「これがコアか?」


「恐らくそうじゃ。さっきから見ているが、何も起こっとらん」


 俺は地下最深部のコアも鑑定を始めた。


 【鑑定結果:最深部のコア】

 【弱点:火属性】

 【最上部のコアと同時に破壊しなければ爆発する】

 【コアの構造:衝撃を吸収する。音が跳ね返る。】

 【爆発までの制限時間:00:14:32】


「やっぱりこれが最深部のコアか。ファル、制限時間が残り少ない。俺がミリアに斬撃を指示するから、タイミング良く火属性攻撃をしてくれ!」


「承知した」


 俺はファルに指示をし、最深部の扉から顔を出した。


「ミリアーーーー!! 準備万端だ!」


 ……


「わかったわーーーー!! 今から斬るね!」


 「せーの!」《「せーの!」》


 「てやーーーー!!」《「ファイヤーーーボール!!」》


 ドッカーーーーーーン!!!


「やったか?」


 目の前にあったひし形のコアは、跡形も無く消し去っていた。

 ほっとしているのも束の間……


 グゴゴゴゴゴゴゴ……


 また塔が揺れ始めた。

 揺れはだんだん激しくなってくる。


「ファル、とりあえず上に戻ろう!」


「承知いたした」


 走るのがもはや苦行という状況だったが、一気に入口のフロアまで駆け上がった。

 周囲を見渡すと、壁や階段が崩れ落ちているのがすぐに分かった。


「ミリアーーー!! そっちは大丈夫か!?」


 ……


「こっちのコア、消えて無くなったよ!! 今からそっちに戻るね!!」


 良かった。

 無事だったようだ。


「レイーーーー!! 階段が無くなってる!!」


「なんだってーーーー!?」


 まさかこんなことになるなんて……

 どうするか……

 ……

 衝撃……吸収……

 これに賭けるしかないか。


「ミリアーーーー!! そこから飛び降りてくれ!!」


 ……

 

「何言ってるのーーーー!! こんな高さから落ちたらひとたまりもないよ!!」


 それはそうだ。

 ここから見えるミリアは小指の先端くらい小さく見える。

 考えている間に辺り一面が瓦礫の山になっていた。

 四の五の言ってる暇はない。


「ミリアーーーー!! 俺が必ずお前を抱きとめてみせる!! 俺を信じて飛び降りろ!!」


「わかったわーーーー!! あなたに私の命を託したわよ!!」


 ミリアはそう言い放つと身を挺して飛び降りた……

お忙しい中、貴重なお時間を使ってここまでご覧いただきありがとうございます。

面白いと思っていただけたなら本望です。

引き続きどうぞよろしくお願いします!

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