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『追放された【無能鑑定士】実は″死亡フラグ″が見えるだけでした〜気付いたら世界の運命を変えていた件〜』  作者: 法月蓮


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第10話 シナリオ崩壊

 ◇

 

「フェーズ2に移行だと……?」


 と、呟いた時だった――

 崩れたはずの“それ”が、徐々に再構築されていく。

 今度は“はっきりとした形”で。

 異形ともとれる″それ″の様相は、かろうじて人間の形を保とうとしている様子が伺えた。

 上の方に目を向けるとそこには見覚えのある顔があった――


「嘘でしょ……」


 ミリアは恐怖を隠さず後ずさる。

 無理もない。

 あの形は……

 視界に表示が現れた。


 【代替ボス:確定】

 【原因:過剰改変】

 

「……やれやれだぜ……」


 俺は半ば呆れた口調だった。

 ″それ″から生まれた顔は、俺だったからだ――


「レイに攻撃なんて、できないよ!」


 最悪だ。

 よりにもよって、仲間の顔をした敵に攻撃させるよう仕向けるとは……

 なんとも言えない気持ちが込み上げてくる。

 だが――

 同時に、分かったこともある。


 【鑑定結果:観測することで固定される】

 

「ルールは変わってない」


 観測で固定。

 なら――攻略できる。


 そのとき。

 新しい表示。


 【外部干渉:接近中】


「……あ?」


 次の瞬間。

 壁から異様な空気が漏れ始めた。


「なっ――!?」


 そこから現れたのは見覚えのある影。


「……なんだここは」


「豪華な飾り付けを見る限り、王の間とかかしら?」


 なんと勇者アルドと魔法使いリナだった。


「お前ら、生きてたのか!」


 俺はコイツらに追放された身だが、生死に関しては別問題だ。

 俺はひとまず安心した。

 ふと頭上を見ると表示が更新されていく。


 【アルドの死亡予定:確率測定不能】

 【リナの瀕死の重傷予定:確率測定不能】

 【原因:レイ】


「よし、やったぞ!」


 俺は思わずガッツポーズした。

 三人から冷ややかな視線が突き刺さる。


「い、いやいや、お前たちの予定された運命が変わったたんだ! 思わず嬉しくてさ!」


「そういうことね」


「なるほどな」


 アルドとリナは安堵の表情を浮かべた。

 だが、まだ″それ″を倒したわけではないので、安心するのは早計だ。


「あいつは凝視することで存在を固定することができる! 俺が凝視するからお前らが攻撃してくれ!」


「わかった!」


 三人は声を揃えて身構えた。


「わたしが先にいくわ! さっき戦ってみて戦い方がわかるから! 顔はレイだけど、レイじゃない!!」


 ミリアが我先にと声をあげる。

 最良の選択だろう。

 おれは″それ″を凝視した。

 ″それ″は次第に固定され始める。


「はぁ〜っ! やーーー!!」


 ミリアは″それ″に向かって飛びかかった。


 ガンガンガンガン!!


「……っ!?」


「なんか手応えが感じられない!?」


「なんだって!?」


 よく見ると、確かに俺の顔をした″それ″が無傷でニヤリと笑っている。


「もう一度! はぁーーーー!!」


 連撃、乱撃、重い一撃を繰り出す。


 それでも″それ″は効いている様子が無い。

 おかしいな……

 もう一度鑑定してみよう。


 【鑑定結果:斬撃耐性″強″】

 【弱点:火属性魔法、突き】


「……ははは」


 思わず笑う。

 どうりでミリアの斬撃が効かないわけだ……

 アルドは槍が得意で、リナは火属性魔法が得意だったな。


「アルド! リナ! あいつの弱点は火属性魔法と突きだ! 俺が凝視してる間に二人で攻撃してみてくれ!」


 二人は頷くと、一斉に飛びかかった。


「はっ!」


「ファイアーボール!」


 息のあった攻撃が″それ″にヒットする。


「ギャーーーーーーーーッ!!!」


 機械音のような悲鳴のような声をあげた。


「よし、上手くいった! このまま倒し切るぞ!」

 

「ミリア! 斬撃じゃなくて突撃してくれ!」


「わかったわ!」


 攻撃力ではミリアが一番高い。

 火属性魔法と槍で攻撃後、ミリアの最高の突撃をお見舞いすることにした。


 「まずリナが火属性魔法で攻撃! その後アルドが槍で突く! 最後にミリアが突撃をしてくれ!」


「任せてくれ!《任せて!》」


「ファイアーボール!」


「おりゃー!!」


「いけーーーーー!!!」


 ドゴーーーーーン!!!


「ギィャーーーーーーー!!!」


 爆音と悲鳴が辺り一帯に響き渡った――

 視界の奥で文字が浮かび上がる。


 【観測者:強い興味】

 【シナリオ:崩壊進行中】

 【レイ:鑑定レベルが3に上がった】


「観測者ってーのが誰だかわからねーけど、やってやろうじゃねーか!」


 俺は興奮していた。


「面白くなってきたな」


 世界の“予定”は、もう元には戻らない……

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