第18話 業務課
いつも読んでいただきありがとうございます。
20日前。
本部長は、しっかり来た。
いつもの形式的な挨拶を済ませた後、本題に入る。
「今回の移動の件ですが、神谷さんには業務課へ移動して貰います」
神谷は止まる。
――は?
――また違う話になってる。
「業務課……ですか? どこで何するんですか?」
「ここの工場の業務課で、入庫担当になります」
「全く違う仕事になるんですね」
「そうですね。色々検討した結果、神谷さんには業務課へ行って貰うのが良いと考えました」
神谷は少し考える。
正直、助かった部分もあった。
仕事は探していた。
だが、まだ見付かっていない。
ここで辞めれば、次が無い。
「そうなんですね。判りました」
本部長は満足そうに頷く。
「では4月からよろしくお願いします」
そして続けた。
「とりあえず、入庫、出荷の手伝い。あと30分の早出。製造の手伝いになる事なら何でもしてください」
「……早出ですか?」
「30分早出してください。トラックが待ってる事が多いので」
神谷は眉を寄せる。
「今の入荷担当はしてないですよね? 私はするんですか?」
「そうだね」
神谷は心の中で呟く。
――また出た。
――人が変わると勝手にルール変えるやつ。
「そうですか、判りました」
話は終わり、本部長は帰って行った。
するとすぐに、仲の良い先輩が来る。
「どうなったんですか?」
「とりあえず、ここには残れます。ただ製造じゃなくなるので、そんなに関わらなくなります。入荷担当です」
先輩は本気で安心した顔をした。
「関わらなくなるのは残念ですけど……とりあえず良かった」
神谷はその表情を見て思う。
――この人が居なかったら、私はとっくに辞めてたんだろうな。
「そうですね。私も良かったです」
数日後。
業務課全員が、笹木に呼び出された。
会議をするらしい。
笹木が前に立つ。
「新しく業務課になるので、業務課の目標を話します」
資料を読み始める。
「一、二、三は製造の目標です」
神谷は黙って聞いていた。
――業務課なのに、何で製造の目標言ってるんだろう。
笹木はそのまま続ける。
「四は品質管理の目標――」
神谷は思う。
――この人、正直バカなのかな。
会議はそのまま進んでいく。
だがやはり、笹木の発言はどこか噛み合わない。
神谷は質問する。
「私が業務課になるなら、私が乗ってるフォークリフトはどうするんですか? 乗っていいんですか?」
すると笹木が即座に反応する。
「会社のフォークな!」
神谷は固まる。
――は?
――私のフォークなんて言ってない。
――“私が乗ってる”って言っただけだろ。
「判ってますけど」
笹木は軽く咳払いする。
「いや……そのまま乗ってください」
「あ、はい」
そして最後に笹木が言った。
「あと、判らない事は後日、メールもしくは面談で答えます」
会議は終わった。
だが、全員。
何を言われたのか、いまいち理解出来ていなかった。
もう少しお付き合いください。




