表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/112

第31話 繋ぐ盤(挿絵有)

 翌朝。


 良樹は、作業場の試験台の前に立っていた。


 昨日の夜に書いたメモは、まだ試験台の上に残っている。


 報告までが仕事。

 回収までが戦闘。

 撃った後に動けないなら、撃った後の担当を決める。

 一人で撃つな。

 四人で撃つ。


 その下に、夜明け前、さらに書き足した文字があった。


 三人へ供給する。

 直結禁止。

 信頼接続。

 個別インバータ。

 三系統共通ブレーカー。

 極小出力から。

 切断手順確認。


 そして最後に、少し筆圧の強い一行。


 変な反応をさせない。


 良樹は、その文字を見てから、深く息を吐いた。


 エレメンタル・キャノンは強い。


 大型トロルを吹き飛ばした。

 生活圏に入りかけていた危険を止めた。

 あの一撃がなければ、たぶん勝てなかった。


 だが、あれは撃てる場所だったから撃てた。


 採石場跡。

 開けた広場。

 岩壁。

 外した場合の先。

 余波を逃がせる空間。

 カレンとクラリスが射線から退き、リシアが風遮膜で守った。


 全部が揃ったから、撃てた。


 古い水路跡では無理だ。


 狭い。

 暗い。

 曲がる。

 天井が低い。

 味方が近い。

 退路が限られる。


 そこでエレメンタル・キャノンなど撃てば、敵より先に味方を壊す。


 水蒸気爆発弾も同じだ。


 強い。

 だが重い。

 場所を選ぶ。

 準備がいる。

 止め方がいる。

 逃がし方がいる。


 良樹一人が大きな砲を持っていても、それを撃てない場所では意味がない。


 なら、どうするか。


 答えは、三人だった。


 リシア。

 カレン。

 クラリス。


 三人は、すでに戦える。

 三人には、それぞれの強さがある。


 リシアの魔法。

 カレンの剣と恐怖。

 クラリスの治す手と壊す手。


 良樹がするべきことは、自分がどこでも撃てるようになることではない。


 三人が、それぞれの場所で、もっと届くようにすることだ。


 自分の魔力を、三人へ渡す。


 ただし、直結ではない。

 流し込むだけではない。

 三人を出力先にするのではない。


 三人が受け取り、三人の形に変える。


 そのための盤。

 そのための端子台。

 そのためのインバータ。


 良樹は、眠れなかった。


 いや、眠るつもりがなかった。


 英雄になる。


 三人を嫁にもらう。


 そのためには、三人を置いていけない。

 三人を守ると言いながら、三人を戦力外にもできない。

 三人を強くすると言いながら、三人を燃料にしてもいけない。


 ならば、どうすればいい。


 どう繋げば、壊さないのか。

 どう渡せば、押し込まないのか。

 どう絞れば、無理をさせないのか。

 どう止めれば、流れが跳ねないのか。


 考え続けた。


 考え続けて、魔導自立盤は形を変えた。


 試験台の前。

 良樹の意思に応じて、半透明の大きな盤が立ち上がる。


 胸元に浮かべる携行盤ではない。

 その場に据える盤。

 良樹の意識から外れれば崩れるが、容量はこれまでの盤とは比べ物にならない。


 盤の端には、三つの接点が並んでいた。


 端子台。


 そして、その奥に三つの細い制御部がある。


 それぞれ、形が違う。

 線の太さも、立ち上がりも、逃がし方も違う。


 リシア用。

 カレン用。

 クラリス用。


 三つの個別インバータ。


 ただし、さらに奥。


 三つの流れは、一本の太い安全装置を通っていた。


 良樹はそれを見て、少しだけ目を細めた。


「……共通か」


 その声に、背後の扉が開いた。


「何が共通なの?」


 リシアが入ってきた。

 続いて、カレン。

 最後に、クラリス。


 三人とも、すでに外へ出る支度をしていた。


 リシアは杖。

 カレンは実戦用の剣。

 クラリスは法衣の袖を、少しだけ動きやすいように整えている。


 良樹は、三人を見た。


「町外れに行く」


 リシアは、すぐに頷いた。


「でしょうね」

「ここでやる試験じゃないわ」


「ああ」

「剣に魔力が乗るかもしれない」

「盾のように広がるかもしれない」

「クラリスの拳から魔力が放たれるかもしれない」

「リシアの魔法出力も跳ねるかもしれない」


 良樹は試験台のメモを畳んだ。


「そんなもんを家の中で試す馬鹿はいねえ」


 カレンは、自分の剣に手を添えた。


「剣に流せたら、そのまま試すんですよね」


「ああ」

「だから実戦装備で来い」

「ただし最初から全力で振るな」


「はい」


 クラリスは、自分の右手を見た。


「私は、的が必要ですね」


「用意する」

「拳に乗ったら、そのまま打つ」

「拳の先へ逃がせるなら、それも試す」

「ただし、上限は低めだ」


「はい」

「壊さない場所で、壊れずに届く確認ですね」


「そうだ」


 良樹は腰袋を確認した。


 工具。

 メモ。

 予備の紐。

 杭。

 簡易の的に使う板と布。


 全部ある。


「行くぞ」


   ◇


 町外れの野原は、人通りがほとんどなかった。


 朝の光が草の上に落ちている。

 少し離れた場所には、古い柵と、誰も使っていない空き地がある。

 道からは外れていて、荷車が通る場所でもない。


 良樹は、まず周囲を確認した。


 人影なし。

 家畜なし。

 荷車なし。

 射線の先に道なし。

 背後に退避場所あり。

 風向き確認。

 的の後方確認。


 杭を打ち、藁束と木板を立てる。

 その後ろにも、念のため土の盛り上がった場所を選んだ。


「よし」

「ここなら試せる」


 リシアが呆れたように言う。


「本当に毎回それね」


「毎回必要だ」

「魔力を剣に乗せるかもしれねえ」

「拳から飛ぶかもしれねえ」

「確認しないで始める方がおかしい」


「分かってるわよ」

「だから良樹らしいって言ってるの」


 良樹は野原の中央に立ち、魔導自立盤を展開した。


 半透明の大きな盤が、空中に立つ。


 携行盤とは違う。

 その場に据えられた盤。


 その端に三つの端子台。

 奥に三つの個別インバータ。

 さらに奥に、三系統共通ブレーカー。


 リシアは、盤を見ながら言った。


「インバータね」

「スキャナーを回す時に使ってた、出力を変えるやつ」


「ああ」

「今回は回すためじゃない」

「三人へ流す魔力を、相手ごとに変えるために使う」


 カレンが真面目に頷いた。


「急に出力を上げないためのもの、ですね」


「そうだ」

「上限もここで絞る」


 クラリスも盤を見る。


「立ち上がりと上限を決める、安全装置の一部ですね」


「ああ」

「端子台だけじゃ駄目だ」

「繋いだだけで流したら、ただの直結だ」

「直結は危ない」


 良樹は、三つの流路を指で示した。


「リシア、カレン、クラリス」

「三人とも受け方が違う」

「同じ出力を同じ立ち上がりで流したら事故る」

「だから個別にインバータを入れる」


 そして、奥の太い流れを見る。


「ただし、大元は一つだ」

「三系統の合計上限は、ここで決まってる」


 カレンが不安そうに聞いた。


「それは、良樹さんがそうしたんですか?」


「違う」


 良樹は首を振った。


「俺が入れたんじゃない」

「最初からある」

「たぶん、盤の仕様だ」


 クラリスが、良樹を見た。


「外せないのですか?」


「外せない」

「いや」


 良樹は、少しだけ言葉を止めた。


「外しちゃいけない」


 リシアの目が、少し細くなる。


「安全装置だから?」


「ああ」

「こういう安全装置を外して動かす奴は、現場で一番信用できねえ」


「出たわね、良樹の止める話」


「大事だろ」


「ええ」

「今回は特にね」


 クラリスは、盤を見つめたまま静かに言った。


「良樹くん」

「それは、盤の仕様ですか」

「それとも、良樹くんの心ですか」


 良樹は、すぐには答えられなかった。


 盤の仕様。


 そう言えば、それで済む。


 だが、この盤は良樹の意思で具現化したものだ。

 良樹が必要だと思ったものが、形になっている。


 三人と繋ぐ端子台。

 三人に合わせる個別インバータ。

 三人を同時に壊さないための共通ブレーカー。


 それは、ただの構造ではなかった。


「……たぶん、両方だ」


 良樹は言った。


「俺が、そういう形でしか繋げねえんだと思う」


 リシアは少しだけ目を伏せた。


「限界を最初から認めてるのね」


「ああ」


「格好悪いわね」


「ああ」


「でも」


 リシアは、小さく息を吐いた。


「信用できるわ」


 カレンが、盤の三つの流路を見た。


「出力は、その時で変わるんですよね」


「ああ」

「戦闘中は変える」

「必要なところに寄せる」


「でも、回路は同じなんですね」


「ああ」


 カレンは、少しだけ安心したように微笑んだ。


「それなら、大丈夫です」


 リシアが良樹を見る。


「つまり」

「今は誰に多く流すか変わっても」

「私たち三人の場所は変わらないってことね」


 良樹は、盤を見たまま短く答えた。


「ああ」

「変えない」


 野原の風が、少しだけ静かに流れた。


 クラリスが微笑む。


「とても良い仕様です」


「仕様の話だ」


「はい」

「良樹くんの仕様の話です」


「言い方」


 良樹は眉間を押さえた。


 まだ試験前だ。

 試験前からこれでは危ない。


 良樹は、気を取り直して三人を見た。


「先に言っておく」


 三人が良樹を見る。


「今日は端子台の接続試験だ」

「読み出しじゃない」

「こっちから魔力を流す」

「信号確認じゃなく、動力供給に近い」


 三人の表情が、少しだけ変わった。


「だから、昨日より反応が大きくなる可能性がある」

「違和感があれば即停止」

「痛み、吐き気、寒気、魔力の乱れ、呼吸の異常」

「何かあったらすぐ言え」


「分かったわ」


 リシアが頷く。


「はい」


 カレンも、真面目な顔で頷いた。


「承知しました」


 クラリスも静かに答える。


 良樹はそこで、一度だけ目を細めた。


「それと」


 三人が少しだけ身構えた。


「お前ら、変な反応すんじゃねえぞ」


 野原の空気が止まった。


「……変な反応?」


 リシアの声が低くなる。


「ああ」

「昨日の読み出しの時、色々あっただろ」


「詳しく言わなくていいわ」


「詳しく言うつもりはねえ」

「ただ、今日はさらに深く入る可能性がある」

「反応が出るのは仕方ない」

「だが、妙な言い方をするな」

「俺の集中力が落ちる」


 カレンが、耳まで赤くなった。


「わ、私は……気をつけます」


 クラリスは口元に手を添えて微笑んだ。


「努力します」


「努力じゃなくて確約しろ」


「善処します」


「一番信用できねえ返事だな」


 リシアが腕を組む。


「良樹」


「何だ」


「先に言っておくけど」

「変な反応をさせるのは、たぶん端子台の方よ」


「分かってる」

「だから釘を刺してる」


「刺した釘が、逆に目印になってる気がするわね」


「やめろ」

「不吉なことを言うな」


 クラリスが穏やかに言った。


「大丈夫です」

「何もやましいことはありません」


「その言い方もやめろ」


 カレンが真っ赤な顔で頷いた。


「そ、そうです」

「これは試験です」

「何も変なことではありません」


「カレン」

「お前が一番真面目に言ってるのに、一番危ない方向に聞こえる」


「ええっ……!?」


 良樹は、深く息を吐いた。


「いいか」

「端子台接続試験だ」

「魔力供給」

「相手側変換」

「安全確認」

「それだけだ」


 三人は頷いた。


「分かったわ」


「はい」


「はい、良樹くん」


 良樹は端子台に手をかけた。


「よし」

「なら始める」


   ◇


 最初はリシアだった。


 理由は単純だ。


 リシアの読み出しは、以前から最も安定している。

 魔法制御の基準点としても、リシアが最初に適している。


 リシアは杖を持ち、魔導自立盤の前に立った。


「何をすればいいの?」


「小さく風遮膜を作ってくれ」

「広げなくていい」

「薄い膜を作るだけでいい」

「それから、火球の構成も少し見る」


「分かった」


 リシアは杖を構えた。


 風の魔力が集まる。

 空気が、薄く揺れる。


 良樹は、リシア用のインバータへ意識を向けた。


 初期出力。

 極小。

 立ち上がりは遅く。

 逃がし線確保。

 異常時、段階停止。


「行くぞ」


「ええ」


 端子台から、細い魔力線が伸びた。


 それは読み出しの時の接続ケーブルとは違った。


 見るための線ではない。

 返りを見る信号でもない。


 供給線。


 良樹の魔力が、端子台を通り、リシアの魔力の流れへ重なる。


「っ……!」


 リシアの指が杖を握りしめた。


 小さな風遮膜が、わずかに揺れる。


 良樹は即座に出力を落としかけた。


「リシア、止めるか」


「う、うぅぅぅ……」


 リシアは目を閉じていた。

 強く閉じている。


 いつものように睨む余裕もない。

 怒鳴る余裕もない。


 良樹の魔力が、端子台を通って、リシアの魔力の流れに重なっていた。


 読み出しとは違う。


 見られるのではない。

 触れられるのでもない。


 入ってくる。

 そして、自分の魔法の流れに、内側から合わせられる。


「だ、大丈夫だから」

「私は大丈夫だから……」


 声が震えている。


 けれど、拒絶ではなかった。


「だから、もっと……」


 良樹の指が止まった。


「もっと、って」


「押さないで」

「流し込まないで」

「……合わせて」

「私の流れに、もっと……」


 カレンが両手で口元を押さえた。

 耳まで真っ赤になっている。


「リ、リシア……」

「今の言い方、すごく、その……」


「違うのよ、カレン」

「今のは違うの」

「そういう意味じゃなくて」


 クラリスは口元に手を添え、穏やかに微笑んだ。


「リシア」

「技術的には正しい指示だと思います」


「でしょう!?」


「ですが、言い方はかなり危険です」


「分かってるわよ!」

「でも今、言葉を選ぶ余裕がないのよ!」


 良樹は端子台を見たまま、低く言った。


「お前ら」

「ツッコミで出力を乱すな」


「乱してるのはリシアの言い方です……!」


 カレンが真っ赤なまま言う。


「私だって好きで乱してるんじゃないわよ!」


 リシアは目を閉じたまま、必死に呼吸を整えた。


「火が先に立つと暴れる」

「水が遅れると、圧が逃げる」

「風を少しだけ早く」

「土は固めすぎないで」

「そう……そこ」

「そこなら、私が受けられる」


 良樹は息を呑んだ。


 リシアが、良樹の盤を感覚で支えている。


 良樹が回路として組んでいるものを、リシアは魔法使いの身体感覚で受け止めている。


「……すげえな」


「感心してないで」

「集中しなさいよ……」


「悪い」


「謝らなくていいから」

「今、切らないで」

「切ったら、流れが跳ねる」


 リシアは、目を閉じたまま言った。


「そのまま」

「もっと細く」

「でも、奥まで」

「私の制御に、重ねて」


 カレンが、限界まで赤くなって固まっていた。


 クラリスは微笑んだまま、静かに言った。


「リシア」

「今のもかなり危険です」


「分かってるわよ!」

「でも言葉を選ぶ余裕がないって言ったでしょ!」


 良樹は、端子台の出力をさらに絞った。


 細く。

 浅くではない。

 弱く。

 しかし、途切れないように。


 リシアの魔力に押し込まず、添わせる。


 火。

 水。

 風。

 土。


 四つの流れが、ほんの一瞬だけ噛み合った。


 小さな風遮膜が、野原の空気を柔らかく押した。


 リシアが、短く息を吐く。


「……できた」


 良樹も盤を見た。


「ああ」

「今のは、俺一人じゃ無理だ」


 リシアは、ようやく目を開けた。


 頬は赤い。

 目尻も少し潤んでいる。

 それでも、口元だけはいつもの強気を取り戻そうとしていた。


「当然でしょ」

「私の魔法なんだから」


 良樹は短く頷いた。


「ああ」

「お前の魔法だ」

「俺の盤を、お前に合わせる」


 リシアは、少しだけ視線を逸らした。


「……分かってるじゃない」


 良樹は、次にリシアへ小さな火球を作らせた。


 火球そのものは小さい。

 ただし、良樹の魔力が重なった瞬間、火の輪郭が一段濃くなる。


「出力、上がってるわ」

「でも、雑に流すと火が先に立つ」


「水と風は?」


「遅れる」

「だから、さっきと同じ」

「押さないで」

「私の流れに合わせて」


「ああ」


 火球は、リシアの指先で小さく揺れた。


 暴れない。

 消えない。

 しかし、以前より濃い。


 リシアはそれを見て、少しだけ息を呑んだ。


「これ」

「私一人の魔力じゃないのに」

「私の魔法として動いてる」


「それが必要だ」

「俺の形で使うな」

「リシアの形で使え」


 リシアは、火球を消した。


「本当に、変な男ね」

「普通は自分が強くなる方を考えるでしょ」


「俺一人が強くなっても、三人を嫁にできねえ」


「そこで嫁を出すの、本当にずるいわ」


 良樹は、何も言い返せなかった。


   ◇


 次はカレンだった。


 カレンは実戦用の剣を抜いた。


 刃が朝の光を拾う。


 良樹は、その刃を見てから言った。


「剣に魔力が乗ったら、まず丸太を浅く斬れ」

「深く入れようとするな」

「剣が引っ張られたらすぐ止めろ」


「はい」


「身体強化じゃない」

「お前の中で止めるな」

「受けたら、剣へ流せ」

「必要なら盾にしろ」


「はい」


「怖かったら止める」


「はい」


「無理なら言え」


「はい」


 カレンは、剣を両手で握った。


「でも」

「できれば、少しだけ続けさせてください」


 良樹はカレンを見る。


「続ける理由があるならな」


「あります」

「良樹さんの魔力を、私の形にできるかもしれません」


 良樹は少しだけ黙った。


 それから頷く。


「分かった」

「ただし、異常が出たら止める」


「はい」


 良樹はカレン用のインバータへ意識を向けた。


 初期出力は極小。

 立ち上がりは少し早め。

 ただし身体補助へ流れすぎないよう絞る。

 剣への逃がしを優先。

 防御膜の発生時、上限を一段下げる。


「行くぞ」


「はい」


 端子台から、細い供給線が伸びる。


 カレンの手首に触れる。

 そこから、魔力回路へ入る。


「ぁ……っ」


 カレンの肩が震えた。


 剣を握る指に、薄い光が走る。


「怖いです」

「恥ずかしいです」

「良樹さんの魔力が、中に来ます……」


「止める」


 良樹が即座に出力を落とそうとした。


「止めないで下さい……」


 カレンは、震えながら首を振った。


「がんばれます」

「まだ、がんばれるから」

「止めないで……」


「カレン!」


 リシアが叫んだ。


「今のは駄目!」

「今の言い方は駄目よ!」

「良樹の集中力が死ぬ!」


 良樹は端子台を見たまま言った。


「もう半分死んでる」


「死なないで!」

「試験中でしょ!」


「分かってる」

「だから止めようとしてる」


「止めないで下さい……」


「カレン、追撃しない!」


 カレンは真っ赤になりながら、剣を握りしめた。


「す、すみません」

「でも、これ」

「剣に流せます」


 クラリスは静かにカレンを見ていた。


「カレン」


「は、はい……?」


「とても健気で、可愛らしいです」


「クラリス!?」


「ですが、良樹くんにその言い方をすると、停止判断が遅れる危険があります」


「そ、そんなつもりでは……!」


「はい」

「だから余計に危険なのです」


「余計に、ですか……!」


 良樹は歯を食いしばりながら、出力を細く保った。


「カレン」

「身体の中で止めるな」

「剣へ流せ」

「怖い方向へ置け」


「はい……!」


 カレンは剣を前へ出した。


「身体の中で止めると、怖いです」

「でも、ここに置くと」

「怖い方向に、置けます」


 剣の刃に、薄い光が沿った。


 カレンは息を呑む。


「ここに、置けます」


「斬れるか」


「はい」


 カレンが一歩出た。


 怖がっている。

 けれど足は止まらない。


 剣が丸太の表面を浅く走る。


 木肌が、普通の斬撃よりも深く裂けた。


 良樹は、すぐに出力を絞る。


「深追いするな」

「今ので十分だ」


「はい」


 カレンは剣を戻した。


 呼吸が少し荒い。

 だが、目は逃げていない。


「今の」

「剣に乗りました」


「ああ」

「決定力は上がるな」


 リシアが額を押さえる。


「……言い方は危ないのに、やってることはちゃんと強化なのよね」

「ずるいわ、カレン」


 クラリスが頷く。


「はい」

「怖さを攻撃方向へ変換しています」

「カレンらしいです」


「そ、そうでしょうか……」


「はい」

「言葉の危険度も含めて」


「それは、褒められているのでしょうか……」


 良樹は小さく息を吐いた。


「次は盾だ」

「リシア、弱い風を頼む」

「本当に弱く」


「分かってるわよ」


 リシアが指先で小さな風弾を作る。


 カレンは、それが飛んでくる方向を見た。


 怖い。

 当たっても痛くない程度だと分かっている。

 けれど、魔力が飛んでくる方向は怖い。


 だから、見る。


 だから、そこへ置く。


「来ます」


「ああ」


 リシアの弱い風弾が飛ぶ。


 カレンは剣を前へ出した。


 剣先から、薄い膜が広がる。

 人ひとりを完全に覆うほどではない。

 しかし、来る方向を知っていれば十分だった。


 風弾は、膜に触れて横へ逸れた。


 カレンの肩が震える。


「守れました」


「ああ」


 良樹は頷いた。


「盾役もできる」

「ただし常時じゃない」

「怖い方向に集中して置く形だ」


「はい」

「怖いところを、見ます」


 良樹は、カレンの剣と盾を見た。


 怖がり。

 おどおどしている。

 けれど、危ない場所から目を逸らさない。


 その怖さが、剣になり、盾になる。


「怖いまま、守れるな」


 カレンの目が、少し潤んだ。


「はい」

「怖いまま、守ります」


   ◇


 最後はクラリスだった。


 クラリスは藁束の前に立ち、袖を軽く整えた。


 いつもの法衣。

 いつもの柔らかな表情。

 いつもの清楚な立ち姿。


 だが、良樹は知っている。


 その手が、魔物を殴り飛ばすことを。

 その足が、交差法で攻撃線を外すことを。

 その目が、筋肉、関節、骨格、壊す場所を静かに見ていることを。


 クラリスの真骨頂は、ただ強く殴ることではない。


 通すこと。


 表面を抜き、奥へ届かせること。


 そして今、良樹が試したいのは、さらにその前だった。


「クラリス」


「はい」


「まず飛ばすな」

「拳にまとわせろ」

「今までと同じように打て」

「違いは、反動をどこで受けるかだ」


 クラリスは、自分の右手を見る。


「良樹くんの魔力を、拳と腕に薄くまとわせるのですね」

「私の身体で受けていた返りを、外側へ逃がす」


「ああ」

「威力を上げるためじゃない」

「まず壊さないためだ」


 リシアが静かに聞いていた。


「つまり、クラリスの打撃そのものが強くなるというより」

「今まで身体で受けてた分を、良樹の魔力が逃がすのね」


「そうだ」

「正確には肩代わりじゃない」

「受け止めるんじゃなくて、流す」


 カレンは、少しほっとしたように言った。


「クラリスが怪我をしにくくなるんですね」


「それが一番大事だ」


 良樹はクラリス用のインバータへ意識を向けた。


 初期出力は極小。

 立ち上がりは緩やか。

 上限は低く。

 肩・肘・手首への返りを監視。

 拳と腕の外側へのまとわせを優先。

 拳先への放出は第二段階。

 連続供給禁止。


「行くぞ」


「はい」


 端子台から、細い供給線が伸びる。


 クラリスの手首へ。

 そこから、魔力回路へ。


 クラリスは、静かに目を閉じた。


「んっ……」


 小さな声が漏れる。


 だが、崩れない。

 膝も揺れない。

 呼吸も整っている。


 ただ、頬がわずかに赤い。


「大丈夫か」


「はい」

「良樹くんのが、私の中に入っているのを感じます」


 野原の空気が止まった。


「クラリス」


 リシアの声が低くなった。


「はい?」


「言い直しなさい」

「今すぐ、主語と目的語を正確に言い直しなさい」


 クラリスは清楚に微笑んだ。


「良樹くんの魔力が、私の魔力回路の中に入っているのを感じます」


「最初からそう言いなさい!」


「省略しても伝わるかと」


「伝わりすぎるのよ!」


 カレンは両手で顔を覆っていた。


「あ、あの……」

「分かっていても、びっくりします……」


 クラリスは微笑む。


「カレンは正直で可愛いですね」


「今は私ではなく、クラリスの話です……!」


「そうでした」


「そうでした、じゃないです……!」


 クラリスは、自分の胸元に手を添えた。


「それに」

「とても大きいです」


「だから!」


 リシアが叫んだ。


「魔力量の話です」


「分かってるわよ!」

「分かってるけど、全部言い方が危ないの!」


 カレンは顔を覆ったまま、小さく震えていた。


「クラリス、すごいです……」

「平然として言えるのが、すごいです……」


「平然とはしていませんよ」

「私も、かなり恥ずかしいです」


「その顔で言われても説得力がないわ!」


 良樹は眉間を押さえた。


「クラリス」

「正確に、かつ危なくないように言え」


「難しいですね」


「難しくしてるのはお前だ」


 クラリスは、静かに右腕を上げた。


「では、まず拳にまとわせます」


「ああ」

「それでいい」


 クラリスは藁束の前に立った。


 踏み込みは、いつもと同じ。

 肩の入れ方も、拳の軌道も変えない。


 ただ、拳の周りに薄い魔力がまとわりついている。


 白い指が握られる。

 拳が短く走る。


 鈍い音がした。


 藁束が大きく揺れる。


 だが、クラリスの肩は跳ねなかった。

 肘も流れない。

 手首も固めすぎていない。


 良樹はすぐに聞いた。


「痛みは」


「ありません」


「肩は」


「軽いです」


「肘は」


「返っていません」


「手首は」


「いつもより、ずっと楽です」


 良樹は、そこでようやく小さく息を吐いた。


「なら、成功だ」

「威力を上げるより、そっちの方が大事だ」


 クラリスは、自分の拳を見つめた。


 そして、ほんの少し頬を染めて、清楚に微笑んだ。


「はい」

「良樹くんが、私の中を貫いて」

「外から支えてくれました」


「「言い方!」」


 リシアとカレンの声が、綺麗に重なった。


 クラリスは、不思議そうに首を傾げる。


「何か、おかしかったでしょうか」


「おかしいわよ!」

「主語が良樹で、目的語が私の中で、貫いてって言ったのよ!?」


 リシアが叫ぶ。


 カレンは両手で顔を覆っていた。


「クラリス……」

「分かっていても、びっくりします……」


「ですが、事実です」


「事実だから困るのよ!」


 良樹は、眉間を押さえた。


「クラリス」

「頼むから試験報告で俺の集中力を削るな」


「では、言い直します」


「待て」


 リシアが即座に止めた。


「今、正確に言い直すと悪化する気がする」


「ですが、技術報告は正確であるべきでは?」


「そうだけど!」

「そうだけど今は違うの!」


 クラリスは少し考えた。


「良樹くんの力が、私の内側を通って、外側から支えてくれました」


「惜しい!」


 リシアが頭を抱える。


「何がでしょう」


「かなり直ったけど、まだ危ないのよ!」


 カレンが顔を覆ったまま、小さく言った。


「クラリスの正確さは、時々危険です……」


「勉強になります」


「たぶん、勉強してないです……」


 良樹は、盤を見ながら言った。


「ただ、内容自体は重要だ」

「内側を通して、外側で支える」

「それができたなら、今まで肩や肘に返っていた衝撃を逃がせる」

「殴り方は変えない」

「身体の壊れ方だけを減らせる」


 クラリスは、静かに頷いた。


「はい」

「今まで通り届きます」

「でも、壊れにくいです」


「それが一番大事だ」


 良樹は、藁束から少し距離を取らせた。


「次は、拳の先へ逃がす」

「ただし飛ばそうとするな」

「まとわせた魔力を、少し前に抜くだけだ」


「はい」


 クラリスは、今度は藁束に拳が触れる寸前で止めた。


 拳の表面にまとっていた魔力が、ほんの少しだけ前へ滑る。


 拳は触れていない。


 だが、藁束の表面が小さく沈んだ。


「……届きました」


 クラリスが静かに言った。


 良樹の目が変わる。


「今ので拳一つ分だな」

「それ以上はまだ駄目だ」


「はい」


「肩は」


「少しだけ返りました」


「肘は」


「大丈夫です」


「手首は」


「問題ありません」


「膝と足首は」


「踏み込みが浅いので、大丈夫です」


 良樹は頷いた。


「初回はここまで」

「放出は一撃だけ」

「連発禁止」


「はい」

「壊れずに届く範囲で止めます」


 リシアが息を吐いた。


「言葉は危ないのに、判断はまともなのよね」


 カレンが頷く。


「はい……」

「そこが、クラリスです」


 クラリスは、良樹を見た。


「以前なら」

「もう少し出力を上げても大丈夫です、と言ったかもしれません」


 良樹は黙って聞いた。


「でも今は」

「これなら、無理をしなくても届きます」


 良樹は、短く頷いた。


「それでいい」

「壊すために繋ぐんじゃねえ」

「壊れずに届かせるために繋ぐ」


 クラリスの表情が、ほんの少し柔らかくなった。


「はい」

「良樹くんを悲しませないためにも」


 良樹は一瞬、息を止めた。


 昨日、読めてしまった感情。


 クラリスが壊れたら、良樹が悲しむ。

 そう思ってほしい願望。

 そして、実際にそういう男でありたいと思ってしまった自分。


 それを、良樹は口にしない。


 ただ、目の前のクラリスを見る。


「……それなら、なおさら壊れるな」


「はい」


 クラリスは、静かに頷いた。


   ◇


 三人それぞれの接続試験が終わったあと、良樹は三系統を同時に薄く繋いだ。


 リシア。

 カレン。

 クラリス。


 三人に、極小出力で同時供給する。


 成立した。


 それ自体は、問題ない。


 だが、実動作を重ねると、すぐに分かった。


 リシアが小さな火球を作る。

 カレンが剣の表面に魔力を乗せる。

 クラリスが拳に魔力をまとわせる。


 三つ同時。


 良樹は、盤の奥を見る。


「……やっぱりだ」


 リシアへ少し多く流すと、カレンの剣の光が薄くなる。

 カレンの盾を厚くすると、クラリスの拳先の魔力が弱くなる。

 クラリスに一瞬寄せると、リシアの火球が少し落ちる。


「三系統同時供給はできる」

「だが、三人同時に全開は無理だ」


 リシアが聞く。


「さっき言ってた共通ブレーカー?」


「ああ」

「大元が一つだ」

「リシアを上げれば、カレンとクラリスに回る余力が減る」

「カレンを厚くすれば、リシアとクラリスが薄くなる」

「クラリスに一瞬寄せれば、他二人は下がる」


「つまり、取り合い?」


「言い方」


 良樹は即座に言った。


 クラリスが微笑む。


「良樹くんの魔力を、三人で分け合うのですね」


「クラリス」

「言い方」


「ですが、事実です」


「事実だけど、今は技術説明中よ」


 カレンが赤くなりながら、小さく言った。


「で、でも」

「必要な時に分け合うなら、私は大丈夫です」


 リシアが額を押さえた。


「カレンまで危ない方向に行かない」


 良樹は真顔で言った。


「分け合うんじゃねえ」

「配分だ」


 リシアが半眼になる。


「同じじゃない」


「同じだが、戦闘中にその言い方をするな」

「出力が乱れる」


「乱してるのは、だいたい私たちの言い方ね」


「自覚があるなら助かる」


「自覚があっても止まるとは限らないわよ」


「そこを止めろ」


 良樹は、盤を見た。


 三つの系統。

 三つのインバータ。

 一つの共通ブレーカー。


 リシア用は、魔法に寄せる。

 カレン用は、剣と盾に逃がす。

 クラリス用は、拳にまとわせ、必要なら拳先へ逃がす。


 設定値は違う。

 立ち上がりも違う。

 上限も違う。

 危険になる条件も違う。


 だが、回路上の場所は同じだった。


 誰か一人が主回路で、誰かが予備ではない。

 誰か一人だけが特別な太い線で、他が細い枝ではない。


 三人とも、同じ共通ブレーカーから出ている。


 良樹は、その構造を見て、少しだけ胸が詰まった。


 自分の心が形になったのだと、今なら分かる。


 三人とも選ぶ。

 だが、三人を同時に無限には支えられない。

 できないことを、できるとは言わない。

 無理をすれば壊れる。


 だから、配分する。

 だから、止める。

 だから、守る。


 その上で、三人とも諦めない。


「良樹?」


 リシアが声をかける。


「何を見てるの?」


 良樹は、少しだけ黙った。


「三人とも」

「同じところに繋がってる」


 三人が、動きを止めた。


「出力は変える」

「戦闘中は、必要なところに寄せる」

「でも、回路上の扱いは変えない」

「誰かを予備にはしねえ」

「誰かを後回し用にも、しねえ」


 良樹は、そこで少しだけ言葉を止めた。


「三人とも、同じところに繋ぐ」


 野原の空気が静かになる。


 リシアは、頬をわずかに赤くして視線を逸らした。


「……そういうことを、技術説明の顔で言うの、ずるいわよ」


 カレンは胸元で両手を握った。


「同じところ……」


 クラリスは、穏やかに微笑んだ。


「はい」

「とても良い仕様です」


「仕様の話だ」


 良樹が言うと、リシアは小さく笑った。


「分かってるわよ」

「分かってるから、余計にずるいの」


挿絵(By みてみん)


   ◇


 試験終了後。


 良樹は、野原に座り込んで、持ってきたメモに結果を書き足していた。


 端子台供給、三系統成立。

 個別インバータ必須。

 直結禁止。

 信頼接続。

 本人の遮断意思を最優先。


 リシア。

 魔法出力向上。

 火、水、風、土の感覚制御補助。

 エレメンタル・キャノン、水蒸気爆発弾など大型術式の安定に寄与する可能性あり。

 押し込まず、合わせる。


 カレン。

 剣への魔力付与成立。

 盾状展開成立。

 危険方向への防御集中。

 決定力不足の補助。

 怖さを潰さない。

 怖いまま守る。


 クラリス。

 拳への魔力纏い成立。

 通常打撃時の負担軽減。

 肩、肘、手首、膝、足首への反動監視必須。

 拳先への短距離放出成立。

 間合い延長は初期段階。

 出力上限低め。

 壊れずに届く。


 三系統共通ブレーカーあり。

 総供給量は一定。

 一系統へ寄せると他系統は低下。

 共通ブレーカーは盤の仕様。

 解除不可。

 全員常時全開不可。

 戦闘中は配分判断が必要。


 良樹は、最後に一行を書いた。


 三人を同時に強くするのではない。

 三人のどこへ、いつ、どれだけ流すかを決める。


 書いてから、良樹は筆を置いた。


「今日はここまでだ」


「まだできるわよ」


 リシアが言う。


「やらない」

「初回でこれ以上は危ない」


 カレンも少し名残惜しそうに剣を見た。


「でも、少しだけ掴めた気がします」


「だから止める」

「掴めた時が一番危ない」


 クラリスは静かに頷いた。


「良樹くんらしい判断です」


「実績だ」


「それは私たちの台詞では?」


「借りた」


 良樹がメモを閉じようとした時、リシアが横から筆を取った。


「おい」


「必要な追記よ」


 リシアは、良樹の最後の一行の下に書いた。


 焦らない。


 続いて、カレンがおずおずと筆を受け取る。


 でも、進む。


 最後に、クラリスが微笑んで筆を取った。


 壊れずに。


 良樹は三人を見た。


「また勝手に仕様追加するな」


 リシアは当然の顔をした。


「仕様じゃないわ」


 カレンが真面目に言う。


「確認項目です」


 クラリスが静かに続ける。


「安全条件です」


 良樹は、しばらく三人を見ていた。


 それから、短く息を吐く。


「……なら書く」


 良樹は、その三行を指で押さえた。


 焦らない。

 でも、進む。

 壊れずに。


 そして、その下にもう一行だけ書き足した。


 四人で。


 三人は、その文字を見た。


 リシアが少しだけ目を細める。

 カレンが泣きそうに笑う。

 クラリスが、静かに微笑む。


 魔導盤は、ただ撃つための盤ではなくなり始めていた。


 見るための盤。

 止めるための盤。

 撃つための盤。


 そして、繋ぐための盤。


 良樹はまだ、三人を完全には使いこなせない。

 三人もまだ、良樹の魔力を完全には受け取れない。

 共通ブレーカーの容量は小さく、配分を間違えればすぐに限界が来る。


 だが、道は見えた。


 魔法を重ねる魔法使い。

 怖いまま守る剣士。

 壊れずに届く僧侶。


 そして、その三人を等しく繋ぎ、必要な時に必要な場所へ流す男。


 英雄になるための次の段取りは、

 四人を繋ぐ小さな端子台から始まっていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

良樹が三人を「燃料」にせず、それぞれの形で強くするための盤。 ここから、四人で戦う形が少しずつ変わっていきます。

止め方を先に考える電気屋と、なぜか止まらない恋の事故。 引き続き見守っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ