特別感謝回「6500PV記念ラジオドラマ」
いつも読んでくださっている皆様方へ。
御礼の回を書こうと思い作り始めたものの。
あれよあれよと、悪ノリが過ぎてしまいました。
それでもよろしければご覧ください。
防音ブースの中。
卓上には、四本のマイク。
良樹、リシア、カレン、クラリスの四人は、大きなヘッドホンを着けて席についていた。
ただし、一人だけ状況を理解していなかった。
良樹
「――おい、押すな! 押すなって!」
リシア
「いいから、そこに座る!」
カレン
「よ、良樹さん。今日はおとぼけはナシです!」
良樹
「だから、何の話だよ!」
クラリス
「6500PV記念」
「ということらしいです」
良樹
「は?」
「なんだそりゃ。しかも、なんでそんな半端な数字なんだよ」
「普通、五千とか一万とか、節目でやるもんじゃねえのか?」
カレン
「あはは……作者さん、五千の時は気後れして、何もできなかったみたいで……」
クラリス
「しかし、一万という数字がまだ遠いうちに、この企画を思いついてしまった、と」
リシア
「――はぁ。まったく」
「私たちの生みの親なのに、どうしてこうヘタレなのかしら」
良樹
「じゃあ、Xとかでやりゃあいいじゃねえかよ」
リシア
「それは違うわ」
「確かに作者は、節操なくXにも私たちの絵を投稿してるけど」
「あくまで、なろうが本懐よ」
「ほら。見てごらんなさいよ」
そう言って、リシアはブースの外を指した。
良樹も、つられてガラスの向こうへ目を向ける。
そこには、
【そうだそうだ!】
と書かれたフリップを持つ男が立っていた。
良樹
「うわぁ……」
カレン
「良樹さん、良樹さん。落ち着いてください」
「こういう場では作者さん、喋り慣れていないそうなので、私たちが……」
ブースの外の男が、フリップを変える。
【カレン可愛い】
良樹
「ん……『カレン可愛い』だと」
「まあ、それは……うん」
カレン
「よ、良樹さん……!」
フリップが変わる。
【クラリス可愛い】
クラリス
「ありがとうございます」
良樹
「普通に受け取るのかよ」
さらにフリップが変わる。
【リシア可愛い】
リシア
「当然ね」
良樹
「そこは少しくらい照れろよ」
作者が満足そうに頷き、最後の一枚を掲げる。
【良樹は爆発しろ】
良樹
「お前がそうさせてんだろ!」
◇
リシア
「えーと、何」
「ここから読者のお便りコーナー?」
カレン
「お便り……いつ募集したんでしょうか」
クラリス
「作者のイマジナリー読者さんだそうです」
ブースの外でフリップが上がる。
【#】
カレン
「あはは……」
「では、一枚目」
「【なんで三人妻はそんなに仲がいいんですか? 普通、取り合いになりませんか?】」
クラリス
「あら」
「まだ、このような質問が来るのですね」
リシア
「いやぁ、最初はライバルだったけどね」
カレン
「は、はい」
「最初は私も……」
クラリス
「ですが、今は……家族、ですか」
リシア
「そうね」
「良樹もだけど、私は二人がいなくなったりするのは嫌だもの」
カレン
「はい……」
「でも、いつからって言われると」
「いつの間にか、そうなっていましたよね?」
クラリス
「ええ」
「良樹くんを好きになって」
「一緒に笑って、一緒に悩んで、一緒に叱って」
「気がつけば、お二人も私にとって大切な人になっていました」
リシア
「恋敵だったはずなのにね」
「いつの間にか、三人で良樹をどうするか相談する方が多くなってたわ」
良樹
「俺を何だと思ってんだ」
カレン
「放っておくと危ない人です」
クラリス
「はい」
リシア
「そこは満場一致ね」
良樹
「最後だけ息ぴったりじゃねえか」
◇
クラリス
「では――次のお便りです」
「【最近、FA的な要素なくなってる】」
「だそうです」
リシア
「あ、作者がブースの向こうで死んでる」
良樹
「図星かよ」
カレン
「だ、大丈夫でしょうか……」
ブースの外。
作者は胸を押さえ、ガラスにもたれかかっていた。
しかし、震える手で新しいフリップを掲げる。
【ぐふっ】
良樹
「返事する元気はあるんだな」
リシア
「で、実際どうなの?」
良樹
「俺に聞くなよ」
クラリス
「私たちに聞かれましても」
カレン
「えっと……」
「皆さんのお仕事や生活を書く方が、楽しくなってしまった、とか……?」
作者は、ゆっくりと頷いた。
【その通り】
良樹
「認めるのかよ」
◇
リシア
「では次のお便り――っていうより、これは良樹への要望かしら」
良樹
「俺に?」
「何て書いてある?」
リシア
「えーと……」
「【ステータス、オープン!! って言ってください】だって」
良樹
「なんだそりゃ」
「そんなことでよけりゃ――」
カレン
「良樹さん、良樹さん!」
良樹
「何だよ」
カレン
「作者さんが、あっちで……」
作者が、ものすごい勢いで首を横に振っている。
そして、フリップ。
【絶対NG!!】
良樹
「絶対NG……」
「なんか、こだわってるな。あれは」
クラリス
「かなり強い意志を感じますね」
リシア
「何なのよ、その部分だけは絶対に譲らない姿勢」
良樹
「知らねえよ」
「俺が一番意味分かんねえ」
◇
良樹
「で、次は――ああ」
「これは俺も、日本のラジオでよく聞いてたな」
「今日の一曲か」
「では、今日の曲はボン・ジョヴィの『It's My Life』」
リシア
「これ、あなたが前に歌ってた歌?」
良樹
「ああ」
「現場で機械組んでる時とか、車を運転してる時とか、よく聴いてた」
カレン
「どんな歌なんですか?」
良樹
「簡単に言うとな」
「俺の人生だ。俺の好きに生きる」
「そんな歌だ」
クラリス
「良樹くんらしい選曲ですね」
良樹
「そうか?」
リシア
「そうよ」
「責任だの、止め方だの、安全だの言ってるくせに」
「根っこのところは、結局そういう男じゃない」
良樹
「……否定はしねえ」
作者がフリップを掲げる。
【曲は流せません】
良樹
「そりゃそうだ」
◇
クラリス
「さて、それでは、これで最後の一枚ですね」
「どのような――」
「これは、少し荒れそうな質問です」
リシア
「何々」
「【作者のお気に入りのキャラBEST3は?】ですって」
カレン
「こ、これはまずいです……」
三人妻は、揃ってブースの外を睨んだ。
作者は冷や汗を流しながら、必死にフリップへ書き始める。
そして。
【一位タイ リシア・カレン・クラリス】
三人妻は、揃って満足そうに頷いた。
続いて、作者が次のフリップを掲げる。
【四位 良樹】
良樹
「何で俺だけ四位なんだよ!」
リシア
「妥当じゃない?」
カレン
「よ、良樹さんもお気に入りではあるんです」
クラリス
「ただし、私たちより下ということですね」
良樹
「丁寧に言い直すな!」
作者は、さらに新しいフリップを掲げる。
【なお、使いやすいキャラBEST3】
【一位 クリス】
【二位 グレッグ】
【三位 該当なし】
四人
「「「「――は?」」」」
良樹
「何だよ、その別枠は」
カレン
「グレッグさん、唯一、一人称が『拙者』だったりしますもんね……」
作者が勢いよく頷き、次のフリップを掲げる。
【詰まった時にクリスを放り込めば大抵何とかなる】
しばし沈黙。
クラリス
「…………」
リシア
「最低」
カレン
「そ、そんな理由だったんですか……」
良樹
「兄貴、便利キャラ扱いかよ」
クラリス
「……否定はできません」
良樹
「できねえのかよ」
クラリス
「兄様は、誰とでも会話できます」
「場を動かせます」
「必要な情報も自然に引き出します」
「女性を口説きます」
リシア
「最後はいらない」
クラリス
「ですが、大抵何とかなります」
良樹
「認めるのか……」
作者が、さらに新しいフリップを掲げる。
【良樹と主人公交代した方がなろうっぽい】
良樹
「…………」
リシア
「ちょっと」
カレン
「さ、作者さん……?」
クラリス
「兄様」
「作者がお呼びですよ」
良樹
「呼ぶな」
リシア
「というか、あんたが作った主人公でしょうが!」
作者は慌てて、新しいフリップへ書き込む。
【良樹君】
【君しかこの物語の主人公は務まらない】
良樹は、その文字をしばらく見つめた。
良樹
「……まあ」
「そりゃあな」
三人妻は、揃ってうんうんと頷いた。
作者も満足そうに頷く。
そして、最後の一枚を掲げた。
【爆破されたくなければ、主人公を全うしろ】
良樹
「脅迫かよ」
リシア
「まあ、作者らしいわね」
カレン
「頑張ってください、良樹さん」
クラリス
「期待の裏返し、なのでしょう」
良樹
「随分と物騒な期待だな、おい」
四人の声が、防音ブースの中に響いた。
しばらくして。
リシアが、手元の台本へ目を落とした。
リシア
「――さて」
「随分と好き勝手やったけど、最後くらいはちゃんと締めましょうか」
カレン
「はい」
カレンはマイクへ向き直り、少し緊張しながらも柔らかく笑った。
カレン
「ここまで私たちのお話を読んでくださって、本当にありがとうございます」
クラリス
「皆様が読んでくださり」
「笑ってくださり」
「時には、私たちと一緒に悩んでくださったからこそ」
「この物語は、ここまで続くことができました」
リシア
「6500PVなんて、確かに半端な数字かもしれないけど」
「その一つ一つが、誰かが私たちの物語を開いてくれた証拠なのよね」
カレン
「作者さんも、いつも皆さんの反応をとても喜んでいます」
「少し気後れしたり」
「すぐ不安になったりもしていますけど……」
ブースの外で、作者が静かにフリップを掲げた。
【いつも本当にありがとうございます】
良樹は、その文字を見た。
それから、マイクの前で少しだけ姿勢を正す。
良樹
「まあ……なんだ」
「俺たちがここまで来られたのは、読んでくれてるあんたたちのおかげだ」
「本当に、ありがとな」
リシア
「これからも、良樹と」
カレン
「私たち三人と」
クラリス
「この物語を」
四人
「「「「どうぞ、よろしくお願いします!」」」」
良樹
「それでは――」
四人
「「「「ご視聴、ありがとうございました!」」」」




