FILE.59 あたしの推理
*登場人物紹介*
・高堂達志
いつものドジな小さい子。中学1年。
・栗見瑠花
高堂君の同級生。中学1年。
・小村木心春
料理研の先輩。ミステリオタク。中学3年。
・大里海奈
料理研の部長。高校2年。
・玉田真吾
科学部の部員。見た目運動部なのに中身は文化部一筋のもよう。高校2年。
「な、なんなんでしょうか、これ……」
高堂の言葉のあとに訪れた静寂。それを破ったのは、彼の同級生である瑠花だった。
「ゆで卵、でいいんだよね。中に入ってるやつ。何を意味してるのかが全然分からないんだけど……」
彼女は困惑気味につぶやく。
「誰だよ、こんな悪戯したヤツ。怒りゃしないから、名乗り出やがれ!」
不機嫌そうな顔をして、真吾が声を荒げた。もとの顔立ちから、ブチギレ寸前のヤンキーのようだ。
「そ、それで名乗り出る人なんていないと思うけど……」
いつもの彼からは想像できない剣幕に引き気味になりながら、海奈が言った。
「それにしても、気味が悪いですね。牛乳瓶にゆで卵という組み合わせもそうですが、もっとおかしいのが、ゆで卵が瓶の中にすっぽり入っているところです。見ての通り、瓶の口はゆで卵が通るには狭すぎます。無理矢理ねじ込めば入りそうな気もしますが――」
「中のゆで卵には傷1つ付いていない……そう言いたいんでしょ? なんだかあなた、探偵みたいね」
心春に言われて、青野の口調が伝染したのだろうかと高堂は思う。それから、彼は近くの机の上に牛乳瓶を置いた。
「とにかく、問題は誰が、どうやってこんなことをしたかということです。誰か心当たりのある方はいらっしゃいますか?」
高堂はそう言って、他の四人を見回した。
「さあな。俺は知らねェぞ」
「科学部の彼が分からないんだったら、私もお手上げね。文系一筋で、理科なんてまったく分からないから……」
「私も分かりません。瓶詰め卵なんて、生まれてこの方見たことありませんから。理科の実験でも、こんなのはなかったと思いますよ。ねえ、高堂君?」
「う、うん。そうだね。ところで小村木先輩、あなたはどうですか?」
高堂は何か深く考え込んでいる様子の心春に尋ねた。だが、彼女は黙って俯いたままで、なんの反応もない。高堂は声のボリュームを上げて、
「小村木先輩! どうなんですか?」
と聞き直した。すると、心春は驚いたようにはっと顔を上げると、
「え、ええ? なんの話かしら」
「い、いや、もう結構です」
高堂は少し呆れたように返した。
「それで探偵さん、他に聞きたいこととかないのかしら?」
海奈が高堂をじっと見つめる。高堂は、年上の女子への免疫がないのか、少しドキドキしながら必死に頭を巡らせた。
(青野先輩なら、次にどんなことを聞くんだ? ええっと、いつも先輩がしてるのは……トリックを解き明かして、そこから犯人を導き出すんだったかな? てことは、次は犯人を理詰めで当てるために……ええっと、アリバイを聞けばいいんだ!)
少しの間黙って考えた高堂は顔を上げると、四人にコホンと咳ばらいをした。
「ええっとですね、次に聞くことは、皆さんのアリバイです。えー、たしか、9時20分頃に僕が来た時、栗見さんと一緒に牛乳瓶のケースを覗き込んだんですが、その時はまだこんなものはありませんでした。ね、栗見さん?」
高堂に確認された瑠花は、「うん、そうだったね」と言って首肯した。
「で、それからこれを発見したのが今なわけだから……9時45分から50分くらいということになります。ということは、これをやらかした犯人はこの25分くらいの間に何らかの方法で卵を瓶の中に入れたことになるんです」
「なるほど。その間の俺らのアリバイを聞きたいってワケか。じゃあチビ助、まずはお前からだ」
“チビ助”呼ばわりをいい加減やめて欲しいなと思いながらも、高堂は口を開く。
「えーっと、僕は20分にここに来てからずっと調理室の奥の方にいました。玉田先輩が帰った後に洗い物をさせられ、それが終わってから発見するまで誰かしらと話してたりしてました。ですよね」
一旦区切って家庭科室にいた3人に確認する高堂。3人が少し考えながらも頷いたのを見届けて、彼は話を続けた。
「つまり、僕は問題の瓶を発見するまで一度もケースに近づいていません。よってアリバイは完璧――」
「ちょっと待てよ」真吾が高堂の言葉を遮った。
「お前が発見するふりをして、実はその時に卵を入れたって可能性も考えられるんじゃないのか? なら完璧じゃねえだろ」
「うぐっ、それは……」
言葉を詰まらせた高堂は、確かにと頷きかける。だが、その寸前で心春が鋭い声をその場に滑り込ませた。
「無理ですよ。このちびっ子にはこの犯行は不可能です」
彼女の断言に、一同が呆気にとられたように硬直する。
「な、なんでそう言えるのかしら?」
「簡単なことですよ、大里先輩。彼は片手に空の牛乳瓶を持っていたじゃないですか。そして、その瓶をケースにしまってすぐに声を上げた」
「それがどうかしたのか?」
「あたし、ここから彼をずっと見てたんですけど、彼がケースの中に入れたのは空の瓶を持った右手だけでした。つまり、彼には卵を瓶の中に入れる暇なんてありませんよ」
「それだけで犯人候補から外すのはどうかと思うんだが? ほら、第一発見者は真っ先に疑えってよく言うじゃねーか。それに、もしかしたらこいつがマジシャンみたいに卵を右手に隠して、ケースの中に手が隠れると同時に素早く瓶の中にねじ込んだかも知れねーし」
心春が高堂を必要以上に擁護するので、真吾は不満気に言った。心春は静かに首をふる。
「見てください。彼が着ているのは半そでのTシャツですよ。この袖に卵を隠すのは無理ですし、だいいち、ほら、卵には傷や汚れが全くついていないじゃないですか」
心春は高堂が机の上に置いた瓶を手に取ると、真吾に見せつけた。
「瓶の中にねじ込んだのなら、傷一つないだなんてありえないですよね」
それから場がしんと静まる。
「あ、あの、小村木先輩、ありがとうございます」
先ほどの小競り合いもあってか、高堂は気まずそうにして礼を言った。
「それで、まあ、とりあえず他の方たちのアリバイの方をお願いします」
高堂の言葉に瑠花が頷くと、
「そうだね。じゃあ私から……。私は、玉田先輩が出て行ってからちょっと話をして、それから使ったボウルとかを洗ったり、卵を冷蔵庫に戻したりしてました。えーっと、一度だけトイレに行ったので、その時に一人になるチャンスはあったと思いますけど……でも、それも五分にも満たなかったかと思います。それ以外の時間は高堂君や大里先輩と話しながら作業をしてました。ですよね?」
「ええ、そうね。私もだいたい瑠花ちゃんと同じで、お話をしながら調理具を洗ったりしてたわ。そういえば、瑠花ちゃんがトイレから帰ってきたのと入れ違いで私もトイレに行ったわね。その間は一人だったんじゃないかしら」
「俺はずっと科学室にいたよ。今日は暇だったから、アンモニアの噴水実験をやってたよ。あれ、なんだかわからないけど面白くなってくるんだよな」
「ああ、中1の三学期あたりの理科でやるやつですね。うちの先輩がたまたまその話をしてたので覚えてます」
高堂は自然と高1三人組の顔を頭に思い描いた。
「実験といえば、最近やったシュウ酸二水和物を水に溶かして、モル濃度を求める実験をしましたね。何の意味があるのかよくわかりませんでしたけど……」
心春がふと思い出したようにして言う。が、真吾以外の三人はいきなり何を言い出すんだと、瞬きをせずに首を傾げていた。
「おいおい、中1二人はともかく、大里まで覚えてねーのかよ」
「覚えてるわけないでしょ、私は筋金入りの文系なんだから。というか、シュウ酸ってそもそもなんなの?」
「ほうれん草に多く含まれていて、摂りすぎると尿結石になるらしいです」
「ふーん」
海奈の問いかけに、心春が丁寧な口調で答えた。それから、「で、その話は置いといて……」と手で物を移動させる動きをした。
「玉田先輩のアリバイもないってことなんですね。じゃあ、最後はあたしか。あたしはクッキーが焦げないようにずっとオーブンを見張ってたわ。あそこにあるクッキーの量があたしのアリバイの証明になるのかしら? と言っても、もうほとんど残ってないみたいだけどね。まあ、調理室の奥で作業してたから、ケースのところに行こうとしても洗い物をしていた三人にばれちゃいそうだけど」
「つまり、アリバイは完璧ということですか……」
確かに、心春のアリバイは完璧であろう。自分たちが調理室の真ん中(ガスコンロと共に机に備え付けられている水道を使っていたのだ)で食器洗いをしていたのだから、彼女がケースに近づくことはまずできない。ということは、容疑者は栗見瑠花、大里海奈、玉田真吾の三人となる。
結局誰が犯人なのだろうかと悩んだ高堂は、取りあえず別のところからアプローチすることにした。
「えー、もしかしたら――というか、たぶん犯人はどこか別の場所で瓶の中にゆで卵を入れ、それを何食わぬ顔でこの調理室の中に持ち込み、ケースの中に入れたと思うんです。問題のケースはこの食器棚に隠れて中からはあまりよく見えないようになってますし……」
「そうみたいね」と瑠花。
「で、僕が来たときに確認したんですけど、たしか瓶の数は4本でした。で、ここに僕が直前に入れた1本を足すので全部で5本――今と数はあってますよね。ということは、犯人は僕が確認してから瓶を取って、その中に卵を詰めた。それから、その瓶をもとの位置に戻したということになります」
「確かに、いくらそこが棚で隠れているといっても、ごそごそやってたら中にいた人が気付くもんね」
海奈が頷く。
「ということは、犯人は外に持ち出して、一人になってから卵を入れた……で、それができるのはそこにいる三人と」
「結局何も進展してないじゃない」
瑠花は「本当に大丈夫か?」と言っているような目で高堂をじーっと見た。
「だ、だね。あ、か、数と言えば、卵の数はどうなってますかね? ほら、犯人が使ったかもしれないし……」
「ああ、それなら私が片付けるときに見たけど、8個詰のパックの中に2個入ってたよ」
「なら、玉田君にあげた時と変わらないわね。3個あったうちの1個を彼にあげたから」
「てかよぉ」真吾は口を挟んだ。
「そもそも、そこから盗んでも生卵なんだから、どっかでゆでなきゃいけないんじゃねーか? 調理器具も火になるようなものもなしに、ゆで卵が作れるわけねーし」
「たしかにそうですね。私たちがトイレに行ったのはどちらも5分くらい。5分じゃあんなにしっかりしたゆで卵は作れそうにないわよね」
瑠花にそう言われた高堂は、眉をギュッと寄せて、少しばつの悪そうな表情になった。
(どうしよう……これ以上は僕には無理だ……。どうしよう……)
「で、探偵君。聞きたいことはもうないの? で、犯人は分かったのかしら?」
「いやぁ、それは、そのぉ……」
気まずそうに肩を竦める高堂。
「やっぱり、僕には荷が重すぎます……。あ、あの、青野先輩に電話して聞いてみてもいいですか? あ、青野先輩というのはうちの部活のめちゃめちゃ頭が切れる先輩なんですけど……」
「だめよ。うちの学校、携帯電話の使用禁止じゃん」
瑠花の言葉に、高堂は「ですよね……」と苦笑いを浮かべた。
それからまた、しばらく静かになる。次に声を発したのは、事件が起こってからあまり話していない心春だった。
「そういえば、この前テレビで見たんだけど、ペットボトルを手で凹ませて、殻を割った生卵の黄身に近づけると、綺麗に黄身だけがペットボトルに吸い上げられるんだって」
心春の言葉に、瑠花が首を傾げた。
「今回の件に似ているって言いたいんでしょうけど……ペットボトルが柔らかいからそんなことができるのであって、固い牛乳瓶では無理ですよ」
「そっかあ……いい線いってると思ったんだけどなぁ」
そう言って、心春は高堂の方をほんの一瞬だけちらと見た。
*
それから十分後。調理室の中には、唸り続けている高堂と、容疑者となった3人、そしてなぜか薄っすらと笑みを浮かべている心春がいた。5人とも声一つ発さず、しんとした空気を保ち続けている。
それは、先ほどから貧乏ゆすりを続けていた真吾が苛立った声を発したことによってようやく解けた。
「なあ、いい加減にしてくれねェか? 探偵気取んのもいいけどよ、もういいかげん迷惑なんだよ。さっさと解放しろよ。あ゛ー、イライラする!!」
「た、玉田君……」
いつになく不機嫌な真吾に、海奈は戸惑っているようだった。
高堂は彼らを見てようやく唸るのをやめると、顔を上げた。彼は申し訳なさそうな、そんな目をしている。
「あのぉ……やっぱり、青野先輩に電話させてください。僕だけじゃ荷が重すぎます。校則違反なのは承知の上なので……」
瑠花が何か言いたげにしていたが、高堂が捲し立てながらもう発信していたので、ため息をついて見逃すことにしたようだ。
「あ、青野先輩ですか? 今学校にいるんですけど……」
『なんだ高堂か。校則違反じゃん』
電話の相手は、突然の電話になにやら不機嫌そうだった。
「そんなことは分かってるんですけど……。あの、先輩の力を貸してほしいんです! 今、僕は調理室にいて……」
『あー、一人で部活だぁっていってハメはずそうとしたけど退屈になり、そのままふらついていたら調理室の前に来て、運悪く事件かなんかに巻き込まれたんだね。まあ、あんまり重くない、些細な事件だろうけど』
「せ、先輩はエスパーですかッ!?」
『エスパーって言うな!!!!』
驚いたように目を見開く高堂に、青野が海奈たちにも聞こえるくらいの声量で叫んだ。彼女たち四人は、ギョッとしたように高堂の携帯電話を見つめる。
「な、なんでそんなに大きな声を出すんですかぁ。僕の耳、壊れるかと思いましたよ」
高堂は電話を少し耳から話して、空いている方の手でさすった。
「でも、なんでそんな正確に分かっちゃったんですか? 僕、ほとんど話してないですよね? やっぱり先輩の推理力の凄さなんでしょうか……」
『いや、勘だよ。まあ、君と受験中の風美先輩を除いたメンバーは全員静岡にいるから、必然的に今日の部活は君一人だけ。君が一人であの部室を占領したらなにをしようとするのかは見て取るようにわかるし……。ああ、些細な事件っていうのは勘じゃないよ? もし重大な事件が起きたのだったら、君は真っ先に僕に電話をするはずだ。にもかかわらずそれをしてこないってことは、事件よりも校則の方が大事だったってこと。君一人で解決しようと必死になってたんだろうけど、結局頭の容量がオーバーして、やむなく校則やぶって僕に泣きついてきたんだろうね』
「ああ、傷つくのでその辺でやめてください……」
高堂は青野が発言するたびにつらそうな表情になっていく。最終的には、いつものように少しオーバーに胸をおさえていた。
『まあ、この辺でやめておこうか。で、肝心の事件の内容は?』
「ああ、それなんですけど……。牛乳瓶の中にゆで卵が入っていたんですよ」
『……は?』
「わかりませんか!? 牛乳瓶の口よりも明らかにゆで卵の方が大きいんです。それがすっぽりと、傷一つない状態で入っていたんですよ!! ミステリーじゃないですか!!!!」
高堂はなぜかハイテンションになりながら喋った。
『……そうだね』
「え、なんですか今の間」
『いや、なんでもない。即断はするべきではないよね。それで、事件の流れは?』
青野に問われて、高堂は少し考えながら言葉を紡いでいく。
「まず、僕が調理室に来たのは午前9時20分頃です。その時中では栗見瑠花さん、小村木心春さん、大里海奈さんの3人がクッキー作りをしていました。えーっと、名前順に、中1、中3、高2です。で、僕が来てからすぐに高校2年生で科学部の玉田真吾さんが来て、卵を貰ってすぐに科学室へと帰っていきました。それから、少し話をして、みんなで片付けとかをする流れになり、小村木先輩がクッキーを焼き、大里先輩と栗見さんと僕とで洗い物とかをのんびりしていました。その間、小村木先輩はずっと調理室の奥にいて、大里先輩と栗見さんの二人は一人ずつトイレに行ってました。えー、二人とも5分くらいで戻ってきましたよ。んで、やっと終わってクッキーを食べようとした頃に玉田先輩が再びやってきて、それでみんなで団らんしてたら――あ、いえ、ほんとに団らんとしてましたよ。誰も身長に関して言い争ったりなんてしてません。ええ、ほんとですってば」
『聞いてもないことを言ってるし……ぶっちゃけてどうでもいいし……』
高堂の突然の弁明に、青野の呆れた声が伝わってきた。
「あ、すみません。えー、それで、僕はひょんなことから牛乳を飲むことになり、それを飲み干して、瓶を洗い、乾かそうと瓶のケースに向かうと……なんと! そこには!! 傷一つない、綺麗なゆで卵が、空の牛乳瓶の中に鎮座していたんですよ!!!!」
高堂のまるで劇のような言い回しに、その場の一同は冷ややかな視線を送っていた。
『ふーん。で、ケースって何?』
「ああ、言ってませんでしたね。調理室の入口の左に棚があるじゃないですか。その棚のわきっちょのところに赤いビールケースみたいのが置いてあったんですよね。実は調理室に入った時にうっかりそのケースに足をぶつけちゃって……」
高堂は一人で照れる。
『君がドジなのはよくわかったよ。それで、その時問題のゆで卵牛乳瓶は?』
「ありませんでした」
『なるほどね……。で、一応確認するけど、君は犯人じゃないよね?』
「断じて違います!」
高堂は声を大にして言った。
「そもそも、僕がそんなことをすると思いますか!?」
『だって前科あるし……。いや、高堂がこんな手の込んだことをするようには思えないわ』
「侮辱ですか!?」
『事実だよ。で、ちょっと確認してもらいたいんだけど……。問題の瓶の中、もしかして濡れてない?』
「今確認しますよ」
青野と話すのは精神的に疲れるなと思いながら、高堂は牛乳瓶を手に取った。
「あれ? 濡れてます、先輩」
『なるほどね……』
青野の意味深な声に耳を傾ける高堂。と、その横で、しびれを切らしたように心春が席を立った。
「あのさ……そろそろ我慢の限界なんだけど」
「我慢? どうしたの、心春ちゃん」
海奈が彼女の発言に応じる。
「いやー、あたしの推理、もうとっくに出来上がってるんだよね……」
「え?」
高堂は、青野と電話をしながらも彼女たちの話を聞いていたらしい。つい素っ頓狂な声を出してしまう。
『んー、どした?』
「い、いえ、それが……」
『ああ、トリックと犯人の目星ならもうついてるよ。確証を得るにはもう少し情報が欲しいけど』
「どうやって瓶の中にゆで卵を入れたのかも、それをしたのが誰なのかも、ハッキリわかったわ。そう、犯人はごく簡単な、ある実験を利用したの」
「えっ、ええっと……」
高堂は電話の向こうと心春を交互に見ながら、混乱したように声を漏らした。その間にも、彼を挟む二人は言葉を続けてゆく。
『たぶん犯人は……』
「あたしの推理によると、この事件の犯人は……」
電話越しに聞こえる青野の声も、心春のしっかりとした声とその眼差しも、すべて一人の人物をしっかりと指していた。
次回、ゆで卵事件解決編!
青野と心春の推理が炸裂する!?
FILE.60 詰めの甘い推理、電話越しの真実〔解決編〕
Next hint
・科学
*謎解き*
今回はシンプルに。
①ゆで卵を牛乳瓶に入れた方法は?
②ズバリ、犯人は誰?
ハウダニットに重きを置いているので、その他は薄いかも。
*改稿の記録*
2017/12/10 次回のタイトル変更




