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一億人が、あの一家を愛していた ~ある芸能一族の栄光と滅びの記録~  作者: 智珠
第四部 都落ち

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登場人物紹介(第四部)

第四部は、栄光の頂点をきわめた栄家が、時代の遷りのなかで中心の座を失い、住み慣れた都を追われていく巻です。あれほどまぶしかった一家が、坂道を一歩ずつ下りていく。人が離れ、光が翳り、これまであたりまえだったものが、静かに手のひらからこぼれていきます。ここでは、この巻であなたが出会う人たちを、ネタバレなしで紹介します。


<語り手>


さかえ 徳子とくこ


この物語を語る人。今も、光のまん中からは離れた所で、一人の母として生きています。転落していく本家を、なすすべもなく、けれど、たしかに見届けようとしています。その静かなまなざしが、この巻では、いっそう深いものになっていきます。


<栄家の人々>


さかえ 一鶴いっかく


徳子の父。栄家の創業者。かつて「テレビの顔」として一億人に愛された人です。今は、その力を少しずつ失いはじめ、あの明るかった背中に、見なれない影がさすようになりました。それでも、いちばん奥にあるものだけは、まだ変わっていないようです。


さかえ 宗太そうた


一鶴の次男。今、栄家の当主という、あまりにも大きな役割を、その肩に負っています。明るくふるまおうとしながら、人には言えない重圧と、日々向き合いつづけています。


栄 あかり(さかえ あかり)


徳子の娘。一鶴にとっては、初めての孫。まだ幼いながら、たくさんの人にその笑顔を愛されています。その名前には、あたたかい光のように育ってほしいという母の願いが、込められています。


さかえ 妙子たえこ


一鶴の妻。一家の母。華やかな世界のいちばん外側で、変わらず家族の帰る場所を守っています。移り変わっていく家族を、いちばん奥から、静かに見守っている人です。


<新たにあらわれる人>


ごう


芸能界に、まったく異質な勢いで現れた若者。名のある事務所の後ろ盾も持たず、地方からたった一人で成り上がってきた人です。言葉は乱暴で、やることは強引。既存のルールを堂々と蹴飛ばしていく、そのむき出しの生々しさに、人々が熱狂しはじめています。栄家でも、鎌でもない。時代の勢力図を大きく揺さぶる、第三の風です。


ともえ


轟のマネージャーであり、いちばんの相棒。荒々しい轟を、そばで支え、時にたしなめ、時に導く人です。表にはけっして出ず、栄光も拍手もすべて轟に譲り、影として彼を支えることに徹しています。その、損得を超えたまっすぐな心に、徳子は、なぜか目を離せずにいます。


かんさん


栄家の裏側を、長年ささえてきた古参のプロデューサー。一鶴がまだ若かった頃からの、いちばん古い戦友です。よれよれの上着を着て、いつも笑みを絶やさない、気のいい人。表に出ることはなくても、この人の地道な働きが、栄家の栄光を陰から支えてきました。


<そのほかに>


このほかにも、第四部では、思いがけない人物が、あなたの前に姿をあらわします。すべての潮目の、そのいちばん奥で、いったい誰の手が動いているのか。追われる一家の運命に、誰がかかわっていくのか。どうか、その一人ひとりを、見届けてください。


<この巻について>


これは、都落ちの物語です。頂点をきわめたものが、その頂きから下りていく。栄光は、けっして、そのままの姿ではとどまってくれません。まぶしかった日々が、一つずつ遠ざかっていく、その静かな坂道を。どうか、目をそらさずに、そして、その途中にこぼれるささやかなあたたかさにも、そっと目を向けていただけたら、うれしいです。

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