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真贋戦隊コクインジャー ~一番になれなくていい。一点物になれ~  作者: 智珠
第四巻 鍍金

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第058話 完璧な六人

> 【鑑定 第五十八号】

> 押印累計 ── 二百七十五。

> 依頼者 ── なし。

> 物件 ── 六名。

> 所見 ── 当該六名の表面 ── 継ぎ目、傷、埃、いずれもございません。

>     相互の識別 ── 出来ません。

>     色 ── 六色であります。

> ……判定を、開始します。


 ── 火村鍛冶の帳面は、その週で二冊目の三十枚目に届いた。


 四月の終わりに、商店街の桜が散った。


 散ったあとの通りは掃きにくい。花びらが濡れると石畳に貼り付いて、箒で取れなくなる。朝のうちに掃かないと、その日は取れない。


 乾いているうちなら、箒の先で転がすだけで動く。濡れると縁が石に食い付く。食い付いたものは、箆で剥がすことになる。剥がすと石が欠ける。だから濡れる前に掃く。


 燈は六時に通りへ出た。佐久間が先に出ていた。戸島も出ている。掃くのは店の前だけで、誰が決めたわけでもない。


 火村鍛冶は通りから二軒引っ込んでいるので、燈が掃くのは他人の店の前になる。誰も礼を言わない。言われたことも無い。


 掃く向きも決まっている。店の奥から通りへ向かって掃く。逆にやると、掃き終えたところへまた花びらが乗る。誰かに習った作法ではなく、二度手間になった年があって、その次の年から皆そうしている。


「今年は多いな」と佐久間が言った。

「多いです」

「桜が増えたわけじゃねぇんだけどな」


 颯太が箒を持って走ってきた。宮下の娘も来た。二人で八百屋の前を掃いて、桑名に礼を言われている。


 颯太の箒は柄が長すぎる。大人のものをそのまま使っているので、掃く度に先が跳ねる。跳ねた分だけ、花びらが散らばった。


 巌は屋根の上にいた。樋に花びらが詰まる。詰まると雨の時に溢れる。年に一度、この時期に上がる。


 上がるのは巌の家の屋根ではない。商店街の五軒分の樋を、毎年一人で見て回っている。頼まれてはいない。頼まれる前に上がっている。


 玲が硝子井の作業場から出てきて、掃いている者の数を数えた。


「九人です」

「多いのか」

「去年は六人でした」


「増えたな」

「増えました」

「なんでだ」

「分かりません。数えただけです」


 玲は数えるのが癖になっている。息を止めて線を引く仕事なので、何でも数える。数えても、意味は付けない。


*


 贋作体が出たのは、その日の昼になる。


 商店街の東の外れ、火の見櫓の下から起きた。石畳が持ち上がって、そこから立った。


 人の形をしている。腕が長い。掌が平たくて、指が無い。掌の面が箒に似ていた。掃くための形をしている。


 燈が走った。五人が走った。走りながら印を出す。


 通りの東から西へ、贋作体までは八十歩ある。走れば十数秒になる。十数秒は、これまで足りていた。


 押す前に、向こうから六人来た。


 通りの西側から、並んで歩いてきた。走っていない。歩いている。歩く速さが六人とも同じになる。


 歩幅も同じだった。背丈が違うのに、歩幅が同じになっている。背の低い者が急いでいるわけでもない。


 六人が同時に同じ場所へ着く歩き方になる。


 色が六つある。緋、藍、山吹、深緑、桜。そして金になる。


 燈は金を見た。見てから、自分の懐へ手をやった。名乗りの紙が畳んで入っている。右下が空いた紙になる。


 手をやっただけで、出さなかった。


 装いの形は同じだった。縁が真鍮で、袖の合わせが同じ位置にある。胸に印の枠があって、そこも同じになる。


 六人が並ぶと、装いの形は六人の側と区別が付かない。離れて見れば、こちらが二組いるように見える。


 違うのは、艶になる。


 光を返している。表面が滑らかで、継ぎ目が一つも無い。傷も無い。埃も乗っていない。掃いたばかりの通りを歩いてきて、足元にも花びらが付いていなかった。


 燈は足を止めた。五人とも止まる。止まった理由を、あとで誰も説明できなかった。


 六人のうち、緋の者が前へ出た。


 烙印鏝を胸へ当てた。鏝の形をしている。柄が長い。押す面が四角い。


 鏝は焼いて使う道具になる。紙にも布にも木にも、当てた形が焦げて残る。消えない。消えないから、烙印という。


> 銘 ── 重複。


 鳴った声は、識の声ではない。もっと低い。年寄りの声にも、機械の声にも聞こえた。


 誰の声か、燈には分からなかった。分からないまま、足が石畳から離れない。


> 使用を拒否します。


 緋の者は鏝を下ろさなかった。下ろさずに、持ち替えた。


 押す面を、自分の胸へ向け直した。


 当てた。


 音がした。肉の焼ける音になる。煙が上がった。臭いが通りまで来た。鍛冶場で嗅ぐ臭いではない。鉄が焼ける臭いとは違う。


 燈はその臭いを知っていた。前腕を焼いた時の臭いになる。


「やめろ」と燈が言った。


 届かなかった。届いたとしても、止まらなかったと思う。


 六人が順に、同じことをした。藍が当て、山吹が当て、深緑が当て、桜が当て、金が当てた。六度、同じ音がした。


 順が決まっている。迷いも無い。誰も声を上げなかった。痛がる素振りが一つも出ていない。


 紬が一歩前へ出て、そこで止まった。止めたのは巌になる。腕を横に出しただけで、何も言わなかった。


 通りに煙が六筋上がって、それから晴れた。晴れるのが速い。風は無かった。


 六人が変わっていた。装いに厚みが出て、色が濃くなっている。胸のところに、焼いた跡がある。


 跡は、見ているうちに消えた。焼けた皮が縮んで、縮んだところが平らになって、元の面に戻った。


 焼いた前と後で、胸の面が一つも変わっていない。


 名乗りが始まった。


 緋の者が先に出た。声が若い。燈より少し高い。


> 速く鳴らす、鉄の刻 ─── ラクインレッド!


 燈は聞いていた。聞きながら、口の中で自分の名乗りを合わせていた。合ってしまう。


 七・五になっている。拍が同じになる。言葉が一つだけ違う。


 急いで鳴らす、が、速く鳴らす、になっている。


 あとの四つが続いた。どれも、こちらの言葉に似ている。似ていて、違う。遅れる、が違えぬ、になり、余す、が足りる、になった。震えて裂いて、が、狂わず裂いて、になる。


 燈は五つとも最後まで聞いた。聞いている間、誰も止めなかった。止める理由が思い付かない。


 こちらの名乗りは、出来ないことを先に言う。急いでしまう、遅れてしまう、余ってしまう。そう言ってから色を名乗る。玲が最初にそう組んだ時、燈は意味が分からなかった。分からないまま一年言い続けて、今は口が勝手に言う。


 向こうは、出来ることを言っている。速い、違えぬ、足りる。同じ拍で、逆のことを言っている。


 名乗りを止める作法を、六人は持っていない。


 そして六つ目が出た。


> 継いで繋いで、金の刻 ─── ラクインゴールド!


 六つ目がある。


 金の者は背が低い。六人のうちで一番低い。声も一番若かった。


 六人の名乗りの紙は、右下が空いている。一年、空いたままになっている。


 向こうは埋まっていた。


> 全て揃って、ここに参上。


 六人が声を揃えた。揃い方が完全だった。息の合わせ方ではない。初めから一つの声だったように鳴った。


*


 贋作体が動いた。


 燈が印を胸へ押した。五人が押した。


> 銘 ── 確認。〈火村燈〉。

> 銘 ── 確認。〈陶山蒼〉。

> 銘 ── 確認。〈綾織紬〉。

> 銘 ── 確認。〈楠木巌〉。

> 銘 ── 確認。〈硝子井玲〉。


 五つの印が、一枚の紙に並んだ。六枚目のところは白いままになる。


> 銘量 ── 火村燈 五百五十五。陶山蒼 五百九十六。綾織紬 四百四十四。

> 楠木巌 六百四十二。硝子井玲 五百三十八。

> 四つ、減っております。


 押し終わったところで、贋作体が倒れた。押し終わるまでに、二呼吸ほどある。


 燈はまだ走っていた。走っている途中で、前で音がした。石畳を蹴る音ではない。もっと軽い。


 金の者が先に入っていた。掌を贋作体の胴へ当てて、そこから金の線を走らせている。線が一周した。


 緋の者が打った。藍が輪を投げ、山吹が縛り、深緑が継ぎ、桜が斬った。


 順が速い。無駄が無い。誰も外していない。


 一手ずつが繋がっている。前の者が空けた場所へ、次の者が入る。空ける方も、入る方も、迷わない。


 蒼が横で息を吸った。吸って、吐かなかった。


「捺印!」


 六人が同時に構えた。構えの高さが揃っている。肘の角度も同じになる。


「全銘捺ッ!」


 贋作体の額に、印が押された。刻んだのではない。押した。


 押されたところが平らになって、そのまま消えた。押した印の形は、遠くて読めない。読めないまま消えた。


 崩れなかった。落ちる欠片も出なかった。残ったのは、石畳の上の乾いた跡だけになる。


 燈は途中で足を止めていた。鎚を握ったままになっている。


 振る相手がいない。


 握ったままの手が下がらなかった。下げるきっかけが要る。誰も何も言わないので、暫くそのままになった。


 蒼が石畳の跡へしゃがんだ。指の腹で撫でて、指先を目の高さまで持ってくる。何も付いていない。


 贋作体が崩れた跡には、いつも粉が残る。細かい欠片が石の目に入って、掃いても二三日は取れない。桑名が毎度こぼしている。今日は、その粉が無い。


「割れてません」と蒼が言った。

「割れずに消えたのか」

「消えたというより、均されました」


 均す、という言葉が、燈の中で引っ掛かった。引っ掛かったが、その場では出さなかった。


*


「── 量産」


 通りの向こうから低い声がした。


 石畳が持ち上がって、同じ形のものが並んで生えた。数は数えていない。


 六人は動かなかった。西側に並んだまま、こちらを見ている。


 量産に手を出さない。出す構えも取らない。見ているだけになる。


> 連結を確認。


「火入れッ!」


> 真、通りました。


「組み継ぎ、合体!」


 継手が噛んだ。木を組む時と同じ音が、四十メートルの高さで鳴る。


 噛んでから、巌が左の肩の継手を抜いて、入れ直した。


> 楠木巌さん、掛け直しを確認。三、減っております。

> 六百三十九であります。


 佐久間が店の前へ出て、上を見た。箒を持ったままになっている。


 見えたのは脚だけになる。アーケードの屋根が上を切っていて、その向こうは白い。


 屋根の縁に、緑の線が動くのが見えた。動いて、消えて、また出る。


 颯太は桑名の店の前から見上げていた。宮下の娘も並んで見ている。二人とも首を後ろへ折り曲げて、口を開けたままになっている。


 颯太は数えようとした。膝が四つ、と言いかけて止めた。アーケードの切れ目に、膝が二つしか入らない。


「みえない」と颯太が言った。

「見えなくていい」と桑名が返した。

「みたい」

「上まで見えたら、近すぎるってことだ」


「刻印!」


 右の拳が前へ出た。左の掌が、その甲を上から押す。


「銘刻斬ッ!」


 声が五つ揃った。


 拳が並びの真ん中へ入った。入ったところで止まって、そこに朱が走る。線が字の形になっていって、銘が刻まれた。


 崩れた。落ちた欠片が石畳に当たって、そこで砂になった。砂が溝を流れて、側溝の格子で止まっている。


 崩れる音がした。石が石に当たる音になる。通りの端まで届いて、アーケードの骨に当たって返ってきた。


 佐久間は箒を持ったまま、返ってきた音の方を見た。長年、この音で終わりが分かる。今日もそれで分かった。


 昼の贋作体は、音を立てずに消えた。音の無い倒し方があることを、六人はその日に知った。


*


 六人は、まだ通りの西側にいた。


 変身が解けていた。装いが消えて、六人とも人の姿になっている。顔がある。年も背丈もばらばらになっている。


 胸に跡が無い。焼いた場所に、痕が一つも残っていなかった。


 桑名が先に近付いた。近付き方に警戒が無い。掃除の途中で箒を持ったままになっている。


「あんたたち、助けてくれたのか」

「はい」と緋の者が言った。

「早かったな」

「間に合いました」


 井桁が来て、宮下が来た。平尾も来る。


 礼を言った者は十一人になる。誰も六人の名を知らない。名を訊いた者もいない。


 六人の側も、この一年、名を訊かれたことが無い。訊かれても答えないことにしてある。銘洲では、助けた者の名を訊かない。訊いても答えが返らないと、皆どこかで知っている。


 だから、訊かれないこと自体は、いつもと同じになる。同じなのに、今日は違って聞こえた。


 燈は通りの東側に立っていた。五人が横にいる。誰も西へ行かなかった。


 行かない理由を、あとで蒼が一度だけ言った。「行っても、言うことがありませんでした」。


 燈は言い返さなかった。言うことは、確かに無い。


 紬が西の石畳を見ていた。見てから、屈んで花びらを一枚つまみ上げる。


 濡れた花びらを踏むと潰れる。潰れたところは色が濃くなって、乾くまで戻らない。朝に掃き残した分が、通りの西側にはまだ帯になって残っている。


 その帯を、六人は並んで歩いてきた。歩いてきて、一枚も潰していない。


「歩いてました」と紬が言った。

「歩いてたな」

「踏んでません」


 紬はつまんだ花びらを掌へ載せて、縁を見た。丸いままになっている。


「軽いんでしょうか」

「軽くて、あの音が出るか」

「出ません」


 颯太が燈の袖を引いた。


「あかりさん」

「何だ」

「あっちの人たち、なに」

「知らねぇ」


 颯太は西を見て、それから燈を見る。それきり何も訊かなかった。


 六人は夕方に帰った。


 通りの西の外れから出て行く。歩いて出て行く。走らない。


 緋の者が、出る前に一度だけ振り返る。


 燈と目が合った。合ったと思った。面をつけていないので、顔が見える。若い。二十歳そこそこに見える。


 その顔に、傷が一つも無かった。


 頬に煤が付いていない。眉が焼けていない。額にも、顎にも、何も無い。


 鍛冶の顔ではない。前腕にも、掌にも、火傷の跡が無い。爪も割れていない。


 燈は自分の腕を見た。前腕に古い火傷の跡がある。十四の年に、火床の縁へ肘を付いて出来たものになる。


 消えていない。十年近く経っても、色が抜けただけで、形はそのままある。


 燈は腕を下ろした。


*


 夜、六人が火村鍛冶の土間にいた。


 玲が団子を食べていた。桜の時期の売れ残りで、桑名がくれた分になる。


「あの人たち、汚れませんね」と玲が言った。

「掃いた通りを歩いて、花びらが付いてなかったな」

「靴も汚れてませんでした」

「見てたのか」

「足元から見ます。硝子屋なので」


「硝子屋は足元を見るのか」

「見ます。割れたものが落ちてるので」

「そうか」

「そうです」


 玲は団子の串を揃えて、皿の端へ置いた。置き方が丁寧になる。串の先の向きまで揃っている。誰も見ていないところで揃えるので、揃えていることに玲自身が気付いていない。


 紬が針を持って、燈の袖を直していた。昼に走った時に、袖口が裂けている。走って裂けたのではなく、鎚を握り直した時に肘の内側が引っ張られた。裂ける場所は毎回そこになる。


 当て布はしない。縁だけを細かく縫って止める。裂けた形が残るように縫うので、直したあとの方が裂け目がよく見える。


「隠さないのか」と燈が訊いた。

「隠しません」

「なんでだ」

「裂けたところが、一番弱くなってます。見えてる方が、次に気を付けられます」


「二度と引けない 線になる」


 玲が口の中で低く唄った。一行で止めた。誰も何も言わなかった。


「識」と燈が言った。

> はい。


「あいつら、なんだ」

> 当該六名 ── 相互の識別、出来ません。


「識別って」

> 六名のうち、どれがどれか、本機には分かりません。


「色が違うだろ」

> 色は違います。それ以外が、同じであります。


 燈は湯呑みを置いた。


「胸、焼いてたな」

> 焼いておられました。


「なんでだ」

> 道具が拒みました。


「拒むって、道具がか」

> 「銘 ── 重複。使用を拒否します」と鳴りました。


「重複って、誰とだ」

> 本機には、記録がございません。


「重複ってのは、二つあるってことだろ」

> そう読めます。


「じゃあ、片方は何処にある」

> 存じません。


 燈は自分の胸の印を見た。押した跡が薄く残っている。一年、毎回同じ場所へ押している。


 同じ場所へ押し続けると、そこだけ色が変わる。変わったのを、燈はまだ誰にも見せていない。


「識」

> はい。


「あいつらの技、なんて言ってた」

> 「全銘捺」と聞こえました。


「捺すのか」

> 捺しております。刻んではおりません。


「どっちがいいんだ」

> 判定の基準を、本機は持ちません。


 燈は湯呑みの縁を親指でなぞった。欠けている。去年から欠けたままになる。


「捺したやつは、あとで消えるのか」

> 印は、消えます。押した紙が残ります。


「刻んだやつは」

> 物が残ります。物が無くなれば、一緒に無くなります。


 どちらも残らない言い方に聞こえた。聞こえたが、燈はそこを掘らなかった。掘っても、今日の答えは出ない。


「今日、四つしか減ってねぇな」

> 四つであります。


「二つは」

> 使っておられません。


「使う相手が、いなかった」

> はい。


 燈は返す言葉を探した。見付からなかった。


 朱は減る。減った分だけ、街の何処かが直る。一年、そう思って押してきた。今日は減っていない。今日も、街は直っている。


 その二つが同じ日に起きると、どう考えればいいのか、燈には分からなかった。


 巌が壁に凭れた。凭れると柱が鳴る。


「跡が消えとった」と巌が言った。

「消えてたな」

「焼いた跡は、消えん」


 巌は自分の掌を見せた。親指の付け根に、古い火傷の跡がある。二十年前のものだという。


「これは消えん」

「消えねぇな」


「消える傷は、傷じゃねぇ」と巌が言った。

「傷じゃねぇのか」

「痕が残らんもんを、傷とは言わん」


 巌はそれきり黙った。誰も次を言わなかった。


 燈は左の掌を見た。三月に甕の縁を掴んだ跡が、まだ薄く残っている。


> 【鑑定 第五十八号 追記】

> 押印累計 ── 二百七十五。

> 物件 ── 六名。

> 追記 ── 本日、押印五。搭乗六、刻印一。個人の必殺 ── 使用がございません。

> 所見 ── 当該六名 ── 相互の識別、出来ません。

>     当該六名の表面 ── 継ぎ目、傷、埃、いずれもございません。

>     変身の手順 ── 印による押印ではございません。

>     当該手順 ── 烙印鏝を、自身の胸へ当てるものであります。

>     装置の応答 ── 銘、重複。使用を拒否します。

>     当該応答の相手方 ── 記録がございません。

>     焼灼痕 ── 変身解除後、消失しております。

>     贋作体一体、消失。押印による。刻んでおりません。

>     当該処理を行ったのは、当該六名であります。

>     市民の謝意 ── 十一件。宛先 ── 当該六名であります。

> 本件、真贋判定 ── 〈贋〉。

> ただし、

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