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真贋戦隊コクインジャー ~一番になれなくていい。一点物になれ~  作者: 智珠
第一巻 素焼

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第011話 二本目の銘印

> 【鑑定 第十一号】

> 押印累計 ── 四十五。

> 依頼者 ── 陶山蒼。

> 物件 ── 銘印、第二号。

> 所見 ── 印章。木口に銘あり。摩耗により判読不能。

>     該当者 ── 不明。従事 ── 判定不能。

>     印面に、糸を巻いた跡が三十六条。深さが一定でありません。

> ……判定を、開始します。


 ── 蒼は、まだ一つしか無いものを入れる箱を作っていた。


 桐である。窯場の脇の板の間に材を並べて、鑿で仕切りの溝を彫っていた。蓋は別に取ってある。角は組み継ぎで、釘を使っていない。


「何を入れるんだ」と燈が訊いた。

「銘印」

「一個しか無いだろ」

「入るようにしてある」


 燈は数えた。仕切りが縦に十二、横に九。数え終わるまでに時間が掛かった。


「百八か」

「百八だ」


 箱の中は白木のままで、九十九の枡が空いていた。空いていない枡は一つで、そこに一本目の銘印が入っている。残りの八つは、まだ仕切りが立っていない。


「先に作るもんか、これ」

「入れる場所が無いと、置き場が決まらない」

「一個だぞ」

「一個でも置き場は要る」


 蒼は溝をもう一本彫った。鑿の当て方が丁寧で、彫り終わりの角が全部同じ向きに揃っている。


 玲が板の間に上がってきて、箱を覗いた。それから前掛けの中から饅頭を出して、空いている枡の一つに入れた。


 枡にぴったり入った。誂えたように収まっている。


「入るね」

「入るな」

「陶山さん、これ、饅頭の箱でもいいね」

「よくない」


 蒼は饅頭を取り出して、二つに割った。片方を玲に渡して、残りを自分で食べた。紬が笑って、巌が「ん」と言った。


 行って戻って また行き戻る。


 紬が機の前でそれを鳴らした。杼が右へ行って、左へ戻る。とん、と筬が緯糸を打つ。


 糸は行き先 知らぬまま。


 二行目まで出た。紬は続けなかった。続けずに、経糸の一本を指で弾いた。


「切れた」


 紬が言ったのは、切れる音がしなかったからである。指が引っ掛かって、そこで初めて分かる。


 紬は切れた経糸の端を二本つまんで、指の腹で撚った。撚って、輪を作って、通して、締めた。


 結び目が出来た。米粒より小さい。


「それ、布に残るのか」と燈が訊いた。

「残るよ。触ると分かる」

「取らねぇのか」

「取れない。切れたところは、繋ぐしかないの」


 紬は織り続けた。二段進んだところで、また一本切れた。同じことをした。


「よく切れるな」

「古い糸だから」

「新しいのにしねぇのか」

「これ、去年の分が残ってるの」


 佐久間が引き戸を開けて、豆腐を四丁置いていった。前掛けが濡れている。


「余ったからな。置いてくぞ」

「四丁だな」と燈が言った。

「余ったんだ」



 翌朝、織り場の機の上が白かった。


 経糸が張り替わっていた。上の巻き取りから下の踏木まで、一本残らずである。


 千二百本ある。紬が張ったものではない。色が少し白くて、太さが一本ずつ揃っている。指で弾くと、千二百本とも同じ音が鳴った。


 紬は端から端まで指を滑らせた。滑らせて、途中で止めなかった。


「引っ掛からない」

「切れねぇのか」と燈が言った。

「切れない。これ、切れない糸だよ」


 紬は機に座って、踏木を踏んだ。綜絖が上がって、経糸が上下に割れる。杼を通す。筬を引いた。


 とん。


 筬の音が、いつもより高い。布が指の幅だけ伸びた。伸びた面に、結び目が一つも無かった。


 機の下に、織り上がった反物が巻いてある。紬が去年から織っていたものである。紬はそれを引き出して、端から順に触った。


 途中まで、結び目がある。途中から、無い。


「ここから、わたしじゃない」

「一晩で織ったのか」

「織ってない。続きだけ、出来てる」


 紬は反物を巻き戻した。巻き戻して、それを機から外した。外した反物を布に包んで、余り糸の箱の隣に置いた。


「捨てないの?」

「捨てない。悪い布じゃないから」


 紬は新しい経糸を見上げた。千二百本が、揃って白い。


「これも、使わないよ」

「使えるんだろ」

「使える。でも、切れない糸で織った布は、直せないの」


 紬は棚から糸巻きを出した。去年の残りである。色がまだらで、太さが一本ずつ違う。


 それから、千二百本を外しはじめた。



 夜、識が火から立ち上がった。織り場の土間である。


> 鑑定を、開始します。


> 物件 ── 経糸、千二百条。

> 番手、撚り、張り、いずれも均一。継ぎ目、ありません。

> 引張り強度、原物の四倍。

> 判定 ── 贋。


「四倍か」と蒼が言った。

「四倍であります」

「切れない方が、織りやすいだろう」

「はい」


 紬は答えなかった。答えずに、外した糸を束ねて、土間の隅に積んだ。


 蒼は積まれた糸を見て、それから紬の手元を見た。紬は去年の糸を綜絖に通し始めていた。一本ずつである。千二百回やることになる。


「三秒くれ」と蒼が言った。三秒より長く掛かった。

「三日掛かるぞ」

「四日」

「四日か」

「一本ずつしか通らないから」


 蒼は懐から桐箱を出した。作りかけのものである。仕切りが縦に十二、横に九まで立って、あと九つの溝が彫られていない。


「これも、四日で終わる」

「なんで作ってるんだよ」と燈が言った。

「集める前に、置き場を作る」


 蒼は箱を板の間に置いた。置いた場所に、識が立った。


> 一つ、申し上げます。


「何だ」


> 本日、当該織り場の裏、水路の石段に、印章が一つ置かれておりました。


 全員が黙った。黙った長さが、蒼の三秒より長かった。


 識は石段の方を指した。燈が見に行って、戻ってきた。掌に木の印章が乗っている。握りの部分が握った形に減っていて、印面に彫りがある。


「あった」

「置いてあったのか」と蒼が言った。

「置いてあった」


 蒼は印章を受け取って、光へ向けた。それから裏を見て、側面を見て、木口を見た。


「一本目は、灰の中にあった」

「そうだな」

「二本目は、置いてあった」


 蒼はそれだけ言った。それ以上は言わない。誰も先を訊かなかった。


> 銘印であります。第二号。

> 該当者 ── 不明。従事 ── 判定不能。

> 印面に、糸を巻いた跡が三十六条。深さが一定でありません。

> 借りるもの ── 切らずに繋ぐ。


「糸繰りか」と紬が言った。

「そう思われます」

「深さが一定じゃないって、どういうこと」

「巻いた力が、毎回違います」


 紬は印章を受け取った。受け取って、印面を親指で撫でた。撫でて、そこで止まった。


「下手だね、この人」

「判定しておりません」

「下手だよ。わたしと同じ」


 紬は印章を懐に入れた。入れて、また綜絖に糸を通しはじめた。


 蒼は桐箱を開けて、一本目の銘印を出した。出して、また戻した。


「百六、空くのか」

「そうなります」

「何処にある」

「分かりません」


 蒼は箱の蓋を閉めた。閉めてから、指で蓋の上を撫でた。



 織り場の外で、砂が鳴った。


 灰白色が並んでいた。数える前に六十を超えた。水路沿いの道に、三列で並んだ。


 その先に男が立っていた。革の前掛けで、作業着に汚れが一つも無い。手に持った布で、細い工具を一本ずつ拭いていた。


「四日は、長いですね」と型取が言った。

「長い」と紬が言った。

「わたくしどもなら、一晩です」

「知ってる」


 紬は綜絖から手を離さなかった。離さずに、糸をもう一本通した。


「なんで、印を置いたの」

「拾える場所に置いただけです」

「なんで」

「もっと良いものに、してさしあげたいので」


 型取は工具を袋へ戻した。戻す位置がいつもと同じである。それから掌を開いた。


 掌に糸巻きが乗っていた。木の管に、白い糸が巻いてある。巻きの太さが端まで同じだった。


 糸巻きが地面へ落ちて、落ちた場所から膨らむ。管が伸びて、糸が解けて、解けた糸が縦横に組み上がっていく。三メートルほどで止まる。左右が寸分違わず対称である。全身が糸で、繊維の一本一本が同じ太さだった。


> 贋作体であります。原物、綾織紬の去年の糸。

> 番手、撚り、いずれも均一。継ぎ目、ありません。

> 判定 ── 贋。


「継ぎ目が無い」と紬が言った。


 声が低い。低いまま、印籠を出していた。


「押印!」


 五つの胸から朱が広がった。円、角、杼形、縦長方形、六角。五色が残る。艶は何処にも無い。


 背後に紙が広がって、五つの印が並んだ。右下だけが白い。


> ── 以上、五点。全て、一点物。


 贋作体が動いた。糸の腕が伸びてくる。伸びる先が細くなって、鞭のようになった。


 紬が鞭を出して、それを受けた。


「タテヌキムチ!」


 二本が絡んだ。絡んで、紬の鞭の方が締まった。締まったところで、相手の糸が緩んだ。緩んだ糸が紬の鞭の中へ入り込んで、そこから逆に締めてきた。


「入られた」

「解いて!」と玲が言った。

「解けない」


 燈が槌を振った。糸の腕に当たって、腕が潰れた。潰れて、すぐ元へ戻った。


「戻るぞ」

「切れないんだ」と蒼が言った。「四倍だ」


 玲がスカシバを振った。糸に線が入って、そこから先が落ちた。落ちた糸が地面で解けて、解けた繊維が、また撚り合わさった。


「繋がる」

「切っても繋がるの」


 巌が地面に凹凸を作って、材を渡した。渡した材に糸が巻き付いて、材が軋んだ。軋んで、折れた。


「持たん」


 蒼は三歩待った。三歩目で輪を投げる。輪は贋作体の胴の真ん中に入って、そこで止まった。止まった場所で、糸が輪の周りを回りはじめた。


「巻き込んでる」と蒼が言った。「取り込まれる」


 紬は自分の鞭を見た。鞭の中に相手の糸が入り込んでいる。締めても緩めても、外れない。


 紬は印籠の蓋を開けた。上段の印章を抜いて、袖に入れる。代わりに、置いてあった方の印章を入れた。


 朱肉に押し付けた。ぬちり、と鳴った。


> 銘印 ── 装填。第二号。

> 該当者 ── 不明。

> 従事 ── 判定不能。

> 借りるもの ── 切らずに繋ぐ。


「重ね押し!」


 紬は胸に押し付けた。


 胸の杼形の上に、もう一つ印が重なった。細長い形で、中に条が並んでいる。条の間隔が揃っていなかった。


 紬の指が動いた。


 速い。紬の指の速さではない。糸を撚る速さで、目で追えなかった。


 紬は自分の鞭に入り込んだ相手の糸を、つまんだ。つまんで、撚った。輪を作って、通して、締めた。


 結び目が出来た。


 米粒より小さい。相手の糸と自分の糸が、そこで一本になっていた。どちらが自分の糸か、もう分からない。


「繋いだ」と燈が言った。

「繋いだ」


 紬はその一本を引いた。引くと、贋作体の胴が動いた。相手の糸は自分の糸と繋がっている。繋がっているものは、引ける。


 紬は引き続けた。贋作体の胴から糸が抜けていく。抜けた糸が紬の鞭に繋がって、繋がった先がまた抜けた。


 三十六回、結んだ。全部同じ大きさで、全部米粒より小さい。


 紬は数えていない。あとで識が数を言った。


 贋作体は胴が細くなって、腕が細くなって、最後に管一つになった。


「燈さん」

「見えてる」


 燈は走った。走って、管の前で足を止めた。


 鎚を高く上げなかった。腰の高さから短く振った。


「ホムラヅチ!」


 こん、と鳴った。


 軽い音だった。管が割れて、中から糸が出た。


 贋作体は形を失っていく。糸が縮んで、管が縮んで、地面に一つだけ残った。


 糸巻きだった。


 木の管に、まだらな糸が巻いてある。太さが一本ずつ違う。巻きの太さも端まで同じではない。


 紬はそれを拾って、両手で持った。


 胸に重なっていた細長い印が、薄くなって消えた。


 灰白色が動いた。最後の一体が膝を突いた時、道にいた全部が一斉に口を開いた。顔が平らで、口は無い。それでも声だけが揃った。


「……ありがとうございました」


 消えた。道に足跡が一つも無い。


 紬は糸巻きを持ったまま、動かなかった。指が震えていた。玲の震え方とは違う。使いすぎた指の震え方だった。


「速かったな」と燈が言った。

「速かった」

「覚えてるか」


 紬は自分の指を見た。見て、それから首を横に振った。


「三十六回、結んだって」

「識が言ってた」

「わたし、二回目までしか覚えてない」


 紬は糸巻きを地面に置いて、自分の手で糸の端を二本つまんだ。撚って、輪を作って、通して、締めた。


 結び目が出来た。米粒より大きい。


「これが、わたしの」

「でかいな」

「でかいの」


 紬はその結び目を指で押した。押して、それから顔を上げた。


「集めるの?」


 誰も答えなかった。


 蒼が桐箱を持っていた。持っていたが、開けなかった。玲が地面を見た。巌は上を見た。燈は口を開いて、閉じた。


「二本で、こんなに速いんだよ」と紬が言った。「百八本あったら、どうなるの」


「勝てるだろ」と燈が言った。

「勝てるね」

「じゃあ」

「じゃあ、誰が織るの」


 燈は答えられなかった。答えは、多分誰も持っていない。


 紬は糸巻きを懐に入れて、機の方へ戻った。綜絖に通した糸は、まだ三十本ほどである。あと千百七十本ある。


 紬は座って、次の一本を通した。



 道の向こうで、男の声がした。


「── 量産」


 灰白色が地面から生えた。石畳の目地から、水路の水面から、織り場の板壁の隙間から。同じ顔で、同じ背丈で、同じ間隔で。一つが別の一つの肩に乗る。その上にまた乗った。


 水路が持ち上がって黒い炉が立つ。向かいの岸で長い窯が伸びた。裏の林から櫓が起き上がる。織り場の屋根から機が出た。砂の山から硝子を切る台が立った。


 五つが並んだ。素焼のままである。


「巌さん」

「ん」


 巌の櫓が動いた。四箇所を継いで、一分ずつ緩めた。


> 連結を確認。


「火入れッ!」


 炉の底が鳴った。赤が上がって、継ぎ目を通って渡っていく。


> 真、通りました。


「組み継ぎ、合体!」


 継手が噛んだ。木を組む時と同じ音が、四十メートルの高さで鳴る。


 地上で、田中の老婆が椅子から見上げていた。


「六回目だな」と戸島が言った。

「六回目だ」と佐久間が言った。


 塊が腕を振る。腕が左の肩に当たった。左の肩は金襴である。


 経糸が切れた。


 四十メートルの機の経糸が、上から下まで四十七本。切れた先が垂れて、下の電線に触れた。


> 左腕、稼働率 六割。


「腕が上がらねぇ」と燈が言った。

「上がらない」と紬が言った。


 紬は左の肩の中で、切れた端を探した。四十七本ある。


「結ぶ」

「四十七本か」

「うん」


 紬は一本目をつまんだ。撚って、輪を作って、通して、締めた。


 結び目が出来た。四十メートルの高さで、米粒より大きい結び目である。


 二本目をつまんだ。三本目をつまんだ。


 塊が腕を振った。腕が同じ肩に当たった。切れた糸が増えた。


「増えたぞ」

「知ってる」


 紬は手を止めない。止めずに、四本目を結んだ。


「時間が掛かるぞ!」

「掛かる」

「銘印を使えよ」


 紬は答えなかった。答えずに、五本目を結んだ。


 燈は言葉を止めた。止めてから、塊の方を向いた。


「玲、紬の側を切らせるな」

「うん」

「巌さん、肩を継いでくれ」

「ん」

「陶山さん、輪をくれ」

「三秒くれ」


 三秒たった。輪が塊の胴に入って、そこで止まる。塊の動きが少し遅くなった。


 紬は結び続けた。左の肩の中である。四十メートルの高さの、布の裏側だった。


 四十七本目が終わったのは、塊が三度腕を振った後である。


> 左腕、稼働率 十割。


「上がるぞ!」と燈が言った。


 左の肩に、結び目が四十七ある。四十メートルの高さで、そこだけ布の面が盛り上がっていた。


「刻印!」


 右の拳が前へ出た。左の掌が、その甲を上から押す。


「銘刻斬ッ!」


 声が五つ揃った。


 拳が塊の胴へ入った。入った場所に朱が走って、線が字の形になっていく。銘が刻まれていた。


 塊は胴から崩れた。落ちた先が水路である。水が両側へ逃げた。


 織り場の屋根には何も届かなかった。



 夜が明けた。


 織り場の土間に、外した経糸が千二百本、束ねて積んである。誰も触らなかった。


 紬は機の前に座って、糸を通していた。通した数が百二十本になっている。


「昨日より速いな」と燈が言った。

「うん。慣れた」

「銘印は」

「使ってない」


 紬は懐から第二号を出して、板の間に置いた。置いてから、蒼の方へ滑らせた。


「箱に入れて」

「持ってなくていいのか」

「持ってると、使うから」


 蒼は桐箱を開けて、二つ目の枡に第二号を入れた。蓋を閉めた。閉めてから、蓋の上を指で撫でた。


 箱の中の枡が、百六空いている。仕切りはまだ九つ立っていない。


 蒼はその数を口に出さなかった。


> 銘量 ── 火村燈 八百二十七。陶山蒼 八百六十八。綾織紬 七百十六。

> 楠木巌 九百三十二。硝子井玲 八百十。

> 六つ、減っております。重ね押しによる減少 ── なし。

> 結び ── 三十六。および四十七。合わせて八十三。


「数えてたのか」と紬が言った。

「数えました」

「なんで」

「鑑定に必要です」


 紬は少し笑った。笑ってから、次の糸を通した。


「勝ったな」と燈が言った。

「勝った」と巌が言った。


 六回目である。六回目は、紬の手元を見ながら言った。


 燈は道へ出た。屋根が架かっている道である。歩いて、平尾看板店の前を通った。平尾が脚立の上で、下書きの線を消していた。


「燈坊、おはよう」

「おはようございます」


 燈はそのまま歩いた。


> 【鑑定 第十一号】

> 押印累計 ── 四十五。

> 物件 ── 銘印、第二号。

> 追記 ── 本日、押印五。搭乗五、刻印一。重ね押し一。銘量の減少を確認。

> 所見 ── 当該銘印、水路の石段に置かれていたものを回収。出所、不明。

>     銘帖に押印。枡、二つ埋。百六、空。

>     経糸(代替物)、千二百条。使用者により全数取り外し。破棄されず。

>     反物(代替物との継続部を含む)、使用者により保管。破棄されず。

>     贋作体一体、消失。市の被害 ── 材木一本、電線一本。

>     依頼者の申し立て ── 集めるの?

> 本件、真贋判定 ── 〈真〉。

> ただし、

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