EP2 遺跡探索。そして
「さて…と…出る準備はこれくらいでいいかな…」
遺跡探索のための棒、懐中電灯、ピッキング工具。
そして、何日籠ることになるか分からないから食料品とミニガスコンロ、寝袋。
それらを。
「『開け。収納』」
収納のなかに入れていく。
魔法は廃れてしまったが、こうして一部の便利なものは今でも使われている。
もっとも、魔法でなんでも解決できるわけではない。むしろ、科学で解決できる方のが多いからこそ、こうして廃れていってしまったのだが。
スマホの時間を確認する。午前9時半だ。あの遺跡までは徒歩で約2時間。
(着いたら昼飯を挟もうか…)
そんなことを考えながら扉をカチャッと開ける。
「レオ?どこ行くの?」
にゅっと横から人影が飛び出てくる。
「うわぁ!?」
我ながら情けない悲鳴を出したと思う。
転びはしなかったがかなり仰け反った。
「ビックリしたぁ……リュシーか……どうした?」
「もう、質問してるのは私だよ?まぁいいや。一緒に安全なところに避難しようと思って来たのに、色々ガチャガチャやって、今出てきたからどこかに行くのかなって」
「え?あぁ。ちょっと……な?」
「ちょっとなに?」
「いやぁははは……」
「わかった。何か知ってて隠してるでしょ?まさか、侵略者側の人間だったり!?」
「それはない。絶対にない。断じてない」
「じゃあ、どうして?なんで言えないの?」
「はぁ…もう…わかった。俺の負けだ」
周りの人に聞かれてはまずいと思って小声で喋る。
「遺跡に行ってくるんだ」
「は?遺跡?」
「簡単に言えば大魔法使いに会わなきゃいけない用事が出来たんだ。道中危ないことがあるかもしれない。リュシーを守りきれるかも分からない。だからリュシーは安全なところに避難しててくれ」
「分かったわ。着いていくわ」
「よし、良い子だそn……は?なんて?」
「着いていくって言ったわ。ダメって言われても勝手に着いていきます。またレオの悪いところ出てるもの。また無茶する気でしょ?」
「はぁ……………分かった。君には勝てないな…。ただ、本当に命の保証はない。だから俺が危なくなったりしたら迷わず見捨てて逃げて」
「分かったわ」
「それじゃあ行くぞ」
そして街からでる。
そのまま遺跡に向かおうと思ったのだが。
「あぁ……やっぱり…魔物、魔王に従ってるよなこれな?……」
街の外にいた見覚えのある魔物がただ徘徊しているのではなく、普段、仲間割れを起こすような魔物たちも、徒党を組んでいる。
(これは……魔法を使っていくしかないか……?)
街の近くだから防衛機構が働いていると思っていたが、働いていない。
その他科学技術とかって言っても俺が行使出来るわけでもなく。
武器も持っていない。
棒。と言っても戦闘用ではないのでクソほど役に立たない。
(まぁ、前世の記憶通りならば……)
ちょうど、こちらに標的を向けてきた魔物がいるので、試してみる。
ゲームでも見たことのあるゴブリンだ。
「『炎の矢よ。敵を射抜け。フレイムアロウ』!!!」
ゲームの演出そのままの炎の矢が、少し時間をかけながら出現する。
そして、目標に跳んで行く。
その間にかなり近づかれてしまうが、まぁゴブリンくらいならば大丈夫だろうと安心する。
(これは確かに、発動するまでに時間がかかる魔法が廃れて、速攻できる科学技術のが進歩するわけだよ)
案の定、ゴブリンは今の一撃で死んだようだ。
「レオ、今のは?」
「魔法による攻撃ってやつさ」
「……なんで、知ってるの?」
「今説明してる時間はない。急ぐぞ!!」
「あっちょっと待って!!」
今倒した以外の敵に見つかるわけには行かない。
なのですぐにまた駆け抜ける。
見つかりそうになったら、岩陰や草むらに隠れて。
また駆けて。
その繰り返しをして、立ち入り禁止区域の表示を潜り抜ける。
そしてその後も魔物をやり過ごしながら、ようやく遺跡にたどり着く。
「遺跡に入る前にちょっと休憩しよう」
「分かったわ。じゃあ、聞かせてもらうわね」
「わかった」
「なんで、攻撃魔法を知っていたの?」
「本を読みあさったからだ。と言っても信じてはくれないだろ?」
「そうね。レオは本が1番嫌いじゃない」
「酷いなぁ〜応読みはするんだぞ?」
「あれは娯楽の為の本でしょ?勉強の為の本は嫌いじゃない」
「まぁ、そうだな。じゃあ。これだけは言っておく。信じられなくてもいい。いつもの軽口だろうと流してくれてもいい」
「分かったわ」
「俺は異世界に住んでいた記憶があるんだ」
「なっ!?」
「そこで、娯楽の1つにスマホゲームってのがあって、まぁ色々種類があるんだが……その中の1つに、この世界の1000年前の時代を舞台にしたものがあった」
「……」
「それをやってた俺はある程度魔法を知っているんだ」
黙り込んでしまったな。まぁ、あり得ない話だからな。
まぁ、異世界の魔王が来てる時点でっていう話もあるのだが。
「まぁ、あれが初めての使用だけどな」
「は?」
「ん?」
「初めてなのにどうして賭けに出たのよ!!」
「どうしてって、ゴブリンくらいなら大丈夫だと思ったし、まぁ試したかったからだな?」
「試したい?」
「そら、ここが自分の知ってる世界だっただからできるかもと思ってな」
「はぁ……まぁいいわ…」
「それで?俺はどうなんだ?」
「どうって、まぁ、幼い頃からのあなたを知ってるから納得したわよ」
「それだけか?別だが、同じく異世界からきた魔王様と同じように侵略しに来たとは思わないのか?」
「あなたが?ないわ。お人好し過ぎるもの」
「はぁ?俺がお人好し?ないだろ?どこが?」
「こうやって連れてきてくれることよ。まぁいいわ。休憩できたのなら先に進みましょう?」
「なんか腹立つな……あ、おいまて、先に行くな!!」
「行くわよ〜」
「罠があるかもしれな…」
リュシーが無視して遺跡の入り口のところに足を踏み入れた瞬間。
「きゃぁぁぁぁ!!!!」
四方八方から縄が飛び出し、リュシーを縛り上げる。
「あちゃ〜」
頭に手を当てる。
「リュシー、だから先に行くなって……」
「分かったわ!分かったから、早くおろしてぇ!!」
「あ〜あ。これは聞いてないな?まぁいい。『炎よ、あの縄の一部を焼き切れ。ファイア』」
淡い炎を発生させてリュシーが火傷しないように縄を焼き切っていく。
そして、ゆっくり降ろす。
「罠があるなら罠があるかもだから気をつけろって言ってよ!!」
「だから先に行くなって言ったろ」
「ぶー!強く引き留めないから〜!!」
「はいはい俺が悪かった。これに懲りたら俺の言うことを聞いてくれ」
「は〜い」
(絶対聞いてねぇな?わざと罠の1つ発動させて危険な目に合わせて危険だって思わせてやろうかな……)
まぁ、命の危険があるのでそんなことは絶対にしないが。
そんなこんなで、ようやく遺跡の中に足を踏み入れ、先へ進む。
魔物とかの危険は、遺跡がトラップだらけだと聞いていたので、入り込むことがないと思っていたが。
まぁ……そこら中に骨が落ちているのが気がかりだが、ひとまずは大丈夫そうだろう。
(となれば、トラップを避ければいいだけの話だな)
それでも魔物を警戒しておくに越したことはない。
そうして、トラップを、持ってきた棒で探し出して避けたり、時にはピッキングで解除したりして順調に進んで行き、最奥に着いた。
最奥に広がっていた空間は、いかにも遺跡という風貌かつ、トラップまみれの道中とはうって変わって、いかにも質素な木造建築の部屋だった。
保存魔法でもかけられているのか腐っていることなく立派な部屋だ。
部屋の隅には本棚や、ゲームで見たような魔導式保存庫がある。
そして真ん中にはベッドが置いてある。
「これが、大魔法使い『エルセリオ』……」
ベッドに横たわっていたのは、見覚えのある人物だった。
(なっ!?)
ゲームのボスドロップで魔導師専用の夜空の魔導セットを着ているのはもちろんそうだが。
(見覚えのあるなんてもんじゃない)
この顔立ちは。この見た目は。アバターは。
「お前だったのか……エル?」
あのゲームで数百時間も一緒にプレイをした友人のアバターだった。
お待たせしました!
ぜひ次回もお読みください!




