一章・異国の少女(3)
クミコ、か。
晶はその名前の響きがどこに由来するものなのか考えていた。異国の知識はそれなりにあるが、晶が知るいずれの国でもないように思われた。
というか──この国の名前の響きとしても、それほど違和感は覚えない。
そもそも、この国の言葉が話せている。最初に会った時は互いに言葉が通じないと感じたのだが、「ありがとう」と「美味しい」という言葉が聞き取れた。
その後の会話では、所々分からないなりにもそれなりに言っている事は分かる。どこの方言なのか訛りが酷いので、聞き取りづらい所もあるが。
何にしても精の付くものを食べさせんとな。
特に不満もなく米の粥は食べていた。本当はあれは自分用だったが、それはまあいいだろう。
貴族がどういうものを食べるのか想像も付かないが、無いものは振る舞えない。
「魚でも釣ってくるか」
クミコを見やるとすやすやと眠っている。体調は随分と持ち直したようだ。
晶は釣り竿を持って家を出た。
風が時折思い出したように葉を揺らしていた。若い蜜柑のような太陽が青い空に眩しく、遠くには一際高く聳える山が見通せた。すっかり晴れたものだ。地面はくろぐろとした木々の影に彩られ、昨日まであった水たまりは消え失せている。
こういう日は下流の淵に魚が集まっているものだ。
「晶じゃないか。釣りか?」
「ああ……」
彗だ。晶の幼馴染──役人である。
特別親しくしているわけではないが、晶と彗は似たような思考回路を持っているらしく、例えばこんな日だからと晶が釣果を期待したポイントに彗も釣り竿を持ってきているという塩梅で。
「浮かない顔をしているな、親友」
──特別親しくしているわけではないはずなのだが、彗は晶を「親友」と呼ぶ。敢えて指摘する事はしないが、なぜ彼がわざとらしくそう呼んでくるのか、晶には良く分からない。更に良くわからないのが、
「……いや、別に」
挨拶代わりに人が何か悩んでいるかのように決めつけてくる事である。
そう言われてみると、自分は浮かない顔をしていたのかも知れないと一瞬考えるが、やはり全くそんな事はない。
あの女──クミコと言ったか──を拾ったことに関しては、もはやそれが自分の性分だと諦めている。その事で悩んでもいない。が──ちらりと彗を見やると、横に腰を下ろし釣り糸を垂らし始めている。
この男には話してみる価値があるかも知れない。
「素性の分からぬ女が行き倒れていて、家で看病しているところだ」
「ほう、それが浮かない顔の原因か」
浮かない顔をしていただろうか。釣り糸を辿り水面に映る自分の表情を見る。特段自分がそういう表情を浮かべてるとは思わなかったが、言い合うほどの事でもない。
受け流し、その女の特徴を簡単に伝える。
見たこともない服──質の良さそうな生地、恐らくどこかの国の貴族だろう、と。
ただそれがどこなのかはわからない。
「誰かが外国から奴隷を買ったという話は聞かないし、ましてや逃げたとなると」
と言いながら彗は当たりを感じたのか竿を引き上げた。
餌だけがなくなっている。
「聞かないな。奴隷の売り買いは常時あるが、それほど珍しい様相なら俺の耳には届くはずだ」
「そうか。奴隷じゃなかったか」
「どっちにしても外国から来たなら入管を通るからな。入管を通ってれば俺は知っているはずだ。で、俺は知らない。まあ人が降って湧くわけもなかろうし、密入国という事になるか」
「そういう事になるな」
言いながら晶が竿を引き上げると、一尺はあろうかという岩魚が糸の先で踊っている。晶の針先は彗のそれとはわずかに形が異なる。竹のしなりに沿って削ったもので、水に沈む角度が違っていた。
手慰みに削ったにしては、釣果がやけに良い。
「外国人ではあるんだよな?」
「それが分からん」
「分からん?」
「ああ、言葉が……まあ大体通じるんだな」
「大体」
「うん、大体だな」
「カタコト?」
「いやそうじゃない。流暢に喋っている。ただ訛りが強くて聞き取りづらい。なんていうんだろうな。多分あれはあの女の母国語だと思うんだよ。それを俺がそれなりに理解できるって事で」
「ほう」
「あれは外国語ではなく、東か西か──あるいは北か南かも分からんが──この国のどこかの方言なんじゃないかとも思うわけだが」
「ふむ」
「思い当たるところがない」
「……ふむ」
そういって彗は黙り込んだ。釣りの方は芳しく無く、また餌を食い逃げされていたが、無言で餌を付け直して糸を垂らしている。
そう、思い当たるところがないのだ。そんな事を考えながら釣り糸を垂らしていたのだから、浮かない顔をしていたというのは本当にそうだったのかも知れない。
晶は語学に長けている。といっても語学の専門家ではない。晶は職人として、十代の頃から諸国を修行の場として転々とした。木も、金属も、土も、火も扱う。あらゆる仕事場に首を突っ込み、あらゆる技を盗んで使う。外国に渡る機会も得た。
なので多くの方言を解するし、大陸の言葉も話せずとも聞けばそれと分かる。
「どこの誰だとしても──」
彗がつぶやく。釣り針にやっとかかった小ぶりの魚が、ピチピチとはねている。
「登録しておかないわけには行かない。辻褄合わせはやっておく。あとでお前の家に行く」
晶は無言で頷いた。
「──そういえば、晶」
彗がまた餌を付けながら、思い出したように言った。
「ここのところ、北の斜面で地層の掘削が始まってな」
「例の沈んだ地だ。上からは見えんが、村の外れの岩場に、人工構造らしきものが埋まっている」
晶が片眉を上げる。同時に竿に手応えを感じ、水面に目を向ける。
「つまり古の──よっとでかいな。古の遺跡か」
頷きながら、彗は餌を付け替えていた。紫の袖に泥が擦り、いくらか汚れたが気にはしていない。
晶は釣果を魚籠に移すと、竿を立て、くるりとねじって釣り糸を収めた。
彗の手から釣り竿を取り、ひょいとあげてその先にある餌を剥がし、針を調整してから自分の餌を付ける。
それをしながら晶は言った。
「また死人でも出たか?」
「いや、今のところは出ていない。だが、前回の件があるからな。今回は慎重に進めてる。手順書を新たに起こした」
釣り竿を受け取った彗が、役人の口調で淡々と報告のようにいう。
周辺の木々の葉が小さく囁き合うように揺れた。
彗は少し口を噤んでいたが、あえて冗談めかして笑った。
「何にしても、掘り起こすなら形を残す。崩すなら記録を残す」
いつしか太陽が頭上にあった。魚籠を腰に提げて、晶は立ち上がった。
柔らかい春の陽射しを運ぶように、風が流れて、ほんの少し小枝を揺らしながら。
澄み切った空の向こうに霊峰が見えた。
*
クミコの回復は早かった。それもそのはずで、聞けばまだ十七との事。
晶より十も若いのだから回復が早いのも道理である。
「二十七歳……なの?」
クミコはひどく驚いていた。彼女にとっては晶は幼く見えるらしい。
隣の若妻、冴から借りた着物はクミコには丈が短く、着せてみると膝が見えるがクミコは気にせずそれを纏った。
脹脛を隠せぬことに頓着はないらしい。
着物を着せて立たせてみると、冴も美しい女であるが、クミコの美しさは種類が少し異なった。
異質。
張り替えたばかりの障子のようにたるみのない肌は、年齢からすれば相応だが、際立つのはその肌の透明な白である。
ただそれは、北の外国にいる、宝石のような空色の目の玉を持った彼らの白さとはまた違う。
その白さを晶は最初、肉体を甘やかしてきた高貴な身ゆえのものかと推察したが、彼女の一つ一つの所作がそれを否定する。
身体の回復と共に気も回復してきたらしく、交わし合う言葉に未だ不足はあるのだが、心情のやり取りは声色に乗るもので。
即ち、語彙の不足ほどには距離を感じなかった。クミコの声には、馴れ馴れしさや気安さとは少し異なる、素直な親しみがあった。
冴の着物を纏い、そのような装いは珍しいのか楽しいらしく、立ち上がって顔を綻ばせ自分の身体のあちこちをみて笑っている。
白い脹脛がくるりと裏返り後ろ側を見せてまた戻った。
それからクミコは晶の顔をしっかりと見据えて、ゆっくりと大きな声で、そして親しみを込めて言った。
「ありがとう」
*
「ありがとう」
助けてくれて、ありがとう。
食べさせてくれて、ありがとう。
そして何より、私を受けいれてくれて。
久美子がこの世界へ来て、もう五日ほどが経つ。
けれど、たった五日とは思えなかった。
五日間──それは時計の針で均等に刻まれた時間ではなかった。飢えと渇きと恐怖が、一刻ごとに身体から何かを奪っていくような時間だった。
最初の一日は、まだ現実感が残っていた。
どこかに警察がいて、誰かが助けてくれると信じていた。
でも──誰の声も、助けには聞こえなかった。
見る者はいた。近づいてくる者もいた。
けれど、その手が助けようとして差し伸べられたものなのか、捕らえようとするものなのか、久美子には見分けがつかなかった。声を掛けられれば身を強張らせ、近づかれれば逃げた。
頼りたいのに、誰を頼っていいのか分からなかった。
この世界において、久美子は異物だった。そうして互いに距離を取り合った末に、関わりあう事ができなかった。
逃げるように森へ入った。
人のいないところ、人の目のないところ。
その代わりにあるのは、夜だった。
夜は恐ろしかった。
足音のような風、何かが這う音、目の見えない音。
そして何より──飢えが、痛みになることを知ったのは初めてだった。
口にした木の実は苦く、草花は湿っていた。それでも喉を鳴らして噛み潰した。毒かも知れないと思いながら、それでも食べた。飲んだ水で腹を下し、腹を下してなお、また水を求めた。
人の言葉は通じなかった。「こんにちは」が伝わらず、「助けて」が拒まれた。不安は声にならず、声を出すことが怖くなった。
時の感覚は失われ、昼夜の境目も分からない。時計を持っていても、それを見る余裕がなかった。
カレンダーが一枚一枚剥がれていくような時間ではなく、皮膚を一枚ずつ削がれていくような時間だった。
──そんな五日間の果てに、彼女は拾われた。
差し出された食べ物は、あたたかく、やわらかく、そして、初めて安全だった。それは彼女にとって、世界からの赦しのように思えた。
*
来客があった。
「晶。入るぞ」
入ってきたのは、長身で衣の皺ひとつない男だった。落ち着いた所作に比して、目が笑っていない。
「久しいな、彗」
晶がわざと名を呼ぶ。男は僅かに口角を上げて見せた。
「久しいと言うほどの間は空いていないがな」
久美子は、その男が放つ何かの圧に緊張したようだった。
言葉が交わせるようになったとはいえ、まだ完全な理解には遠い。
それでも彼女は礼を示そうと、身をかがめて挨拶らしきものを口にした。
彗は、じっと彼女を見ていた。
「どこの者でもないな」
「流れ者ってことで、ひとつ」
彗は頷き、そして改めて久美子を見る。全身をどこか品定めするように。
久美子は彗が行政関係の役人──もちろんこの世界の行政がどのようなものかは分からないが──である事を察して思い切って話しかけた。
「ここは……江戸なんですか?」
「エド?」
聞き慣れない地名に晶も彗も首を傾げる。その様子をみて久美子は続けた。
「江戸じゃないんだ……。江戸じゃなくても、江戸という場所はあるでしょ?」
「いや。それは国の名前か? 聞いたことがないな」
「国というか、地名というか……」
彗は首を振る。
久美子は何やら考え込んでいた。
それから久美子はいくらかの地名を言った。ナニワ、サツマ、オワリ、トウキョウ、オオサカ、ナゴヤ。
聞いたことのない地名に彗は晶の顔を見る。晶は首を振る。
「それ以前にどう呼ばれていたか、わからない」と久美子は呟いた。
「江戸時代の前だから、安土桃山時代? 戦国時代? 分かんない……」
学校の授業でしか歴史に触れていない久美子が知らないのも無理はない。
余談であるが、江戸という地名は江戸時代より遥か以前から存在している。
江戸という地名が発生したのは、平安時代後期であると考えられている。
史料として初めてその地名が現れるのは鎌倉時代の「吾妻鏡」で、そこに書いてある年代と照合しての類推である。
それ以前は武蔵国と呼ばれていたとの記録があるが、久美子にはもちろんそんなことは分からない。
そもそも、今自分が立っている場所が東京なのかどうかも判然としないのだ。
だが、言葉がこれほど通じるというのであれば、少なくとも日本のどこかであるようには思える。
そして、この風景──建物や衣服、道具の様相からしても、昔の日本に似ている。
だが、それがいつなのかまでは分からない。時代や場所によって言葉が大きく変わることは、鹿児島の親戚の葬式で身に沁みている。
ならば、ここがどこなのかを聞けば分かるかもしれない──そう思って彗に問うと、彼はあっさりと答えた。
「エンの国だ」
エン……?
久美子は首をかしげる。聞いたことのない地名だった。円、延、塩──思い浮かぶ漢字はあれど、どれも地理的な繋がりがない。
困惑して黙り込む久美子に、彗は近寄って安心させるように言った。
「名を教えてくれるかい?」
「久美子です」
「私は彗」
「彗さん?」
「『さん』はいらない。彗と呼んでくれ」
「彗」
彗は頷く。
「晶と私は、竹馬の友であり刎頸の交わりをする親友だ」
晶は何言ってやがんだという顔で聞いている。
久美子は晶を見る。彼の彗に対しての雰囲気は、良い意味での雑さがあって、それは久美子を落ち着かせた。
「その親友が、あなたを保護しようとしているのだから、私もそうしたいと思う。幸い私は役人で、いくらかの協力ができる。どうか安心してもらいたい。悪いようにはしない」
久美子には彗の言っていることの全ては理解できなかったが、その言葉が誠実であることは伝わってきた。
そしてこの心細い世界で、自分の味方であることも。
晶の方を見ると、軽く微笑んで頷いた。
久美子は彗を振り返り、満面の笑顔を湛える。
彗は一瞬たじろいだ。
「ありがとう、よろしくお願いします、彗」
季節外れの向日葵が狂い咲いたのかと彗は思った。
*
一ヶ月ほどすると、クミコが話す言葉に晶は違和感を覚えなくなっていた。
言語の習得能力が高いのではなく、晶の母国語とクミコの母国語には共通性がある。共通性? いや、違う。同一性という言葉の方がしっくりする。つまり同じ言語だ。
よくよく会話を重ねると、クミコの言葉は地方の方言ほどには乖離していない。互いが互いに伝わる話し方をほんの少し意識するだけで、スラスラと会話が繋がる。
クミコが身を寄せる場所はこの国にはない。
よって入国管理官である彗に手伝ってもらい、晶の所有物──すなわち、奴隷として登録して、身分を作った。
便宜上、そうしておくのが適当だろうと思えたのだ。
「あらやだ、わたし、晶の奴隷なの?」
「身許がなくては不都合もあるからな。彗が骨を折ってくれた」
「なら、わたしの身体は晶のものなのね。どうぞ、好きに使って」
そういってクミコが着物の胸のあたりをちょいと摘んで広げるような動作をするので、晶はケタケタと笑い出す。
十七の娘が顔を背けて色香を出そうとしている様子がまたおかしい。
「では奴隷どの、水を汲んできてくれるか?」
「やだ、あれしんどい。身体でなんとかならない?」
指を咥えて見せる所作がなんとも可愛らしく、晶はその手を取って桶を握らせた。
追い立てられるようにしてクミコは笑いながら井戸に駆けていった。
「晶。入るぞ」
彗がのそりと入って来る。返事をする晶に構わずキョロキョロと見回している。
「今日はクミコに民属帳の記載を示す”証の札”を持ってきた。クミコは?」
「水を汲みに行っている。どれ俺が受け取ろう」
「いやこれは直接クミコに……」
晶は怪訝な顔をして首を傾げる。そしてほんのり意地悪く言う。
「別に構わんだろう。お前も忙しいだろうし」
それはもちろん忙しいと彗は強く言い、そして役人がどれほど忙しいかを捲し立て始めた。
晶は相槌を打ちながら聞き流し、片手間に竈に薪を立てる。
あまりに彗の話が長いので、晶はそれに片眉を上げながら、
「もうクミコも戻るだろう。まあそこに掛けてくれ」
とやっと促した。
彗は稚拙な時間稼ぎが見抜かれた気恥ずかしさで、少々気まずそうな顔を作ったが、まもなくクミコが戻るという言葉を受けて、
「ならば本人に直接渡した方が早い」
と取り繕った。
いよいよ晶が笑い出したところにクミコが桶を抱えて戻ってきた。
「あ、彗だ。来てたの? 待ってて、わたし今、奴隷扱いされてるの」
そういってクミコは腰を曲げて、桶を三倍ほど重そうに見せて運ぶ。
「奴隷? 晶、貴様クミコをなんだと思っている?」
「そう登録したのはお前だろう」
「それは便宜上の事と言ったはず。なぜなら入管というものは──」
役人の熱弁を聞きながら、晶とクミコはてきぱきと炊事を行い、晶が「食ってけ」と彗の演説を止めて三人で卓を囲んだ。
釜に火をかけ、蒸らし終わるまで話していたのだから、喉も渇いたろうと、晶が彗に茶を差し出す。
「はい、彗。喉渇いたでしょ?」
彗はクミコから差し出された茶を、眉を引き締めて受け取り礼を言う。
晶は行き場を失った茶を手にしたまま、なんとも不格好だと苦笑し、それを自分の口に運んだ。
「お前、木札を持ってきたんじゃないのか」
それがなぜここで飯を食っているんだと言外に詰める。
「クミコの炊く飯は美味いな」
彗は晶を無視してクミコに話しかける。「炊いたのは晶だよ」「飯の味は水の運び方で決まるのだ」いい加減なことを嘯く。
クミコと彗が談笑しているところに中々言葉を差し込めずに、晶は箸を黙々と動かした。
食べ終わってから、やっと目的が現れる。
「クミコ、”証の札”が出来たんだ。これまで村を出られなくて不便をかけたね」
「ううん、全然。出る用事も無かったし」
「そうだろうそうだろう、これで大丈夫だからね」
晶が思うに、来た頃のクミコよりも彗の言葉は不自由に思える。
ともあれ用が済んだ。
彗は流石に長居が過ぎたと言ってから、すでに空になった湯呑を三度口に付けて空気を飲んだ。
四度目を口に運ぼうとした時に、晶のニタニタした視線に気付き、そこでようやっと徐に立ち上がる。
そして晶に、
「クミコは便宜上の奴隷だからな」
と分かりきったことを言って、立ち去っていった。
クミコが玄関まで見送って、彗の後ろ姿に手を振る。
「木札をありがとう、彗、また来てね」
彗は三度振り返ってクミコに手を振り、四度目は木にぶつかっていた。




