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封の火

作者:八月朔日八朔
最新エピソード掲載日:2026/06/25
目覚めたら見知らぬ天井、そしてなぜか目の前に干されている、自分のブラジャー。
現代から謎の土地へと迷い込んでしまった女子高生・久美子は、お椀を差し出す美少年(!?)の姿に困惑する。

そこは、江戸時代を思わせる、けれどどこか決定的な違和感がある世界。
言葉が「絶妙に通じるようで通じない」チグハグな異郷で、行き倒れた彼女を拾ってくれたのは、手先が器用でちょっとお堅い天才職人の青年・晶(しょう)だった。

「俺の言ってる事、分かるか?」
「カユ、クエ……?」

最初はすれ違う二人だったが、美味しいお粥と晶の不器用な優しさに、久美子は次第に胃袋と心を掴まれていく。

しかし、現代人の知識があっても、文明の異なる世界での実用化には高すぎるハードルがあった。
「こんなものを作りたい」という久美子の頼りない発想を、諸国を巡りあらゆる技術を修めてきた晶が汲み取り、何度も試作を重ねていく。そうして試行錯誤の末にやっと完成したのは、一本の「鉛筆」だった。
素材がグラファイトであることすら知らない久美子だったが、指先に伝わる懐かしい書き味に、思わず涙がこぼれる。

学校で習った程度の健康や身体の知識、細菌や衛生観念――。
伝えられる言葉を必死に探しながら、村の生活を少しずつ豊かにしていく久美子は、いつしか周囲から「巫女」として敬われる存在になっていき……?

一方、二人の温かな日常の裏では、村の外れにある「古代遺跡」の掘削が始まっていた。
世界の謎と、1959年の特許。それが繋がるとき、二人の運命は――。

天才職人男子×行き倒れ現代女子が、一歩ずつ言葉と文明を紡いでいく、ちょっと不思議な異文化技術交流ファンタジー。
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