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世界を救った少女が眠り続けているので、大悪魔の俺が今度こそ救うことにした  作者: 和伊 和威
第一章 眠り続ける星継ぎと、目覚め始めた地球の神
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08. 黒瀬蓮に憧れるほど、美月は祖父の正体へ近づいていた

いつも応援ありがとうございます!


当作品は、【毎日 朝06:00 / 夕方18:00】の1日2回、定時更新でお届けしております。


今回もぜひ、最後までお楽しみください!

【美月(みづき)視点】

 翌日。私は学校帰りに、そのままハンターギルドへ向かった。目的は一つ。黒瀬蓮(くろせれん)。昨日、私たちを助けてくれたB級ハンターだ。顔の半分を布で隠していて、年齢はたぶん、お父さんくらいだと思う。いや、お父さんはもういないから、比べ方として正しいのかは分からないけど。少なくとも、私から見れば大人の男の人だった。無愛想で。口が悪くて。でも、ものすごく強かった。大きな魔法を使ったわけじゃない。派手な技を見せたわけでもない。ただ、避けて、斬って、進む。それだけで、あんなに違う。あの戦い方を、もう一度見たかった。


「今日、黒瀬さん来てませんか?」

 受付で聞く。

「黒瀬さん? 今日は見てないわね」

「そうですか……」

 思ったより、がっかりした。でも、次の日も行った。さらに次の日も。学校が終わると、自然に足がギルドへ向かっていた。我ながら、何をやっているんだと思う。友達にも、またギルド行くの、と呆れた顔をされた。でも、仕方ない。あの戦い方を、もう一度見たかった。昨日、私は何もできなかった。友達が怪我をして、自分の判断の甘さを思い知らされた。だからこそ、知りたかった。あの人は、どうしてあんなふうに動けるのか。どうすれば、あんなふうに戦えるのか。


 そして数日後。

「あっ!」

 ギルドの奥に、見覚えのある男を見つけた。顔の半分を布で隠した、無愛想なB級ハンター。間違いない。黒瀬蓮さんだ。

「黒瀬さん!」

 私が駆け寄ると、黒瀬さんは露骨に嫌そうな顔をした。

「……なんでいる」

「探してたんです!」

「なんで」

「言ったじゃないですか。戦い方を教えてください!」

「嫌だ」

 また即答だった。


「お願いします!」

「嫌だ」

「じゃあ、師匠って呼びます」

「話聞いてたか?」

「師匠!」

「やめろ」

「師匠!」

「……面倒くせぇ」

 黒瀬さんが頭を抱える。でも、私は諦めない。昨日のままでは嫌だった。調子に乗って、危ないところまで進んで。友達を怪我させて。最後は知らない人に助けられた。あれを、ただの失敗で終わらせたくなかった。

「私、本気で強くなりたいんです」

 そう言うと、黒瀬さんは少しだけ真面目な顔になった。

「……昨日みたいな無茶はするな」

「じゃあ教えてくれるんですか?」

「そうは言ってない」

「師匠!」

「だから違う」


 なんだかんだ言いながら。その日から私は、黒瀬さんを見つけるたびに追いかけるようになった。

「師匠!」

「違う」

「今日こそ教えてください!」

「帰れ」

「ギルドに来たばかりです!」

「なら受付の邪魔になる前に帰れ」

 そんなやり取りを何度も繰り返した。受付の人には、すぐに顔を覚えられた。友達には、また師匠探し、と笑われた。でも、不思議と嫌ではなかった。ギルドへ行く理由ができた。強くなりたい理由が、前よりはっきりした。おばあちゃんみたいになりたい。そして、黒瀬さんみたいに戦えるようになりたい。それが、今の私の目標になっていた。


 ギルドへ通うようになって、しばらく経った頃。

「あれ……?」

 見覚えのある男性が、ギルドの奥を歩いていた。年配だけど、姿勢が良い。なんとなく偉そうな人。というより、周囲の職員たちが明らかに緊張している。どこかで見たことがある。私は少し考えて――思い出した。

「……家に来てる人だ」

 たまに、うちで見かけるおじさん。おじいちゃんと長い時間話していることがある。私が近くを通ると、二人とも話を止める。だから、何を話しているのかは知らない。でも、その顔には見覚えがあった。


 私は受付の人に聞いた。

「あの人、誰ですか?」

「え?」

 受付の人は私が指した先を見て、驚いた顔をした。

「天羽(あもう)総帥よ」

「……総帥(そうすい)?」

「ハンターギルドの総帥」

「え?」

 私はもう一度、その人を見る。総帥。ハンターギルドで一番偉い人。登録したばかりの新人でも、それくらいは分かる。その人が。どうして、うちに?どうして、おじいちゃんと長い時間話しているの?胸の奥に、また小さな違和感が増えた。


「……気のせいよね」

 たぶん。似てるだけ。そう思うことにした。だって、おかしい。ギルドの総帥が、どうして普通の家に来るのか。どうして、家で暇そうにしているおじいちゃんと、長い時間話すのか。そんなの、考えたって分からない。きっと何かの勘違いだ。そう決めて、私は視線を逸らした。でも、一度気づいてしまった違和感は、簡単には消えなかった。ギルドの職員たちが頭を下げる相手。ハンターギルドの総帥。その人が、私の家で、おじいちゃんと話している。また一つ。あの人の分からないところが増えた。

本編をお読みいただきありがとうございました!


一気読みしてくださっている方も、毎日追ってくださっている方も、本当にありがとうございます!

第一章も楽しんでいただけていたら嬉しいです!


面白い、続きが気になる!と思ってくださったら、ページ下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援していただけると、第三部を最後まで駆け抜ける凄まじいエネルギーになります!


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――次回予告――

正式に美月の指導員となった、B級ハンター・黒瀬蓮。


けれど美月は、その正体を知らないまま――嫌いな祖父への不満を、祖父本人にぶつけてしまう。


次回

『09. 嫌いな祖父だと知らずに、美月は黒瀬蓮へ祖父の悪口を言った』


次回【朝06:00/夕方18:00】更新です!

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