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世界を救った少女が眠り続けているので、大悪魔の俺が今度こそ救うことにした  作者: 和伊 和威
第五章 世界を救った神も、救われていなかった
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70. 神がいないんじゃない。地球の神は“いなくなった”んだ

いつも応援ありがとうございます!


当作品は、【毎日 朝06:00 / 夕方18:00】の1日2回、定時更新でお届けしております。


今回もぜひ、最後までお楽しみください!

【美月(みづき)視点】

『星継(ほしつ)ぎに触れるな』

 また、声が響く。でも。姿は見えない。

「誰なの……」

 地球の底にいる。意思を持った何か。それが、サクラ様を星継ぎとして手放そうとしていない。

「美月」

「はい」

「無理すんなよ」

「分かってます」

 神性領域へ入ってから。胸の奥が、ずっと反応している。深層適性。管理機構へ繋がった時と同じ。いや。それ以上。

「たぶん。私、ここにも繋がれます」

「……やっぱりか」

「やってみます」

「危なかったらすぐ戻れ」

「はい」


 私は、目を閉じる。意識を、神性領域へ伸ばしていく。

「……っ」

 一瞬。身体ごと、底のない場所へ落ちていくような感覚。次の瞬間。景色が変わった。

「……どこ?」

 目の前に、知らない世界が広がっている。でも。ヴァルメリアじゃない。理由は分からない。なのに、なぜかそう確信できた。

「地球……?」


 巨大な都市。空へ伸びる、見たこともない建物。道には、不思議な光が走っている。空にも。巨大な輪。塔。浮かぶ建造物。

「何これ……」

 これが本当に昔の地球なら。おかしい。私の知っている現代より。ずっと進んでいるように見える。でも。科学じゃない。至るところに魔法陣がある。結晶が光っている。空中を流れる光そのものが、魔力だと分かる。昔の地球には。本当に、魔法文明があった。


 景色が切り替わる。今度は、一つの街じゃない。世界中。大地を巡る、巨大な光。

「……魔力?」

 一本じゃない。何本も。何十本も。大陸から、大陸へ。海の底まで。地球全体を、網のように魔力が巡っている。それを見た瞬間。胸が強く鳴った。これ。今の地球が失っているものなんじゃない?サクラ様が代わりに支えているもの。その元の形が、これなんじゃない?


 また、景色が変わる。人々が何かを操作している。巨大な装置。魔法陣。結晶。知らない文字。でも。分かる。これは、魔法。人の手で。地球を巡る魔力を調整している。

「昔の地球に……」

「こんな文明が?」



【皐月(さつき)視点】

「美月?」

 返事がない。立ったまま、目を閉じている。管理機構へ接続した時と同じ状態。

「またか……」

 俺は、美月の前へ立つ。周囲を見る。あの声の主は、まだ姿を見せない。

「今度は何見てんだよ」



【美月視点】

 人。たくさんの人。大きな広場。みんな、一か所を見ている。

「……何?」

 その先。一人の人が立っていた。見た目は、普通の人間。なのに。男なのか。女なのか。それすら、なぜか分からない。見えないわけじゃない。見えているのに、認識できない。ただ。見た瞬間。分かった。

「……違う」

 人間じゃない。


 その人が、手を上げる。すると。大地を巡っていた魔力が、一斉に動いた。空。海。植物。すべてが、その存在に応えるように変化する。

「……」

 人々が頭を下げている。敬っている。祈っている。でも。その存在は、人々を見下しているようには見えなかった。怖がらせてもいない。普通に。笑っていた。人々と同じ場所に立って。その声を聞いているように見えた。

「まさか……」

 私の中に、一つの言葉が浮かぶ。

「……神?」


 その瞬間。景色が、激しく揺れた。

『見るな』

「!」

 あの声。

『それ以上見るな』

「あなたなの?」

 私は、人々の前に立つ存在を見る。

「この人があなたなの?」

 返事はない。でも。強い拒絶が流れ込んできた。怒り。それだけじゃない。何か。もっと深い感情。まるで。見られたくない傷を、無理やり開かれたような。


 そして。最後に。一つだけ。はっきりと分かった。遥か昔。地球には。人々と共に生きる。地球の魔力を巡らせ。大地や海へ力を流し。人々と同じように笑う。人格を持った。一柱の神がいた。


 意識が、現実へ戻る。

「っ!」

「美月!」

 倒れそうになった身体を、おじいちゃんが支える。

「大丈夫か?」

「……はい」

「何が見えた?」

 私は、おじいちゃんを見る。

「師匠……地球に……神様、いました」

「……は?」

「ずっと昔……人間と一緒にいた。本物の神様が」

 おじいちゃんが、神性領域の奥を見る。そこから。また、あの声が響いた。

『……去れ』

 でも。もう、さっきとは聞こえ方が違った。地球には。神がいないんじゃない。神が、いなくなった。なら。次に知るべきことは、一つだった。地球の神は。いったい。どこへ消えたのか。

本編をお読みいただきありがとうございました!


一気読みしてくださっている方も、毎日追ってくださっている方も、本当にありがとうございます!

第一章も楽しんでいただけていたら嬉しいです!


面白い、続きが気になる!と思ってくださったら、ページ下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援していただけると、第三部を最後まで駆け抜ける凄まじいエネルギーになります!


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――次回予告――

古代地球の文明は、魔力を使うだけではなかった。


大地、海、気候、そして生命。

ついには――世界そのものの循環へ、人間が手を伸ばし始める。


その瞬間。

地球を巡る巨大な魔力に、初めて“揺らぎ”が生まれた。


そして古代地球神は、その異変をただ静かに見つめていた。


次回

『71. 世界そのものを操り始めた瞬間、地球の魔力が揺れた』


次回【朝06:00】更新です!

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