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世界を救った少女が眠り続けているので、大悪魔の俺が今度こそ救うことにした  作者: 和伊 和威
第五章 世界を救った神も、救われていなかった
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71. 世界そのものを操り始めた瞬間、地球の魔力が揺れた

いつも応援ありがとうございます!


当作品は、【毎日 朝06:00 / 夕方18:00】の1日2回、定時更新でお届けしております。


今回もぜひ、最後までお楽しみください!

【美月(みづき)視点】

 地球には。神がいた。遥か昔。人間と一緒に、この世界で生きていた神。でも。分からないことがある。

「師匠」

「ん?」

「昔の地球って、どうしてあんなに発展してたんでしょう」

「俺に聞くな」

「でも」

「おじいちゃん」

「かなり長く生きてるでしょ。美桜(みお)おばあちゃんと同じくらいの年齢だったはずなのに。今も全然変わってないし」

「それと古代文明は別だろ」

「……まあ、それはそうだけど」

 でも。知りたい。あの巨大な都市。世界中を巡っていた魔力の光。あれは全部、神様が与えたものなのか。

「もう一回……繋がってみます」

「気をつけろよ」

「はい」


 再び、神性領域へ意識を伸ばす。

「っ……」

 景色が変わる。また、あの古代都市。でも今度は、もっと近い。人々が何かを作っている。巨大な塔。地下へ続く設備。いくつもの結晶。そして。大地の奥から、光が流れ込んでいる。

「……神様から?」

 そう思った。でも。違う。すぐに分かった。光は、神様から来ていない。地面から。海から。空気から。この世界そのものから流れている。

「地球の魔力……」


 古代の人たちは、その魔力を集めていた。でも。使って終わりじゃない。都市へ流れた魔力。装置を動かした魔力。使われた後の力が、別の道へ流れていく。そして。また別の設備へ。そこで整えられ。再び、大地へ戻っていく。

「循環させてる……?」

 奪っているんじゃない。地球から借りて。使って。また返している。そんな仕組みに見えた。


 景色が次々に変わる。都市を照らす光。作物を育てる設備。水を運ぶ巨大な装置。空を飛ぶ、乗り物のようなもの。全部、魔力で動いている。でも。魔力を消費するだけじゃない。回収。制御。再利用。使った力を戻しながら、文明を動かしている。

「すごい……」

 現代より、ずっと昔なのに。魔力を使う技術だけなら。今より、遥かに進んでいる。



【皐月(さつき)視点】

「……美月」

 また、反応がなくなった。

「慣れたくねぇな、これ」

 美月は、目を閉じたまま神性領域へ繋がっている。俺には、何を見ているのか分からない。ただ。神性領域の魔力が、少しずつ動いている。

「今度は」

「何を見つけた?」



【美月視点】

 さらに遠くへ、意識が広がる。別の大陸。そこにも都市。また別の場所にも、同じような施設。世界中が、光の線で繋がっている。

「これ……」

「一つの都市だけじゃない」

 世界規模。地球全体で、魔力を循環させている。まるで。地球そのものが一つの巨大な魔法装置みたいだった。


 その中に。どこか、見覚えのあるような形があった。海に囲まれた巨大な都市。別の場所には、海の向こうに広がる大きな文明。

「……まさか」

 子供の頃に聞いたことがある。消えた大陸。伝説の文明。

「アトランティス?」

 そして。

「ムー……?」

 もちろん。今見えている場所が、本当にその名前だったのかは分からない。でも。こんな文明が本当に存在して。その記憶だけが何千年、何万年と残って。形を変えながら伝説になったのだとしたら。

「……本当にあったんだ」


 でも。景色が少しずつ変わっていく。最初は、都市を動かすだけだった。魔力。次は、農地。そこまでは分かる。でも。次は。雨。風。気温。

「……え?」

 人間たちが、空を操作している。雨を降らせる。嵐を弱める。気温を変える。

「そんなことまで……」


 さらに。海。巨大な装置が、潮の流れへ干渉する。大地。地中を流れる魔力へ、直接触れている。植物。生き物。生命そのものへ、魔力を送り込んでいる。

「待って」

 最初は。地球の力を利用していただけだった。地球から借りて。使って。戻していた。でも。いつの間にか違っている。人間が。地球の循環そのものを。変え始めている。


『……』

 また、あの気配。

「あなたも……見てたの?」

 返事はない。ただ。古代の神が、遠くから人間たちを見ていた。前に見た。あの優しい笑顔は、もうない。怒っているようにも見えない。もっと。心配するような。何か悪いことが起きるのを知っているような顔だった。


「これ……」

 私は、やっと気づいた。すごい文明だった。夢みたいな技術だった。人間の暮らしを、豊かにした力。地球から魔力を奪うだけじゃなく。ちゃんと戻して。循環させていた。でも。発達しすぎた。大地。海。気候。魔力。生命。人間は、ついに。世界そのものへ、手を伸ばし始めた。


 その瞬間。地球を巡っていた、巨大な魔力の光が。一か所だけ。不自然に揺れた。

「……何?」

 ほんの小さな乱れ。一瞬だけ。光が震えただけ。なのに。なぜか。ものすごく嫌な予感がした。私だけじゃない。古代地球神も。その場所を、じっと見ている。さっきまで人間たちを見ていた、その顔で。今度は、たった一か所の乱れを見ていた。まるで。これから何が起きるのか。すでに分かっているかのように。

本編をお読みいただきありがとうございました!


一気読みしてくださっている方も、毎日追ってくださっている方も、本当にありがとうございます!

第一章も楽しんでいただけていたら嬉しいです!


面白い、続きが気になる!と思ってくださったら、ページ下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援していただけると、第三部を最後まで駆け抜ける凄まじいエネルギーになります!


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――次回予告――

古代文明が目指したのは、支配ではなかった。


飢えをなくすため。

災害を減らすため。

人々の暮らしを、もっと良くするため。


けれど世界へ手を伸ばしすぎた結果、

地球そのものの循環が壊れ始める。


そして古代地球神は――

星を、人を、未来を守るための“選択”を迫られる。


次回

『72. 世界を良くしたかっただけなのに、地球が壊れ始めた』


次回【夕方18:00】更新です!

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