64. 最上位命令。その下に、答えが表示されようとしていた
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【美月視点】
倒しても。また出てくる。壊しても。また作られる。
「……本当に終わらない」
「ああ」
おじいちゃん――。師匠が、星守をまた一体吹き飛ばす。その隙に、私は管理領域の奥を見る。
「本体……」
こいつらを作っているもの。もっと奥。そこへ行かなきゃ。星守を何体倒しても意味がない。壊しても戻るなら、作っている方を止めるしかない。
「美月!」
「分かってる!」
星守の攻撃を避ける。
「右!」
「はい!」
走る。師匠が、前を開ける。
「今だ!」
私は一気に奥へ向かった。
【皐月視点】
「美月!」
あいつ。本当に行きやがった。
「無茶すんな!」
「行けって言ったの師匠でしょ!」
「本体を止めろとは言った!」
「じゃあ同じ!」
「違ぇよ!」
追いたい。今すぐ首根っこを掴んで戻したい。だが、星守が邪魔をする。
「くそっ!」
一体、弾く。二体目、壊す。すぐ、また再生が始まる。
「美月!」
「大丈夫!」
本当かよ。そう思いながらも、俺は前の星守を殴り飛ばす。今は信じるしかない。黒瀬蓮として教えてきたことを。そして、美月自身を。
【美月視点】
管理領域の中心。巨大な光の輪。何本もの光の流れ。全部が、星継ぎ核へ続いている。
「……これ?」
これが本体なのか。星守を作り、動かし、壊れれば戻すもの。サクラ様を星継ぎとして維持し続けているもの。近づく。その瞬間。
「っ!」
胸の奥が、強く震えた。
「何……?」
次の瞬間、目の前に文字が浮かぶ。
《接続可能個体を確認》
「私?」
《深層適性者》
《接続適合》
「……やっぱり」
管理機構は、私を深層適性者として認識している。接続。ずっと考えていた言葉。普通なら繋がれないものと繋がることができる性質。迷宮核。地球。そして、もしかしたら。この管理機構にも。
「美月!」
師匠の声。
「それ以上近づくな!」
「でも!」
「何が起きるか分からねぇ!」
「分かってる!」
「なら戻れ!」
「嫌!」
私は、巨大な機構を見る。怖い。正直、めちゃくちゃ怖い。でも、これを止めないと、ずっと終わらない。星守は作られ続ける。サクラ様は、星継ぎとして維持され続ける。
「これ止めないと」
「ずっと終わらない!」
「だからって!」
「私にしか」
一瞬、言葉が止まった。いや、違う。
「私たちにしか」
師匠も、深層適性者。でも今は、師匠が星守を押さえてくれている。だから。
「今できるの」
「私しかいない!」
私は、手を伸ばす。
「美月!」
光に、指が触れた。
「――っ!」
何かが、入ってきた。いや。違う。私が、入っていく。
「何……これ……」
目の前が、真っ白になる。
【皐月視点】
「美月!」
突然、美月の身体が止まった。立ったまま、動かない。
「おい!」
駆け寄ろうとする。だが、星守。
「邪魔だ!」
吹き飛ばす。美月を見る。
「聞こえるか!」
返事がない。
「美月!」
くそ。だから止めたんだ。そう思っても、もう遅い。今は、俺がこいつらを止めるしかない。
【美月視点】
声が、遠くなった。師匠の声。戦う音。全部、消えていく。気づくと、私は知らない場所に立っていた。
「……どこ?」
身体があるのかも、分からない。上下も、前後もない。ただ、大量の光。そして、数え切れないほどの文字。
《地球》《生命》《循環》《星継ぎ》《維持》《接続》《保全》
次々と、流れていく。
「……管理機構の中?」
答えはない。でも、感じる。これは、機械の中に入ったんじゃない。もっと直接的な感覚。魂が、何かに触れている。
「これが……」
「深層適性?」
何かと、直接繋がる。その意味を、初めて自分の身体で理解した。深層適性者。ダンジョンに好かれる人。異常に巻き込まれやすい人。そう説明されてきた。でも本当は、それだけじゃない。普通なら繋がれないものに、魂で触れてしまう性質。それが、深層適性なのかもしれない。
《外部接続を確認》
「……!」
《接続個体》
《朝倉美月》
「名前……」
《深層適性者》
《管理領域への接続を確認》
「やっぱり」
私は、管理機構そのものに繋がったんだ。
その瞬間。目の前に、巨大な文字が浮かんだ。
《最上位命令》
「……最上位?」
その下。何かが、表示されようとしている。これが、この管理機構を動かしている一番上の命令。星守を作り続ける理由。星継ぎを正常と判断する理由。サクラ様を、眠らせ続けている理由。
「これが・・・」
「この管理機構が、サクラ様を眠らせてる理由……?」
私は、一歩、その文字へ近づいた。外では、まだ師匠が戦っている。星守を抑えてくれている。なら。私が、ここで答えを見つける。今度は、守られるだけじゃなく。私が、サクラ様を助ける番だった。
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――次回予告――
《最上位命令――地球を守れ》
《星継ぎを維持せよ》は、目的ではなかった。
それはただ、地球を守るための“手段”にすぎない。
なら――今の地球が、もうサクラなしでも生きられるのだとしたら。
美月は初めて、
《星継ぎ》を終わらせるための道を見つける。
次回
『65. 最上位命令は、「星継ぎを守れ」ではなく「地球を守れ」だった』
次回【朝06:00/夕方18:00】更新です!




