63. 許してないのに、また「師匠」って呼んでしまった
いつも応援ありがとうございます!
当作品は、【毎日 朝06:00 / 夕方18:00】の1日2回、定時更新でお届けしております。
今回もぜひ、最後までお楽しみください!
【美月視点】
星守が、また増えた。
「……まだ出るの?」
「ああ」
「何体いるの?」
「数えるな」
「そればっかり!」
前。右。左。さらに奥。白銀の星守たちが、次々と形を作っていく。師匠――。いや。おじいちゃんは、一人でそれを相手にしていた。
【皐月視点】
面倒だ。美月を守りながら、こいつらを全部抑える。できなくはない。だが、押し切れない。壊しても、また戻る。しかも、数が増えている。
「美月!」
「何!」
「もっと下がれ!」
「嫌!」
「は?」
【美月視点】
私は、剣を握って前へ出た。
「戻れ!」
「嫌!」
「今のお前じゃ危ねぇ!」
「分かってる!」
「じゃあ下がれ!」
「でも」
私は、星守を見る。怖い。勝てないのも分かっている。でも。
「守られてるだけは嫌!」
「美月」
「私だってハンターだから!」
「意地張ってる場合じゃねぇ!」
「意地じゃない!」
それに。私は、この人から、ずっと教わってきた。
「師匠に教わったんだから」
おじいちゃんを見る。
「少しくらい使わせて」
「……」
ほんの一瞬。おじいちゃんが黙った。
「……分かった」
「え?」
「合わせろ」
「……うん」
「無茶すんなよ」
「それはお互いでしょ」
「お前と一緒にすんな」
「そういうとこ嫌い!」
「今言うか?」
まだ腹は立っている。許したわけでもない。でも。今だけは。戦うために、この人の声を聞く。そう決めた。
星守が来る。
「美月、左のやつ引け!」
「了解!」
私は走る。星守が、こっちを見る。
「ほら!」
剣で、結晶部分を叩く。傷は浅い。でも、こっちを向いた。それでいい。私が倒す必要はない。一瞬だけ、向きを変えさせればいい。
「師匠!」
「見えてる!」
次の瞬間、皐月が横から入る。一撃。星守の胴体が砕ける。
「次!」
「早い!」
でも、動けた。今の私は、ただ守られていただけじゃなかった。
別の星守。おじいちゃんが拳を叩き込む。でも、倒さない。体勢だけを崩す。
「美月!」
「分かってる!」
私は、開いた結晶部分へ剣を振り下ろす。ガキンッ!
「っ!」
硬い。手が痺れる。それでも、結晶にひびが入る。
「よし!」
「褒めないで!」
「今それ言う!?」
直後。皐月が、そこへ一撃。ひびの入った結晶が砕ける。星守が崩れ落ちた。
「……できた」
「だから言ったろ」
「何を?」
「役に立てる」
「言ってない!」
「今言った」
「ずるい!」
でも、嬉しかった。私だけじゃ、倒せない。おじいちゃんだけなら、もっと楽に戦えるのかもしれない。それでも。今は、私にも役割がある。守られているだけじゃない。そう思えた。
星守が、同時に二体。
「右!」
「分かってる!」
避ける。
「次、前!」
「命令しないで!」
「合わせてんだよ!」
「それが腹立つの!」
前へ。斬る。皐月が、その隙にもう一体を吹き飛ばす。
「後ろ!」
「はいはい!」
「返事が軽い!」
「うるさい!」
【皐月視点】
噛み合ってる。腹立つくらい。美月の動きが、俺の指示に完全に合う。今まで、黒瀬蓮として教えてきた。その全部が、ちゃんと残ってる。
「美月!」
「何!」
「次、三歩下がれ!」
「分かった!」
下がる。俺が前へ。星守の攻撃を受け流す。
「今!」
「はい!」
美月が、結晶へ一撃。ひび。
「よし!」
「だから褒めないで!」
「面倒くせぇ!」
【美月視点】
変な感じ。おじいちゃんなのに。戦っている時だけ、やっぱり師匠に見える。いや。違う。師匠も。おじいちゃんも。同じ人なんだ。まだ、全然納得していない。許したわけでもない。零のことだって、思い出すだけで最悪だ。でも。もう、完全に別人だとは思えない。それがまた、腹立たしかった。
また一体、崩れる。
「やった!」
「油断すんな!」
「分かってる!」
でも、次の瞬間。床が光る。
「……」
「また?」
「ああ」
壊れた星守。再形成。さらに奥から、別の個体。
「……終わらない」
「そうだな」
私は、周囲を見る。倒して。壊して。また出てくる。いくら連携しても、これじゃずっと同じだった。
「師匠」
「何だ」
「……あ」
一瞬、口が止まった。
「今」
「師匠って言ったな」
「うるさい!」
「はいはい」
「それより!」
私は、管理領域の奥を見る。
「これ」
「星守を倒してても終わらないよね」
「ああ」
おじいちゃんも、同じ場所を見る。
「やっぱり」
「本体へ行くしかねぇ」
「本体」
「ああ」
「こいつらを」
皐月が、次々と再形成される星守を見る。
「作ってる方だ」
私は、剣を握り直した。
「じゃあ」
「そこまで行こう」
「簡単に言うな」
「一人じゃないでしょ」
「……」
今度は、皐月が少しだけ黙った。そして。少しだけ笑った。
「ああ」
「今はな」
星守の向こう。管理領域のさらに奥。次に狙う場所は、決まった。
本編をお読みいただきありがとうございました!
一気読みしてくださっている方も、毎日追ってくださっている方も、本当にありがとうございます!
第一章も楽しんでいただけていたら嬉しいです!
面白い、続きが気になる!と思ってくださったら、ページ下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援していただけると、第三部を最後まで駆け抜ける凄まじいエネルギーになります!
(星は1つからでも、ポチッと気軽に押していただけると大喜びします!)
――次回予告――
無限に生み出される《星守》を止めるため、
美月はついに《星継ぎ管理機構》そのものへ接続する。
そこで見つけたのは、
すべての処理より上に置かれた――《最上位命令》。
星守を生み続ける理由。
サクラを《正常》と判定し、眠らせ続ける理由。
その答えが、今まさに表示されようとしていた。
次回
『64. 最上位命令。その下に、答えが表示されようとしていた』
次回【朝06:00/夕方18:00】更新です!




