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世界を救った少女が眠り続けているので、大悪魔の俺が今度こそ救うことにした  作者: 和伊 和威
第一章 眠り続ける星継ぎと、目覚め始めた地球の神
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06. 祖父の言葉は届かない。だから俺は黒瀬蓮として孫娘を守る

いつも応援ありがとうございます!


当作品は、【毎日 朝06:00 / 夕方18:00】の1日2回、定時更新でお届けしております。


今回もぜひ、最後までお楽しみください!

【皐月(さつき)視点】

「美月(みづき)がハンターになったって、どういうことだ」

 娘に聞くと、呆れたような顔をされた。

「そのままの意味だけど?」

「聞いてないぞ」

「美月、お父さんには言いたくないって言ってたから」

「…………」

 そうなんだな。分かっていたつもりだった。美月が俺を避けていることくらい。俺の顔を見るたびに、少しだけ表情を硬くすることくらい。それでも、こうしてはっきり言われると、さすがにくる。俺は祖父だ。だが、美月にとっては、相談する相手ですらないらしい。


「なんで止めなかった」

「止める理由ある?」

「危ないだろ」

「ハンターなんだから当たり前でしょ」

「そういう話じゃない」

 娘は小さく息を吐いた。

「美月はもう子どもじゃないよ。自分で決めて、講習も受けて、登録したの」

「だからって」

「お母さんに憧れてたの。ずっと」

 その言葉に、俺は口を閉じた。お母さん。娘にとっての母。俺にとっての美桜(みお)。美月にとっての祖母。美桜に憧れてハンターになる。それ自体は、責められることじゃない。だが、それでも駄目だ。美月は普通の新人じゃない。


 俺は少し迷ってから、娘を見る。本当なら、言いたくはなかった。余計な不安を増やすだけかもしれない。だが、黙っている方がもっと悪い。

「美月は――深層適性者(しんそうてきせいしゃ)だ」

「……え?」

 娘の表情が変わった。

「今日、ステータスを見た。間違いない」

「ちょっと待って。それって……サクラさんと同じ?」

「ああ」

 部屋の空気が、一気に重くなる。深層適性者。名前だけなら、今では珍しいものではない。研究も進み、ギルドの資料にも載っている。だが、俺たちは知っている。その適性が、どれだけ危険なものなのか。どこまで深い場所へ引き寄せられるのか。そして、サクラが最後にどうなったのかを。


「……ダメ」

 娘が呟いた。

「美月をハンターにさせちゃダメ」

「だろ?」

「すぐ話す」

「待て。頭ごなしに――」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」

 さっきまで俺に反論していた娘が、今度は完全に反対側へ回っていた。無理もない。普通の新人なら、応援できたのだろう。美桜に憧れて、ハンターになる。それは悪いことじゃない。だが、深層適性者となれば話は別だ。サクラを知っている人間なら、なおさら。娘の顔から血の気が引いていた。母親の顔だった。俺は、それ以上強く止められなかった。


 その日のうちに、娘は美月へ話したらしい。当然、美月は納得しなかった。

『なんで急に反対するの!?』

『危ないからよ』

『昨日まで応援してたじゃん!』

 声だけで、美月がどれだけ怒っているか分かった。まあ、そうなる。昨日まで応援されていたものを、急に止められる。それも、登録を済ませた後で。納得しろという方が無理だ。そして。

『……おじいちゃんに何か言われたんでしょ』

 結局、矛先は俺に向いた。ただでさえ嫌われていたのに。余計に嫌われた。

「……俺のせいかよ」

 口ではそう言った。だが、たぶん。俺のせいなんだろうな。


 だが、深層適性者だと分かった以上、放っておくことはできない。俺は知っている。その適性が、どれだけ深い場所へ人を引きずり込むのか。ダンジョンが、どれだけ都合よく獲物を呼び込むのか。サクラは、それで何度も狙われた。傷ついて、眠らされて、最後には星継ぎになった。美桜も言っていた。サクラちゃんのこと、お願いね、と。それなのに、美月まで同じ場所へ引き込まれるなら。俺は、見て見ぬふりなんてできない。嫌われようが。恨まれようが。それだけは、できない。


 だからといって、春日皐月として近づけば、美月はますます意地になる。祖父の言葉は、今のあいつには届かない。むしろ、届く前に弾かれる。なら。別人として近づけばいい。B級ハンター。黒瀬蓮(くろせれん)として。ハンターとしてなら、美月は話を聞くかもしれない。新人としてなら、先輩の忠告を受け入れるかもしれない。俺が祖父だと知らなければ、最初から拒絶されることもない。卑怯だとは思う。美桜が見ていたら、怒るかもしれない。でも、今の俺にできることは、それくらいしかなかった。

本編をお読みいただきありがとうございました!


一気読みしてくださっている方も、毎日追ってくださっている方も、本当にありがとうございます!

第一章も楽しんでいただけていたら嬉しいです!


面白い、続きが気になる!と思ってくださったら、ページ下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援していただけると、第三部を最後まで駆け抜ける凄まじいエネルギーになります!


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――次回予告――


初めての実戦で窮地に陥った美月たちを救ったのは、無愛想なB級ハンター・黒瀬蓮。


圧倒的な強さに、美月は憧れを抱く。

その正体が、自分の嫌う祖父だとも知らずに――。


次回

『07. 嫌いな祖父だと知らないまま、美月は黒瀬蓮に憧れた』


次回【朝06:00/夕方18:00】更新です!

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