59. 目の前にいたのは、師匠じゃなかった
いつも応援ありがとうございます!
当作品は、【毎日 朝06:00 / 夕方18:00】の1日2回、定時更新でお届けしております。
今回もぜひ、最後までお楽しみください!
【美月視点】
巨大な星守が、ゆっくりこちらへ向いた。
「……大きすぎない?」
「今さらだろ」
「今までのと全然違う!」
白銀の巨体。全身に結晶と魔石。植物の根のようなものが、床から身体へ繋がっている。そして、その根を通して、光が流れ続けていた。
「師匠」
「ああ」
「また地球から力もらってる」
「だろうな」
つまり、あれも倒しただけでは終わらない。壊しても、きっとまた戻る。そう思った瞬間、光の文字が浮かんだ。
《保全処理強化》
《重大干渉個体を優先排除》
「重大干渉個体って」
光が、師匠を示した。
「……師匠じゃん」
「余計なこと教えなくていいんだよ」
「だから何者なんですか!」
「後だ!」
巨大な星守が、腕を振り上げる。
「美月!」
師匠に引っ張られる。直後。さっきまで立っていた場所が、吹き飛んだ。
「うわっ!」
床が抉れている。光の床が割れ、白銀の破片が散っていた。今までの星守とは違う。速いだけじゃない。重い。一撃の規模が違う。
「今の当たったら……」
「死ぬな」
「さらっと言わないで!」
でも、否定できなかった。たぶん、本当に死ぬ。
【皐月視点】
厄介だ。さっきまでの星守とは、明らかに違う。出力が高い。しかも、地面と繋がったまま。俺が壊しても、すぐ戻るだろう。問題は、美月だ。
「後ろにいろ」
「分かってる!」
巨大な腕。受け流す。重い。
「っ……!」
完全には流せない。足元が滑る。
「師匠!?」
「平気だ!」
力を上げる。星守の腕を弾く。懐へ。一撃。結晶が砕ける。だが、すぐに床から光が流れ込む。
「……もう直ってる」
美月が呟く。
「ああ」
本当に、面倒だ。
【美月視点】
師匠でも、さっきまでみたいにはいかない。たぶん、あれがすごく強いんだと思う。どれくらいなのかは、私には分からない。でも、師匠の顔が今までより真剣なのは分かる。
「……」
私も、何かできない?そう思った時だった。巨大な星守が、師匠へ向かう。そこへ、別の星守。一体。二体。
「師匠!」
「見えてる!」
三体が同時に攻撃する。師匠が避ける。弾く。壊す。でも、巨大な星守だけは止まらない。
「くそっ」
師匠が、少しずつ、私から離れていく。その時。床が光った。
「……え?」
私の足元。根。白い結晶。気づいた時には、囲まれていた。
地面から、新しい星守が現れる。目の前。近い。
「っ!」
剣を抜く。斬る。やっぱり通らない。
「くっ……!」
星守の腕。避ける。二撃目。間に合わない。
【皐月視点】
「美月!」
まずい。距離がある。黒瀬蓮の身体のまま。今出している力じゃ、間に合わねぇ。
「ちっ!」
さらに力を出す。胸の奥。魂糸が、強く震えた。
「……!」
サクラ。駄目だ。この姿のまま、無理やり出力だけを上げれば、サクラにまで負担が行く。それでも。美月が死ぬよりは――。いや。違う。隠すために、美月を危険に晒す意味なんてねぇ。
「……仕方ねぇな」
【美月視点】
星守の腕が、振り下ろされる。避けられない。
「――っ!」
その瞬間。
「……悪いな、美月」
師匠の声が、すぐ近くで聞こえた。
「え?」
次の瞬間、ものすごい衝撃。星守が、横へ吹き飛んだ。
「……」
助かった。それは分かった。でも。違う。目の前に立っている人の気配が、さっきまでと違う。黒い布もない。声も違う。何より。その横顔を、私は知っていた。
「師匠?」
違う。目の前にいたのは。師匠じゃなかった。
見慣れた顔。何十年経っても、ほとんど歳を取らない。昔から、なんとなく不気味で。ずっと、好きになれなかった人。
「……え?」
その人が、私の前に立っていた。
「怪我は?」
知っている声。でも、今まで聞いていた師匠の声とは違う。黒瀬蓮の声じゃない。なのに。さっきまで私を守っていた師匠と、同じ空気がする。
「……」
「美月?」
私は、目の前の男を見る。春日皐月。私の。おじいちゃん。
「…………は?」
本編をお読みいただきありがとうございました!
一気読みしてくださっている方も、毎日追ってくださっている方も、本当にありがとうございます!
第一章も楽しんでいただけていたら嬉しいです!
面白い、続きが気になる!と思ってくださったら、ページ下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援していただけると、第三部を最後まで駆け抜ける凄まじいエネルギーになります!
(星は1つからでも、ポチッと気軽に押していただけると大喜びします!)
――次回予告――
信じていた師匠は、ずっと嫌っていた祖父だった。
口は悪くても、何度も助けてくれて。
強くて、頼れて、いつの間にか尊敬していた人。
そのすべてが――春日皐月だった。
怒りも、恥ずかしさも、戸惑いも消えない。
それでも美月は初めて、“嫌いなおじいちゃん”の中にいた師匠と向き合い始める。
次回
『60. 嫌いだったおじいちゃんを、私はずっと師匠として尊敬していました』
次回【朝06:00/夕方18:00】更新です!




