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58. 「B級って嘘ですよね?」とうとう美月にバレました

いつも応援ありがとうございます!


当作品は、【毎日 朝06:00 / 夕方18:00】の1日2回、定時更新でお届けしております。


今回もぜひ、最後までお楽しみください!

【美月(みづき)視点】

 星守(ほしもり)が。一体。二体。三体。同時に動く。

「師匠!」

「下がってろ!」

 次の瞬間。師匠の姿が、消えた。

「……え?」

 音だけが、遅れて聞こえる。ドンッ。ガンッ。バキッ。一体目。胸が砕ける。二体目。白銀の腕が折れる。三体目。壁まで吹き飛ぶ。

「……」

 何。今の。私は、瞬きすることも忘れていた。さっきまでの師匠も強かった。でも、今のは違う。強いとか、そういう話じゃない。見えなかった。


 師匠が、また動く。速すぎる。ほとんど見えない。星守が再生を始める。でも、形が戻る前に、師匠がまた破壊する。一体。二体。三体。次々。

「……師匠」

 強い。それは前から知っていた。私よりずっと強い。ダンジョンで助けられた時も。訓練してもらっている時も。この人は普通じゃないと思っていた。でも。これは、今までと違いすぎる。B級。その言葉が、頭の中で急に薄くなっていった。



【皐月(さつき)視点】

 力は、まだ抑えている。これ以上、一気に引き上げるのはまずい。サクラと、魂糸共鳴(こんしきょうめい)で繋がったまま。多少は耐えられるようになったとはいえ、限界が消えたわけじゃない。俺が無理に力を引きずり出せば、糸が震える。糸が震えれば、サクラにも届く。ここでそれは避けたい。

「……このくらいで」

 一体、潰す。もう一体、蹴り飛ばす。再生。

「本当に」

「キリねぇな」

 壊せる。だが、終わらない。それが一番面倒だった。



【美月視点】

 師匠の戦いを見ているうちに。驚きより、別の感情が出てきた。……違和感。この人。今まで、ずっと手加減してた?私との訓練でも。ダンジョンでも。全部。

「……」

 しかも、師匠はB級ハンター。私は、その肩書きをずっと普通に信じてた。でも、さすがにこれは。


 戦闘が、一瞬止まる。

「……師匠」

「何だ」

「一個聞いていい?」

「今か?」

「今だから」

「何だよ」

「B級って」

 少し間。

「嘘ですよね?」

「……」

「やっぱり!」

「何がやっぱりだ」

「黙ったじゃん!」

「今それどころじゃねぇだろ」

「でも!」

「今まで本気じゃなかったですよね?」

「……まあ」

「やっぱり!」


「どれくらい隠してるんです?」

「それは」

「言えない」

「なんで!」

「事情がある」

「またそれ!」

 怪しい。怪しすぎる。

「師匠」

「何だ」

「何者なんですか?」

「ただのハンターだ」

「もうそれ絶対嘘!」

「失礼だな」

「どこが!」

 その瞬間。空間に、また文字が浮かんだ。

 《対象個体一》

 光が、師匠をなぞる。

 《危険度再評価》

「……」

 《保全処理強化》

 《星継ぎへの重大干渉能力を確認》

「……師匠」

「何だ」

「なんか」

「私より師匠の方が……ヤバいやつ扱いされてません?」

「失礼な機械だな」

「……」



【皐月視点】

 余計な判定しやがって。美月の視線が、完全に疑ってる。

「あとで説明してくださいよ」

「できる範囲でな」

「その言い方がもう怪しい!」

 その時、床が大きく揺れた。

「美月」

「はい」

「下がれ」

「また?」

「今度は本当に下がれ」

 管理領域の奥。大量の光が、一か所へ集まっていく。床。壁。巨大な柱。そこから、結晶、魔石、植物の根、白銀の装甲が組み上がっていく。今までとは、明らかに違う。

「……大きい」

 美月が呟く。人型。でも、さっきまでの星守とは比べものにならない。巨大な、白銀の騎士。全身には結晶と魔石が浮かび、植物の根が絡みついている。そして足元は、管理領域そのものと繋がっていた。


「……師匠」

「ああ」

「あれも倒せる?」

「倒す」

「でも」

 俺は、巨大な星守を見る。

「たぶん……また戻ってくる」

「じゃあどうするの?」

 俺は星守じゃなく、その奥を見る。巨大な管理領域。星守を作り、壊れれば戻し、足りなければ補充するもの。こいつらをいくら壊しても終わらない。なら。

「こいつらじゃねぇ」

「え?」

「止めるなら」

「こいつらを作ってる方だ」

 巨大な星守が、ゆっくりこちらへ向いた。

本編をお読みいただきありがとうございました!


一気読みしてくださっている方も、毎日追ってくださっている方も、本当にありがとうございます!

第一章も楽しんでいただけていたら嬉しいです!


面白い、続きが気になる!と思ってくださったら、ページ下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援していただけると、第三部を最後まで駆け抜ける凄まじいエネルギーになります!


(星は1つからでも、ポチッと気軽に押していただけると大喜びします!)


――次回予告――

美月を救うため、皐月はついに《黒瀬蓮》の姿を捨てる。


その瞬間。

目の前に現れたのは、信じてきた師匠ではなく――ずっと嫌ってきた祖父だった。


黒瀬蓮。

春日皐月。


二つの存在が、一つに重なる。


次回

『59. 目の前にいたのは、師匠じゃなかった』


次回【朝06:00/夕方18:00】更新です!

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