56. 無限に戻る星守と、無限には力を出せない大悪魔
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【美月視点】
星守が。一体。二体。三体。さらに、奥から姿を現す。
「……増えすぎじゃない?」
「数えるな」
「気になるでしょ!」
「今は下がってろ!」
師匠が前へ出る。その瞬間、星守たちの身体が変わった。
「……え?」
白い身体の表面に、何かが浮かび上がる。結晶。魔石。植物の根みたいなもの。それらが、絡み合っていく。やがて星守は、白銀の鎧をまとった騎士のような姿になった。
「さっきより」
「強そう……」
「見た目で判断すんな」
「でも絶対強そう!」
一体が、こっちへ来る。受けようとした。
「受けるな!」
師匠が間に入る。腕を逸らし、そのまま星守の腹へ蹴りを叩き込む。白銀の身体が、大きく吹き飛んだ。
「今のお前じゃ」
「まともに相手すんな」
「……分かった」
悔しい。でも、今の一撃で分かった。私が無理に戦えば、足手まといになる。
【皐月視点】
三体。いや、奥にまだいる。
「面倒だな」
星守が、同時に動く。一体目。拳。受け流す。二体目。横から。避ける。三体目。
「ちっ」
少し、力を出す。拳を、一体の胸へ叩き込む。白銀の装甲が、大きくひび割れる。
「まだか」
もう一発。破砕。星守の身体が、崩れ落ちた。
その瞬間。胸の奥。わずかに、引かれる感覚。
「……」
魂糸共鳴。今も、俺とサクラは繋がっている。昔より、かなりマシにはなった。サクラの身体が壊れるほどではない。だが、完全に無視できるわけじゃない。俺が力を出せば、糸が震える。糸が震えれば、サクラにも届く。
「師匠?」
「何でもねぇ」
これ以上、一気に出すのはやめとくか。
【美月視点】
師匠が、一体を倒した。
「……すご」
でも、止まらない。二体目が来る。師匠が身体を捻る。避ける。腕を掴む。そのまま、地面へ叩きつける。さらに、蹴り。星守が横へ飛んでいく。
「二体目!」
「実況すんな!」
「だって!」
もう一体。後ろから。
「師匠!」
「見えてる!」
振り向かず、避ける。そこから、肘。拳。最後に、強い一撃。星守の身体が崩れた。
「……終わった?」
「まだだ」
「え?」
師匠は、倒れた星守を見ていた。私も見る。白銀の破片。結晶。魔石。植物の根。それらが、ゆっくり、床へ沈んでいく。
「……何?」
次の瞬間、地面が光った。
「師匠」
「ああ」
床から、根のようなものが伸びる。結晶が生まれる。魔石が形成される。そして、白銀の装甲。
「……まさか」
一体。また、立ち上がった。
「復活した!?」
「そうみてぇだな」
「倒したよね!?」
「倒した」
「じゃあなんで!」
「俺が聞きてぇよ」
【皐月視点】
壊した。確実に。でも、戻った。しかも、同じやつかどうかすら分からない。地面から、身体そのものを作り直している。
「……」
さらに、さっき倒した別の個体も再形成される。
「二体目も」
美月が引きつった顔をする。
「これ」
「倒しても意味なくない?」
「ああ」
「最悪じゃん」
「同感だ」
復活した星守が、また向かってくる。
「美月」
「はい」
「前に出るな」
「分かってる!」
一体目。受ける。二体目。避ける。三体目。蹴り飛ばす。倒せる。だが、壊せばまた戻る。そのたびに、俺も力を使う。魂糸共鳴がある以上、無制限に馬鹿みたいな力を出し続けるわけにはいかない。
「……本当に」
俺は、また立ち上がる星守を見る。
「面倒くせぇな、こいつ」
【美月視点】
師匠は、戦えている。私にはほとんど何もできない相手と。でも、師匠が楽勝なのかどうかは分からない。時々、動きを止める。少しだけ、何かを気にしているようにも見える。
「師匠」
「何だ!」
「大丈夫!?」
「平気だ!」
「本当に!?」
「今は自分の心配してろ!」
やっぱり、いつもの師匠だ。でも、本当に平気なのかは分からない。また、一体が壊れる。そして、また地面へ吸い込まれる。少しして、再形成。
「……もう」
「何回目?」
「数えるなって言っただろ」
「でも終わらないよ!」
「ああ」
師匠が、星守じゃなく、床を見る。さらに、その奥。巨大な管理領域を見る。
「こいつら」
「自分で戻ってるんじゃねぇな」
「え?」
「何かから」
「ずっと力をもらってる」
その言葉に、私は周囲へ目を向ける。足元。光。流れ。そして、星守へ。何かが送り込まれている。
「……もしかして」
これ。倒し方そのものが、間違ってる?そんな気がした。
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――次回予告――
何度でも再生する《星守》。
その力の流れを辿った先にあったのは――管理機構ではなく、地球そのものだった。
つまり彼らは、地球から力を供給され続ける防衛機構。
終わらない戦いの中で、皐月はついにもう一段階、隠していた力を解放する。
次回
『57. 星守の力を辿ったら、最後は地球に繋がっていた』
次回【朝06:00/夕方18:00】更新です!




