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54. “サクラ様を守る”と“星継ぎを守る”は、同じ意味じゃなかった

いつも応援ありがとうございます!


当作品は、【毎日 朝06:00 / 夕方18:00】の1日2回、定時更新でお届けしております。


今回もぜひ、最後までお楽しみください!

【美月(みづき)視点】

 《干渉可能性――高》

 光の文字が、静かに浮かんでいる。

「師匠」

「何だ」

「これ、やっぱりまずくないですか?」

「ああ」

 師匠の返事が短い。それだけで、余計にまずい気がした。

 《星継(ほしつ)ぎへの干渉を確認》

 空気が、少しだけ変わった。光の流れが止まったわけではない。でも、さっきまでただ観察されていた感覚が、今は違う。判定された。そう感じた。

「干渉って」

「私たち、何もしてないですよね?」

「入った時点で干渉扱いなんだろ」

「厳しすぎる!」

 本当に、何もしていない。ただ、この場所に入っただけ。でも、この場所にとっては。それだけで十分だったらしい。


 《保全処理開始》

「……保全?」

 私は、その言葉を見つめる。保全。守る。維持する。壊れないようにする。でも、何を。サクラ様を?それとも。星継ぎという仕組みを?

「サクラ様を守るってこと?」

「そうかもしれねぇ」

 師匠が前へ出る。その背中で、私の視界が少し狭くなる。その直後。

 《外部個体を再判定》

 《星継ぎへの影響――許容不可》

「許容不可って……」

 嫌な予感しかしない。許容できない。つまり。私たちは、この場所にいてはいけないものとして扱われている。



【皐月(さつき)視点】

 周囲の光が、一斉に消えた。

「美月」

「はい」

「俺の後ろ」

「分かってます」

 返事は早い。だが、声が少し硬い。無理もない。俺だって、楽しい状況とは思っていない。低い音。ゴォォォン――。巨大な機構の奥。何かが、ゆっくり開く。

「……扉?」

 美月が呟く。

「たぶんな」

 《排除対象を認定》

「ほら来た」

「来なくていいのに!」

 奥の暗闇。その中から、一つ、白い影が現れた。

「……人?」

「違う」

 人の形。でも、人間じゃない。全身を覆う、白い鎧のようなもの。顔には、目も、口もない。ただ、人型だけをしている。

「何あれ」

「知らん」

「師匠でも?」

「初めて見る」

「嫌な答え!」

 その通りだ。俺も、かなり嫌な答えだと思っている。



【美月視点】

 白い人型が、ゆっくり、こっちを見る。目なんてない。顔には何もない。それなのに。見られた。そう感じた。

 《保全個体起動》

「保全個体?」

 師匠が、少しだけ眉をひそめる。

「番人みたいなもんか」

「番人……」

 何を守る番人なのか。サクラ様を守るのか。星継ぎ核を守るのか。それとも。サクラ様を星継ぎのまま維持するための番人なのか。さらに文字。

 《星継ぎ保全》

 《外部干渉排除》

 《処理開始》

「……来る!」


 白い人型が、消えた。

「え?」

 本当に、見えなかった。一瞬前までそこにいたのに。次の瞬間。

「伏せろ!」

 師匠に、思いきり肩を引かれた。頭のすぐ上を、何かが通り過ぎる。

「っ!」

 風だけで、髪が大きく揺れた。もし師匠に引かれていなかったら。たぶん、今の一撃は私に当たっていた。

「見えなかった……」

「無理に見るな!」

 師匠が、前へ出る。その背中を見て、私は剣を握り直した。でも分かる。今の私が前に出ても、足手まといになる。



【皐月視点】

 拳。受け流す。重い。

「……なるほど」

 こいつ、ただの警備用じゃねぇな。速さもある。重さもある。何より、動きに迷いがない。殺意ではない。怒りでもない。ただ、排除するための動き。蹴りを返す。白い人型が、数メートル後ろへ滑る。すぐに、姿勢を戻す。

「硬ぇな」

「師匠!」

「下がってろ!」

 《排除処理継続》

 白い人型が、再び突っ込んでくる。速い。だが、見えないほどじゃない。拳を逸らす。腹へ、一発。叩き込む。大きく、吹き飛ぶ。だが、手応えが浅い。壊した感触がない。厄介だな。俺は小さく舌打ちした。



【美月視点】

「……すご」

 何が起きているのか、ほとんど分からない。白い人型が消えたと思ったら、師匠が動いている。空気が裂けるような音がして、白い影が吹き飛ぶ。目で追おうとしても、途中で見失う。でも。師匠が、あの白いのと戦えている。それだけは分かる。

「師匠!」

「何だ!」

「あれ何なんですか!」

「俺が知るか!」

「名前!」

「ない!」

 その瞬間。白い人型が立ち上がる。また、こちらへ向く。

 《星継ぎ保全個体》

 《識別名称――星守(ほしもり)》

「……星守」

 私が呟く。

「名前あるじゃん!師匠、適当だった!」

「うるせぇ!」


 星守。星継ぎを守る存在。でも、その守り方は。私たちを、排除すること。

 《星継ぎへの干渉を排除》

 《保全処理継続》

 星守が、また動く。師匠が、私の前へ立つ。

「美月」

「はい」

「絶対に前へ出るな」

「分かりました」

 私は、剣を握る。でも、今は。戦うより、見なきゃいけない気がした。この星守が、何を守っているのか。サクラ様を守っているのか。それとも。サクラ様を星継ぎとして閉じ込めている、別の何かを守っているのか。管理領域の奥で。初めて。星継ぎを守る存在が、私たちの前に現れた。

本編をお読みいただきありがとうございました!


一気読みしてくださっている方も、毎日追ってくださっている方も、本当にありがとうございます!

第一章も楽しんでいただけていたら嬉しいです!


面白い、続きが気になる!と思ってくださったら、ページ下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援していただけると、第三部を最後まで駆け抜ける凄まじいエネルギーになります!


(星は1つからでも、ポチッと気軽に押していただけると大喜びします!)


――次回予告――

倒しても、倒しても補充される《星守》。


美月を守りながら戦い続けるには、もう“黒瀬蓮”の力だけでは足りない。

そして皐月は、ついに隠していた力の一端を解放する。


その瞬間。

美月の中で、《B級ハンター》という師匠の肩書きが音を立てて崩れ始める。


次回

『55. B級。その言葉が、急に遠くなった』


次回【朝06:00/夕方18:00】更新です!

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