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47. なら俺が何とかする。師匠は迷わずそう言った

いつも応援ありがとうございます!


当作品は、【毎日 朝06:00 / 夕方18:00】の1日2回、定時更新でお届けしております。


今回もぜひ、最後までお楽しみください!

【皐月(さつき)視点】

 地球には昔。管理者と呼ばれる神がいた可能性がある。そこまで辿り着いてから。一つの疑問が、ずっと頭に残っていた。

「じゃあ」

 俺は眠るサクラを見る。

「なんでサクラだった?」

『深層適性者であったことは、関係している可能性が高いでしょう』

「でも、深層適性者なら他にもいる」

『はい』

「なのに星継(ほしつ)ぎになったのはサクラだけだ」

 何か条件がある。深層適性者なら誰でもいいわけじゃない。だが、その条件が何なのかは、大賢者にも分からない。俺にも分からない。それが、ずっと引っかかっていた。


 俺は継真(けいま)と美月(みづき)にも話した。

「一回、整理するぞ」

「はい」

 美月が珍しく真面目に返事をする。

「核継(かくつ)ぎで確実なのは藤堂(とうどう)」

「深淵王ですね」

「ああ」

「師匠も核継ぎだった可能性がある」

「確定じゃねぇけどな」

「星継ぎがサクラ様」

「ああ」

「神宿(かみやど)りが天宮星乃(あまみやほしの)さん」

「ただし、神宿りだけは何も分からん」

「何も?」

「どういう条件で起きるのかも、なんで星乃だったのかもな」

「じゃあ?」

「いったん置いとく」

「雑!」

「分からねぇもん考え続けても仕方ねぇだろ」

 神宿りについては、今の俺たちには追う材料がない。それでも。核継ぎと星継ぎ、神宿り。これらには明確な共通点がある。

「深層適性者」

 美月が言った。

「ああ」



【美月視点】

「でも」

 私は一つ気になった。

「深層適性者って、どうやって分かるんでしたっけ?」

「ステータスだ」

「最初から出るわけじゃないんですよね?」

「ああ」

 深層適性者。これは、誰かが後からつけた呼び名じゃない。ステータスそのものに表示される。でも、最初から見えるわけじゃない。

「最初は何もない」

「そうだ」

「その次が……」

【■■■■■】

「これ」

「ああ」

「で、さらに進むと」

【深層適性者】

「になる」

 私は少し嫌な気分になった。

「なんで最初から表示しないんですかね」

「知らん」

「でも」

 私は考える。

「深層適性者っていう名前自体は、最初からステータス側にあるってことですよね?」

「そうなる」

「……なんか怖い」

「俺もそう思う」

 深層適性者という存在を。人間が発見するより前から。ステータスは知っていた。



【皐月視点】

「それに」

 俺は言った。

「たぶん、深層適性者になったわけじゃねぇ」

「え?」

 美月が顔を上げる。

「元々持ってる」

 最初は表示されない。次に。【■■■■■】そして……【深層適性者】。新しく生まれた性質なら、もっと別の出方をしてもいい。だがこれは違う。条件を満たすたびに、隠れていたものが表に出てくる。そんな感じに近い。

「解放されてる?」

「そんな感じかもしれねぇな」

 継真も考え込む。

「最初から魂にある性質が、段階的に判明する……」

「その方が自然だろ」

 問題は。

 なぜそんな性質が、人間にあるのか。


「核継ぎの藤堂は迷宮核と繋がった」

「ああ」

「星継ぎのサクラ様は地球と繋がった」

 美月が言う。

「普通の人間でもできるんですか?」

「無理だろうな」

「じゃあ」

「深層適性者だから耐えられた?」

「可能性は高い」

 迷宮核。地球そのもの。どちらも、普通の人間の魂が直接接続して無事で済むような相手じゃない。それでも藤堂は、深淵王になった。サクラは、星継ぎになった。無事とは言えない。だが、接続そのものは成立した。

「つまり」

 継真が言う。

「深層適性者は、通常なら接続できない存在と繋がることができる」

「ああ」

「しかも」

「その接続に魂が耐えられる」

 俺は頷いた。これが、今のところ一番しっくりくる。



【美月視点】

「……器」

 私は呟いた。

「何?」

「古代語にあったじゃないですか」

『器』

 という言葉。

「ああ」

「もしかして」

 口に出すと、急に怖くなる。でも、言わずにはいられなかった。

「深層適性者のことだったりして」

「まだ分からん」

「ですよね」

 分かっている。ただの単語だ。文章として残っていたわけじゃない。でも、気になる。古代文明。管理者。星。器。そして、深層適性者。少しずつ。同じところへ繋がっている気がする。


「じゃあ」

 私は自分のステータスを思い出す。

「私の深層適性が強いっていうのは?」

「正確に測れるわけじゃねぇ」

「じゃあ、なんで?」

「今までのお前見てりゃ分かる」

「え?」

 師匠は指を折るようにして言った。

「本来いない魔物に遭遇する」

「……」

「妙にモンスターが寄ってくる」

「……」

「跳(と)ばし鬼(おに)に狙われる」

「……」

「深い階層へ飛ばされる」

「もういいです!」

 嫌なことばっかり!

「私、ダンジョンに嫌われてません?」

「逆だろ」

「え?」

「好かれすぎてる」

「もっと嫌!」

 師匠が少し笑った。

「普通の深層適性者より、ダンジョン側からの反応が極端だ」

「だから適性も強い?」

「可能性は高い」

 数字で分かるわけじゃない。機械で測れるわけでもない。実際に起きている現象から、そう考えているだけ。


「師匠」

「何だ」

「もし私が」

 少し言いにくかった。何に、とは言えない。迷宮核なのか。地球なのか。それとも、まだ名前も分からない何かなのか。ただ、聞かずにはいられなかった。

「何かに選ばれたらどうする?」

「断れ」

「だから断れるんですか?」

「知らん」

「駄目じゃん!」

「なら俺が何とかする」

「……」

 即答だった。迷うこともなく。考えるふりすらなく。師匠は、そう言った。


「師匠って」

「何だ」

「こういう時だけ頼もしいですよね」

「こういう時だけは余計だ」

「でも」

 私は少し笑った。

「本当に何とかしてくれそう」

「当たり前だ」

 師匠の顔は笑っていなかった。

「サクラと同じことを……もう誰にもさせるつもりはねぇ」

「……」

 その言葉。やっぱり、師匠はサクラ様のことを。ものすごく大切に思っている。そして。私にも、同じ目に遭ってほしくないと思ってくれている。そう考えると。少しだけ、胸の奥が温かくなった。深層適性者。その本当の意味は、まだ完全には分からない。でも、少なくとも。ただダンジョンへ潜るための能力じゃない。もっと古く。もっと大きな何かに。人間の魂を繋ぐための性質。そんな可能性が、少しずつ見え始めていた。

本編をお読みいただきありがとうございました!


一気読みしてくださっている方も、毎日追ってくださっている方も、本当にありがとうございます!

第一章も楽しんでいただけていたら嬉しいです!


面白い、続きが気になる!と思ってくださったら、ページ下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援していただけると、第三部を最後まで駆け抜ける凄まじいエネルギーになります!


(星は1つからでも、ポチッと気軽に押していただけると大喜びします!)


――次回予告――

一度死に、別世界で《ミレイア》として生まれ直した美桜。


記憶を失っても。

名前も、姿も、世界さえ変わっても――。

皐月のもとへ帰りたいという想いだけは、消えていなかった。


そして美月は初めて知る。

自分が嫌っていた祖父が、美桜にとって“世界を越えてでも帰りたかった人”だったことを。


次回

『48. 記憶を失っても、美桜は皐月のもとへ帰ろうとしていた』


次回【朝06:00/夕方18:00】更新です!

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