↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
44/70

44. 古代都市そのものが、巨大な魔力循環装置だったのかもしれない

いつも応援ありがとうございます!


当作品は、【毎日 朝06:00 / 夕方18:00】の1日2回、定時更新でお届けしております。


今回もぜひ、最後までお楽しみください!

【美月(みづき)視点】

「師匠」

「何だ」

「最近、私たち全然ダンジョン行ってなくないですか?」

「……」

「ハンターですよね、私」

「一応な」

「一応って何ですか!」

 最近やっていることといえば。資料を見る。古代遺物を見る。昔の記録を見る。また資料を見る。

「私、考古学者になった覚えないんですけど」

「誰もなれって言ってねぇよ」

「レベルも上がらないし」

「死ぬよりマシだろ」

「それはそうですけど……」

 師匠が呆れたようにため息をつく。

「もう少し我慢しろ」

「もう少し?」

「ああ」

「じゃあ今度ダンジョン行きましょうね」

「分かったから黙れ」

「約束ですよ!」

「はいはい」

 やった。


 今日調べるのは、例の古代遺物だった。古代語じゃない。魔力を流すための加工が施された石材や、装置そのもの。

「これ、前に見たやつですよね?」

「ああ」

 海底遺跡などから、昔から少数だけ発見されているもの。今までは用途が分からなかった。ただの装飾なのか。宗教的な儀式に使ったものなのか。それとも、まったく別の何かなのか。でも。魔力が存在することが分かった現在なら、昔とは違う見方ができる。天羽総帥が資料を見せてくれた。

「研究者が再現実験をしてる」

「動いたんですか?」

「一部だけね」

 完全なものは残っていない。壊れている。欠けている。だから、同じ構造を小さく再現したらしい。


「何が起きたんです?」

「魔力を入れてみた」

「はい」

「蓄えなかった」

「……失敗?」

「違う」

 総帥が首を振った。

「別の場所へ流したんだ」

「流した?」

 思っていた反応と違った。魔力を入れたなら、光るとか。動くとか。何かを撃つとか。そういうものを想像していた。でも、そうじゃない。その装置は魔力を溜めたわけでも、消費したわけでもなく。別の場所へ流したらしい。


 画面に実験映像が流れる。研究者らしき人が、再現装置へ魔力を流した。すると、刻まれた細い溝を通って、淡い光が広がっていく。

「電線みたい」

「近いかもね」

 総帥が頷く。でも、それだけじゃなかった。魔力は一方通行ではない。先へ流れるだけじゃなく、周囲からも少しずつ力を集めている。集めた力を別の場所へ流し。さらに、そこからまた戻している。行って、戻る。集めて、流す。途切れずに回す。

「循環……」

 私は呟いた。古代語にもあった。

『循環』

 ただの単語だと思っていたものが、画面の中で形になっていた。


「これ」

 師匠も画面を見ていた。

「魔力を使う道具じゃねぇな」

「どういうことです?」

「魔力そのものを回してる」

「何のために?」

「そこまでは分からない」

「また……」

 でも、そこで総帥が続けた。

「これと同じ構造が、一つの建物だけじゃなく、遺跡全体に使われていた可能性がある」

「遺跡全体?」

「さらに大きかった可能性もある」

 師匠の顔が少し変わった。

「都市?」

「その可能性も考えられてる」

 私は目を見開いた。古代都市。ただの遺跡ではなく、街そのもの。その全体に魔力を流していた。

「古代都市全体に魔力を流してた?」

「かもしれない」



【皐月(さつき)視点】

 魔力を作る装置じゃない。魔力を溜める装置でもない。循環させる。地球にもともと存在する力を集め。流し。また戻す。

「……なんでそんなことする?」

 俺が聞く。

「一つ仮説がある」

 継真が答えた。

「地球側の魔力循環を補助していたんじゃないかって」

「地球の?」

「あくまで仮説だけどね」

 残っている規模では、地球全体を支えるほどの装置ではないだろう。だが。もし。各地に同じものが存在していたなら?もし、それが一つの都市だけではなく、複数の都市で使われていたなら?

「古代文明は」

 俺は画面を見る。

「地球の魔力を管理してた?」

「少なくとも、利用するだけじゃなく」

 継真が言う。

「循環そのものを意識していた可能性はある」


 俺の頭に、サクラが浮かぶ。透明な結晶の中で眠り続ける少女。今、サクラが星継(ほしつ)ぎとしてやっていること。地球の力を支え。生命と魔力の流れを保ち。循環を安定させる。古代の装置がやっていたことは、それに似ていた。もちろん、同じだとは言えない。規模も違う。仕組みも違う。だが、方向は同じだ。

「やっぱり似てるな」

「星継ぎと?」

「ああ」

 もし、昔の地球に、この循環を補助する仕組みがあったのなら。それを知ることは、サクラを星継ぎから外す手がかりになるかもしれない。



【美月視点】

「でも変じゃないですか?」

「何が」

 師匠がこちらを見る。

「もし昔の人たちが、こんなすごいことできたなら」

 私は画面を指さす。

「なんで全部なくなったんです?」

 師匠と天羽総帥が黙った。それは、私でも分かるくらい自然な疑問だった。だってそうだ。古代都市全体に魔力を流せる技術。地球の魔力循環を補助していたかもしれない仕組み。そんなものがあったなら、どうして今の時代まで残っていないのか。

「文明が滅びた?」

「可能性はある」

「アトランティスみたいに?」

「……」


 でも。高度な魔力文明があった。地球の魔力を循環させる技術もあった。そして。古代語には。『管理者』という言葉が残っている。

「じゃあ」

 私は聞いた。

「古代文明が地球を管理してたんですか?」

「それは違うかもしれねぇ」

 師匠が言った。

「え?」

「装置は、あくまで補助だった可能性がある」

「補助?」

「ああ」

 補助。何かを助けるためのもの。つまり。本体が別にあるかもしれないということ。

「じゃあ」

 私は少し考える。

「本当に地球を管理してたのは……」

 その先を言いかけて、前に見た古代語を思い出した。

『管理者』

「……別にいた?」

 師匠は答えなかった。でも。否定もしなかった。


 帰り。

「師匠」

「何だ」

「明日はダンジョン?」

「違う」

「えー!」

「まだ調べることがある」

「約束したじゃないですか!」

「明日とは言ってねぇ」

「ずるい!」

 師匠が少し笑った。

「近いうちに潜る」

「本当に?」

「ああ」

「深いところ?」

「調子乗るな。まず普通の階層だ」

「でも行くんですよね?」

「そうだな」

「やった!」


 やっぱり。資料を読むのも面白いけど。私はハンターだ。ダンジョンにも潜りたい。レベルも上げたい。強くもなりたい。ただ。今は少しだけ。この古代文明の謎も、続きが気になっていた。地球を循環させる技術。それを使っていた文明。そして。そのさらに上にいたかもしれない。《管理者》。昔の地球には。一体何がいたんだろう。

本編をお読みいただきありがとうございました!


一気読みしてくださっている方も、毎日追ってくださっている方も、本当にありがとうございます!

第一章も楽しんでいただけていたら嬉しいです!


面白い、続きが気になる!と思ってくださったら、ページ下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援していただけると、第三部を最後まで駆け抜ける凄まじいエネルギーになります!


(星は1つからでも、ポチッと気軽に押していただけると大喜びします!)


――次回予告――

美桜が遺した、一通の手紙。

そこに書かれていたのは、美月の知らない祖母の過去だった。


一度、地球で死んだこと。

そして別の世界で――《ミレイア》として生きていたこと。


美月は初めて、祖父だけが知る“もう一人の美桜”に触れる。


次回

『45. おばあちゃんは一度、この地球で死んでいた』


次回【朝06:00/夕方18:00】更新です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。