41. 星継ぎは、古代地球の循環装置の代用品なのかもしれない
いつも応援ありがとうございます!
当作品は、【毎日 朝06:00 / 夕方18:00】の1日2回、定時更新でお届けしております。
今回もぜひ、最後までお楽しみください!
【皐月視点】
アトランティス。ムー。正直、昔なら笑っていたかもしれない。何を馬鹿なことを言っているのかと。だが今は、笑えない。ダンジョンが地球に来るより、はるか昔。その時代の遺物から、魔力反応が出ている。しかも、それは今のダンジョン魔力とは違う。地球の自然魔力に近い。さらに、その出土地は沈んだ文明の伝承と重なり始めている。ここまで来ると、ただの偶然で片づけるには気持ちが悪い。そして。その古代遺物について、さらに面倒な情報が出てきた。
「……人為的?」
「そう」
継真が資料を見せる。
「研究者の見解では、この魔力には一定の配列がある」
「配列?」
「魔力が流れる方向や、蓄積する場所が意図的に作られてるらしい」
俺は画面に映る解析図を見る。遺物の表面に残った溝。その奥にわずかに残った魔力。ただ染みついているだけなら、こんな反応にはならない。流れがある。偏りがある。そして、意味がある。
「つまり」
「誰かが使ってた」
「可能性は高いね」
俺は黙った。ただ魔力があっただけじゃない。使う技術まであった。
「ヴァルメリアの魔法陣に似てる?」
「似てない」
「じゃあ今の地球魔法とも?」
「違う」
「……別物か」
「ああ」
継真は短く頷いた。ヴァルメリアの魔法でもない。ダンジョンから派生した現代地球の魔法でもない。だとすれば。古代地球独自の技術。そう考えるしかない。ますます笑えなくなってきた。星継ぎの答えは、ダンジョンの中だけにあると思っていた。だが、違うのかもしれない。もっと古い。もっと地球そのものに近い場所にあるのかもしれなかった。
【美月視点】
「これが古代の魔法道具?」
画面に映っているのは、石みたいなものだった。正直に言うと、思っていたよりずっと地味だ。もっとこう、光っているとか。謎の宝石が埋まっているとか。見ただけで危なそうな雰囲気があるとか。そういうものを想像していた。
「地味ですね」
「見た目で判断すんな」
「でも石じゃないですか」
「石だな」
「師匠も認めるんじゃないですか!」
思わず文句を言う。ただ。詳しく見ると、少し変だった。表面に細い溝が刻まれている。模様にも見える。でも、ただの飾りにしては、どこか規則的だった。
「これ」
「何だ」
「魔法陣?」
「似てるけど違うらしい」
「じゃあ何ですか?」
「分からん」
「またそれ」
最近、本当にそればかりだ。分からない。可能性がある。まだ断定できない。でも、その溝に沿って魔力が流れていた痕跡があるらしい。今の魔法とは違う。ヴァルメリアの魔法とも違う。なのに。明らかに魔力を制御している。
「じゃあ、本当に昔の地球人が魔法使ってた?」
「可能性は出てきたな」
「すご……」
私は少しワクワクした。
「古代魔法文明、本当にあったんじゃないですか?」
「まだ決まってねぇ」
「でも近づいてきましたよね?」
「まあな」
継真さんが別の画像を表示した。今度は、さっきの小さな石とは違う。もっと大きな遺跡だった。海底で見つかった構造物。崩れている部分も多いけれど、床や柱の一部に、同じような細い溝が残っている。そこにも、魔力の流れを作る加工が確認されたらしい。
「これも同じ?」
「そう」
総帥が頷く。
「何に使ってたんですか?」
「分からない」
「武器?」
「可能性は低い」
「じゃあ?」
「循環装置みたいなものじゃないかって説がある」
「循環?」
「魔力を集めて、流して、戻す」
その言葉に。師匠の表情が変わった。
「……地球の魔力を循環させてた?」
「かもしれない」
総帥が答える。私は師匠を見る。
「何か気になるんですか?」
師匠は少しの間、画面を見つめていた。それから、低い声で言った。
「星継ぎに似てる」
「え?」
「サクラも今、地球の力を循環させてる」
私は息を止めた。古代の装置。今のサクラ様。時代は全然違う。形も違う。片方は海底に沈んだ遺跡。片方は、透明な結晶の中で眠る一人の女の人。なのに。やっていることが似ている?そう考えると、急に胸の奥が重くなった。
【皐月視点】
偶然か。それとも。昔からあった仕組みを。今。サクラが人間の身体で代わりにやっているのか。俺は、画面に映る海底遺跡を見る。魔力を集める。流す。戻す。地球の力を循環させる。それは、星継ぎの役割とあまりにも似ていた。
「もしそうなら」
俺は呟く。
「星継ぎって、新しく生まれた仕組みじゃねぇのかもな」
「昔から?」
美月が聞く。
「ああ」
「じゃあ」
美月は首を傾げた。
「昔は誰がやってたんですか?」
その一言で。部屋が静かになった。
昔は誰がやっていたのか。美月の問いは、あまりにも単純だった。だからこそ、誰もすぐには答えられなかった。
「装置だけでできたのか」
継真が、ゆっくりと言葉にする。
「それとも」
一度、間を置く。
「何か管理する存在がいたのか」
「……管理する存在」
その言葉が引っかかった。地球深部で観測されている。正体不明の神性反応。星継ぎへの依存率が下がり始めた時期と、ほぼ同時に強くなり始めたもの。もし、それが。ただの反応ではなく。かつて地球の循環を管理していた何かだとしたら。古代の魔力文明。星継ぎ。そして、地球深部の神性。全部。同じところに繋がっているのかもしれない。
【美月視点】
「師匠」
「何だ」
「もし昔、本当に地球を管理してた何かがいたとしたら」
「ああ」
「それって」
少し言いにくい。でも、聞かずにはいられなかった。
「神様とか?」
師匠はすぐには答えなかった。いつもなら、馬鹿言うなとか、急にファンタジーになったなとか、そう返してきそうなのに。今回は違った。
「……まだ分からん」
「でも」
「可能性はある」
初めて。師匠が否定しなかった。地球には。昔。神様がいたかもしれない。そんな話なのに。冗談には聞こえなかった。
私は画面に映る古代遺跡を見る。海の底に沈んだ、古い構造物。そこに刻まれた細い溝。今の魔法とも、ヴァルメリアの魔法とも違う魔力の流れ。沈んだ文明。古い魔力。地球を循環させる装置。星継ぎ。そして。地球を管理していたかもしれない、神様のような何か。少しずつ。本当に少しずつ。何かの形が見え始めていた。それは、サクラ様を助けるための答えに近づいているようにも思えた。でも同時に。とても大きなものの眠りに触れようとしているようで。少しだけ、怖かった。
本編をお読みいただきありがとうございました!
一気読みしてくださっている方も、毎日追ってくださっている方も、本当にありがとうございます!
第一章も楽しんでいただけていたら嬉しいです!
面白い、続きが気になる!と思ってくださったら、ページ下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援していただけると、第三部を最後まで駆け抜ける凄まじいエネルギーになります!
(星は1つからでも、ポチッと気軽に押していただけると大喜びします!)
――次回予告――
古代の石板に残されていた、断片的な言葉。
《星》《循環》《生命》《管理者》――。
どれも偶然では済ませられないほど、今のサクラと《星継ぎ》に繋がっていた。
そして《管理者》という言葉は、やがて地球から失われた“神”へと繋がっていく。
次回
『42. 星、循環、生命、管理者。石板の断片はサクラに繋がりすぎていた』
次回【朝06:00/夕方18:00】更新です!




