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35. 星継ぎって何なんだ。サクラを救うための調査は、そこから始まった

いつも応援ありがとうございます!


当作品は、【毎日 朝06:00 / 夕方18:00】の1日2回、定時更新でお届けしております。


今回もぜひ、最後までお楽しみください!

【皐月(さつき)視点】

 女神教の騒ぎが落ち着いて、しばらく経った。過激派は拘束され、穏健派は方針を変えた。サクラを女神として眠らせ続けるのではなく、一人の人間として救う。そう言う奴らも出てきた。美月(みづき)まで、手伝うと言い出した。だが。それでサクラを助ける方法が見つかったわけじゃない。サクラを助ける。そう決めたはいい。問題は。

「……結局、星継(ほしつ)ぎって何なんだ?」

『今さらですね』

「うるせぇ」

 俺は眠るサクラの隣に座っていた。


 地球がサクラへ依存する力は、少しずつ弱くなっている。地球深部では、正体不明の神性反応が強くなっている。そこまでは分かった。でも。

「俺たちは星継ぎのことを、ほとんど知らねぇ」

『その通りです』

「お前も?」

『私は現在の状態を観測できます。しかし、星継ぎという仕組みの起源までは知りません』

「誰が作ったのかも?」

『分かりません』

「なんでサクラが星継ぎになれたのかも?」

『深層適性を持っていたから、ということ以上は』

 俺はサクラを見る。透明な結晶の中で、あいつは何も知らない顔で眠っている。いや。本当に何も知らないのは、俺たちの方かもしれない。


「じゃあ、そこから調べるか」

『星継ぎそのものを?』

「ああ」

 サクラを助ける。そう決めた。だが、気合いだけでどうにかなる話じゃない。星継ぎから解放するなら、まず星継ぎを知らなきゃ始まらない。サクラが何になったのか。どうしてなれたのか。どうすれば外せるのか。その全部が分からないまま、助けるなんて言えない。

「星継ぎは何なのか」

「なんで深層適性者が選ばれるのか」

「地球の奥にある神性反応は何なのか」

 全部。最初から調べる。



【美月視点】

「師匠」

「何だ」

「今日はダンジョンじゃないんですか?」

「ああ」

 連れてこられたのはギルドだった。しかも、いつもの訓練室じゃない。

「ここ何ですか?」

「検査室」

「私、どこか悪いんですか?」

「頭」

「帰りますよ!」

「冗談だ」

「師匠が冗談言うと分かりにくいんですよ!」

 部屋には、見たことのない機械が並んでいた。魔力計測器みたいなもの。ステータスを読み取る端末。透明な板がついた大きな装置。そして、そこに支部長までいる。ただの健康診断ではなさそうだった。


「朝倉(あさくら)美月さん」

「はい」

 支部長が、いつもより少し真面目な顔で言った。

「今日は君の深層適性を詳しく調べたい」

「え?」

 思わず声が出た。前にも、私は深層適性者だと言われた。モンスターや罠、それに迷宮核みたいなものに、妙に好かれる。悪い意味で。そう師匠にも言われた。

「私、深層適性者なんですよね?」

「ああ。ただ――」

 支部長が師匠を見る。

「どの程度なのかを、きちんと調べていなかった」

「程度?」

「深層適性にも個人差がある」

 知らなかった。

「師匠もあるんですか?」

「……まあな」

「えっ!?」


 いくつかの検査を受けた。手を置く。魔力を流す。表示された文字を読む。装置の中に立って、身体の周りを光でなぞられる。正直、何を調べられているのかはよく分からなかった。そして、最後の検査機に手を置く。淡い光が灯った。次の瞬間。表示された数値を見て、支部長の表情が変わった。

「……もう一度」

「え?」

 別の機械でも測る。結果は、ほとんど同じだった。

「壊れてるんですか?」

「機械は正常だ」

「じゃあ何なんです?」

 支部長はしばらく画面を見ていた。

「君の深層適性が、想定していたよりかなり高い」

「かなり?」

「ああ」

「どれくらい?」

「現在の検査基準では、上位に入る」


「へぇ……」

 正直。すごいと言われても、あまり実感がない。テストで上位と言われたなら嬉しいかもしれない。でも深層適性で上位と言われても、喜んでいいのか分からない。

「師匠より?」

「知らん」

「師匠も測ってくださいよ」

「嫌だ」

「なんで!」

 支部長が苦笑する。でも、師匠だけは笑っていなかった。

「美月」

「何ですか?」

「前にも言ったが、深層適性はただの才能じゃねぇ」

「モンスターとか罠に好かれるんですよね?」

「ああ」

 師匠の声は低かった。私は、跳(と)ばし鬼(おに)に飛ばされた時のことを思い出す。浅い階層のはずだった。なのに、気づけば知らない深い場所にいた。あれも、深層適性のせいだったのかもしれない。


 師匠は少し考える。それから、私を見る。

「サクラも、深層適性者だった」

「サクラ様が?」

「そうだ」

「じゃあ私と同じ?」

「……それは分からねぇ」

「分からない?」

「当時は、こんな検査方法なんかなかったからな」

 なるほど。昔は今ほど、深層適性の研究が進んでいなかったらしい。でも。

「星継ぎになったサクラも深層適性者だった」

 師匠が言う。

「そして今」

 支部長が続けた。

「君の適性も、かなり高い」


 私は二人の顔を見る。

「それって……何か関係あるんですか?」

 誰もすぐには答えなかった。その沈黙が、答えみたいだった。関係ある。たぶん。でも、まだ誰にも断言できない。師匠が小さく呟く。

「それを、これから調べるんだよ」

 深層適性。星継ぎ。サクラ様。そして、私。今まで別々だと思っていたものが。少しずつ。繋がり始めている気がした。それが良いことなのか、悪いことなのか。まだ分からない。でも。もう知らないままではいられない気がした。

本編をお読みいただきありがとうございました!


一気読みしてくださっている方も、毎日追ってくださっている方も、本当にありがとうございます!

第一章も楽しんでいただけていたら嬉しいです!


面白い、続きが気になる!と思ってくださったら、ページ下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援していただけると、第三部を最後まで駆け抜ける凄まじいエネルギーになります!


(星は1つからでも、ポチッと気軽に押していただけると大喜びします!)


――次回予告――

《深層適性》は、ただダンジョンに好かれるだけの力ではなかった。


核継ぎ。神宿り。そして星継ぎ。

そのすべてへ繋がる、“何かに選ばれるための入口”。


そして皐月は、美月がサクラと同じ道へ進む前に、その仕組みを突き止めようとする。


次回

『36. 深層適性者は、何かに選ばれるための入口だった』


次回【朝06:00/夕方18:00】更新です!

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