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25. サクラ様を起こすな。その声が、ニュースから現実に変わった

いつも応援ありがとうございます!


当作品は、【毎日 朝06:00 / 夕方18:00】の1日2回、定時更新でお届けしております。


今回もぜひ、最後までお楽しみください!

【皐月(さつき)視点】

 教団との話し合いが終わっても、やることは変わらなかった。サクラを助ける方法を探す。それだけだ。女神サクラ教が認めないと言おうが。警告だと脅してこようが。サクラを永遠に眠らせておく理由にはならない。まずは、地球深部の神性反応。問題は。

「場所が分からねぇんだよな」

『はい』

 星継(ほしつ)ぎの間で、大賢者の返事は相変わらずだった。

『地球深部から発生していることは分かります。しかし、星継ぎ核から正確な位置を特定することはできません』

「なら、こっちから適当に潜るしかないか」

『その方法が現実的でしょう』


 地球深部へ近づく場所。思いつくのは一つしかない。

「ダンジョンの深層……」

『はい』

 地下へ降りているように見えて、ダンジョンが本当に地中へ続いているとは限らない。そもそも迷宮というものは、空間そのものが歪んでいる。何階まで降りたから、地表から何メートル下、なんて単純な話ではない。だが、迷宮の深い場所ほど地球との結びつきが強くなる。昔から、それだけは分かっている。深層。迷宮核。そして、地球そのものへ近づく場所。

「深層を回ってみる」

『注意してください』

「分かってる」

 注意したところで、行くことは変わらない。


 ギルドへ行き、継真(けいま)にも話した。

「深層の記録と、現在入れるダンジョンをまとめるよ」

「頼む」

「零(ゼロ)として動く?」

「ああ。その方が楽だろ」

 春日(かすが)皐月が各地の深層ダンジョンを調べ回れば、余計な注目を集める。何十年も外見が変わらない男。英雄クロと関わりがあると疑われている男。そんな名前で動けば、面倒な噂が増えるだけだ。黒瀬蓮(くろせれん)でも、動きすぎれば美月(みづき)に怪しまれる。その点、零なら都合がいい。黒い仮面のS級ハンター。深層ダンジョンの調査任務。それだけで済む。

「了解。こっちで任務扱いにしておく」


「ただ……」

 継真が端末を見る。

「もう遅いかもしれない」

「何が?」

 画面をこちらへ向けられる。そこにはニュース記事が出ていた。

『女神教、ギルドへ正式要請』

『女神サクラ様の眠りを守るよう求める』

「……早ぇな」

「昨日の今日だよ」

 記事を開く。教団は、星継ぎに関する一切の調査を慎重に行うようギルドへ求めていた。サクラを起こそうとしている。そうは書かれていない。ギルドが危険なことをしている。それも書かれていない。だが、言いたいことは分かる。

「遠回しに邪魔すんなってことか」

「そういうことだね」

「知るか」

「そう言うと思った」



【美月(みづき)視点】

 学校の昼休み。

「美月、これ見た?」

 友達がスマホを見せてきた。

「何?」

「サクラ様のやつ」

 画面には、女神教のニュースが表示されていた。

『女神の眠りを守れ』

 大きな見出し。その下には、ギルドへ正式要請を出したという記事が続いている。私は何気なく画面を覗き込んだ。けれど、すぐに指が止まる。コメント欄が、すごいことになっていた。


『サクラ様を起こすなんてありえない』

『今の世界があるのは女神のおかげ』

『眠りを乱すな』

『ギルドは何をしているんだ』

『世界を危険にさらす気か』

 そんな意見が、いくつも並んでいる。でも。

「……起こすって、誰が言ったの?」

「知らない。なんかギルドが調査してるらしいよ」

「ギルドが?」

 その言葉に、胸が少し跳ねた。私は師匠の言葉を思い出す。

『世界を壊さずに起こす方法があるなら、探すべきだ』

「……もしかして」

「何?」

「ううん」

 なんとなく。師匠が関わっている気がした。


 でも、それより気になったのはコメントだった。

『女神は永遠に眠ることを望んでいる』

「……だから」

 誰が聞いたのよ。サクラ様本人に。私は画面をスクロールする。すると一つだけ、違う意見が目に入った。

『もし世界を守ったまま目覚めさせられる方法があるなら、なぜ探してはいけないのでしょうか』

 そのコメントには、大量の批判がついていた。

『冒涜だ』

『信仰心がない』

『サクラ様の御意思を否定するな』

「……」

 なんか嫌だ。私は思った。サクラ様を大切にしているはずなのに。誰も。サクラ様自身がどうしたいかを考えていない。


 その日の放課後。ギルドへ向かうと、入口の前に大勢の人が集まっていた。白い服。胸元の桜の紋章。すぐに分かった。女神教だ。

『女神の眠りを守れ』

 そんな横断幕まである。

「……うわ」

 思わず声が出た。昼休みに見たコメント欄が、そのまま現実に出てきたみたいだった。ギルドの職員らしき人たちが、入口付近で対応している。通行人も足を止めて、スマホを向けていた。ざわざわした空気が、肌にまとわりつく。


 そして。その向こう側に。腕を組んで、面倒くさそうに立っている師匠が見えた。

「師匠!」

 私が呼ぶと、師匠はこちらを見た。

「……来たか」

「何ですかこれ?」

「見りゃ分かるだろ」

「分かるけど!」

 分かる。女神サクラ教がギルドに押しかけている。ニュースで見たことが、現実になっている。でも。どうして師匠が、その真ん中にいるのよ。昼休みに思ったことが、もう一度頭に浮かぶ。もしかして、師匠が関わっている。サクラ様を起こす方法を探すことに。女神教が止めようとしていることに。そして、今起きているこの騒ぎに。嫌な予感しかしなかった。

本編をお読みいただきありがとうございました!


一気読みしてくださっている方も、毎日追ってくださっている方も、本当にありがとうございます!

第一章も楽しんでいただけていたら嬉しいです!


面白い、続きが気になる!と思ってくださったら、ページ下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援していただけると、第三部を最後まで駆け抜ける凄まじいエネルギーになります!


(星は1つからでも、ポチッと気軽に押していただけると大喜びします!)


――次回予告――

サクラを起こせば、世界が壊れるかもしれない。

その怖さを知っても、美月の疑問は消えなかった。


――世界を守ったまま救える方法を、探すことまで駄目なの?


そして、星継ぎの真実を聞こうとする美月を、女神教の視線が追い始める。


次回

『26. サクラ様を起こすのは怖い。でも、探すことまで駄目なの?』


次回【朝06:00/夕方18:00】更新です!

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