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世界を救った少女が眠り続けているので、大悪魔の俺が今度こそ救うことにした  作者: 和伊 和威
第一章 眠り続ける星継ぎと、目覚め始めた地球の神
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18/68

18. 地球の奥にいる何かは、サクラと同じ役割を持っていた

いつも応援ありがとうございます!


当作品は、【毎日 朝06:00 / 夕方18:00】の1日2回、定時更新でお届けしております。


今回もぜひ、最後までお楽しみください!

【皐月(さつき)視点】

「昔にも、同じ反応はなかったのか?」

『分かりません』

「分からない?」

『はい。以前は、迷宮核から明確に識別できるほどの反応ではありませんでした』

「……最近になって強くなったってことか」

『そう考えられます』

 大賢者は迷宮核の中にいる。外へ出ることはできない。当然、どこかへ行って調べることもできない。こいつにできるのは、ここから地球の状態を観測することだけだ。それでも、今はその観測だけが頼りだった。

「じゃあ、今分かることだけでいい。もう少し詳しく見られないか?」

『試みます』


 しばらく、大賢者の声が途絶えた。星継(ほしつ)ぎの間が、急に静かになる。サクラは眠ったままだ。透明な結晶の中で、あの日と変わらない姿のまま。俺はそのそばで待った。期待するな。何度も自分に言い聞かせる。期待して、駄目だった時の方がきつい。だが、それでも期待してしまう。地球深部の神性反応。星継ぎへの依存率低下。それが偶然じゃないなら、そこにサクラを起こす手がかりがあるかもしれない。逆に、サクラを脅かす何かかもしれない。何も分からないまま待つ時間は、妙に長く感じた。


 やがて。

『……奇妙です』

「何が?」

『この反応は、地球の外部から入り込んだものではないようです』

「ヴァルメリアから来たものじゃない?」

『はい』

「迷宮核でもない」

『はい』

「サクラでもない」

『その通りです』

 俺は眉をひそめた。ヴァルメリア由来ではない。迷宮核でもない。星継ぎになったサクラの反応でもない。なら、残るものは限られてくる。

「じゃあ……地球そのものから出てるってことか?」

『その表現が最も近いでしょう』


「地球そのもの……」

 ますます意味が分からない。地球に神はいない。少なくとも、俺たちはそう認識していた。ヴァルメリアには女神がいる。世界を見下ろし、盤面を眺める、あの白い女神が。だが、地球にはいない。だからサクラが星継ぎになった。地球に星を支える存在がいなかったから。そう思っていた。なのに。地球そのものから、神性反応が出ている。ずっと眠っていたのか。ダンジョンに削られたことで目を覚ましたのか。それとも、サクラが星継ぎになったことで何かが動き始めたのか。どれも、今は分からない。


 だが、大賢者はさらに続けた。

『そして、この反応には一つ特徴があります』

「特徴?」

『星継ぎが担っているものと、非常によく似ています』

「……何?」

『生命、魔力、大地。その循環を安定させる性質です』

 俺は眠るサクラを見た。それは。今まさに、サクラがやっていることだ。星の生命循環を支え、魔力の流れを整え、大地の崩壊を防ぐ。世界がもう一度呼吸できるように、何十年も眠り続けてきた。

「つまり、地球を維持する力?」

『はい』

「それが地球の奥から出てる?」

『微弱ですが』

 微弱。その言葉で、浮かびかけた期待を少し抑える。まだ足りない。まだ、サクラを解放できるほどではない。だが、何もないわけでもない。


 そこで一つの考えが浮かんだ。

「……もしかして」

『はい』

「昔から地球には、そういう役割をする何かがあったんじゃねぇのか?」

 大賢者はすぐには答えなかった。

『可能性はあります』

「地球を管理する何か」

『ただし、現時点ではそれが生物なのか、意思を持つ存在なのか、それすら分かりません』

「神性反応って言ったよな」

『はい』

「だったら……神みたいなものか?」

『それも仮説の一つにすぎません』

 神。管理者。星の核。あるいは、ただの自然現象。どれでもあり得る。どれであっても、面倒なことに変わりはなかった。


 地球には神はいない。ずっとそう思っていた。ヴァルメリアには、女神ヴァルメリアがいる。あいつは世界を救う神ではなかった。ただ観測し、興味を持った時だけ盤面に触れる、最悪の観客だった。それでも、存在はしていた。だが地球にはいない。星を支える者がいない。だからサクラが星継ぎになった。そう思っていた。なのに。地球の奥には、サクラと似た役割を持つ神性がある。

「……何なんだよ、地球の奥にいるのは」

 もし昔からいたなら、なぜ今まで動かなかった。なぜサクラが眠る必要があった。そんな苛立ちが喉元まで上がった。だが、ぶつける相手はいない。もちろん答えも返ってこなかった。


『観測を続けます』

「ああ」

『変化があれば、すぐに伝えます』

「頼む」

 俺はサクラの手を握った。温かい。何十年経っても、ここだけは変わらない。地球がサクラを必要とする力は、少しずつ弱くなっている。その一方で。地球の奥にある何かが、少しずつ強くなっている。偶然とは思えなかった。それがサクラを解放する鍵なのか。それとも、また別の厄介事なのか。今はまだ分からない。だが、分からないままにはしておけない。サクラを起こすためにも。この星が何を隠しているのか、確かめる必要があった。

本編をお読みいただきありがとうございました!


一気読みしてくださっている方も、毎日追ってくださっている方も、本当にありがとうございます!

第一章も楽しんでいただけていたら嬉しいです!


面白い、続きが気になる!と思ってくださったら、ページ下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援していただけると、第三部を最後まで駆け抜ける凄まじいエネルギーになります!


(星は1つからでも、ポチッと気軽に押していただけると大喜びします!)


――次回予告――

地球深部の神性反応は強まり、サクラへの依存は少しずつ弱くなっていく。


何十年も待ち続けた先に、ようやく見え始めた希望。

世界を救った少女を――今度は皐月が救う番だ。


次回

『19. 世界を救った少女を、今度は俺が救う番だ』


次回【朝06:00/夕方18:00】更新です!

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