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月曜日
ピピピピ――。……カチ。
目覚ましが鳴るより早く起きたのは久しぶりだ。
いつもはバスに乗る道を、歩いて駅へ向かった。
なんとなく、歩きたい気分だった。
なんだか昨日は不思議なものを見た。
あの人が倒れて、女の子が支えきれずにしゃがみ込んで……。
大切そうにあの人を撫でる女の子と、穏やかな顔で眠るあの人。
絵画か何かみたいに思えて、呆けたように眺めていた。
そしたら強面のおっさんが凄い勢いでやってきて……女の子とあの人を担いで走り去っていった。
大騒ぎになりそうなところだけど、舞い上がった葉の最後の一枚が落ちるまで、動く気になれなかった。
誰も――。
「んーーー!!」
昨日の広場、あの街路樹の前で、大きく伸びをした。
胸いっぱいに入る朝の空気が気持ち良かった。
あんな事があったのに、不思議とよく眠れた。
久しぶりの早起きも、気分がいい。
このまま電車にのれば、どこへだっていける。
……そんな事はしないけど。
だけど――。
ラジオ体操はサボって、カフェでモーニングしちゃお。
いつもなら憂鬱な月曜日。
それがほんの少し、色づいた気がした。




