リリア・ヴァイス
リリア・ヴァイスが俺の生活に入り込んできたのは、ある夜のことだった。
彼女は、この要塞ではちょっとした有名人だった。金色の髪を左右で結び、いつもきちんと化粧をしている。戦闘員の服を着ていても、彼女の周りだけは酒場の照明が少し明るくなったように見えた。
年齢は十九歳。戦闘員という肩書きはあるが、所属部隊はなく、出動実績もない。要塞の人間が戦闘員か整備士のどちらかに振り分けられる以上、書類上の肩書きだけなら、彼女も戦闘員なのだろう。だが、彼女の名前が出撃表に載ったのを見たことはなかった。
それなのに、彼女は酒や煙草をよく買った。報酬の配給日には高い酒を開け、気に入った服や化粧品を手に入れていた。どこから金が出ているのか、誰もが知っていて、誰も正面からは尋ねなかった。
エースパイロット専用ラウンジでも、彼女はよく見かけた。いつも違う男の隣に座っている。男たちは彼女に酒を注ぎ、食事を取り分け、機嫌をうかがっていた。運営側の人間にも顧客がいるらしい。公認なのか、見て見ぬふりをされているだけなのかは分からない。ただ、彼女が戦闘に出ずに済んでいるのは、その関係と無縁ではないだろう。
彼女が俺に付きまとい始めた原因は、端的に言えば、俺が一度助けたからだった。
その夜、俺は酒場の隅で一人、薄い酒を飲んでいた。出撃の翌日で、肩と腰に鈍い痛みが残っていた。酒で痛みが消えるわけではないが、気にしない時間は作れる。
少し離れた席で、リリアが男三人に囲まれていた。
男たちは全員、酒に酔っていた。彼女に貢いでいる連中だと、近くの席の会話から分かった。彼らは彼女に酒や服を買い、報酬のかなりの部分を渡しているらしい。いずれも自分だけは特別だと思っている。金を使った分だけ、彼女の気持ちも自分に向くはずだと信じているのだろう。
「俺が何を買ってやったと思ってるんだ」
一人が、空になったグラスをテーブルに叩きつけた。
リリアは笑顔を崩さなかった。
「覚えてるよ。ありがと」
「だったら、あいつと寝るなよ。俺がいるだろ」
「それは別の話じゃない?」
「何が別なんだよ。俺はこんなに金を使ってるんだぞ」
「使ってって頼んだ?」
彼女の声は明るかった。酔った男を挑発するほど強くはない。けれど、相手の期待に合わせる気もない。笑って、受け流して、踏み込ませない。そのやり方を何度も繰り返してきたのだろう。
別の男が、低い声で言った。
「俺のことはどうなんだ。あいつと寝ないでくれって、前にも言ったよな」
「聞いたよ」
「聞いたなら、やめろよ」
「聞いたのと、言うことをきくのは違うでしょ」
男たちの顔が、それぞれ違う形に歪んだ。怒りというより、自分の思い描いた関係を否定されたことへの屈辱に見えた。金を渡した。物を買った。優しくされた。だから自分は特別だ。彼らは、その思い込みを手放せずにいた。
俺は酒を口に運び、グラスを置いた。
関わる気はなかった。彼女も、こういう場を切り抜ける手段を持っているように見えた。酒場のアンドロイド店員も、少し離れた場所から様子を見ている。必要なら運営に連絡するのだろう。
だが、一人が椅子を蹴って立ち上がった。
「ふざけるなよ」
男の手に、ナイフがあった。
それまでの言い争いとは、空気が変わった。テーブルの周囲にいた者たちが椅子を引く。リリアの笑みが止まった。男は刃を彼女へ向け、酒で赤くなった顔を近づける。
「俺を馬鹿にしたのか」
「刃物をしまって」
リリアの声から、さっきまでの軽さが消えていた。
男は聞かなかった。彼女の肩へ手を伸ばし、ナイフを持った腕を振り上げる。
俺は椅子を押しのけて立った。
手首をつかみ、肘を外へ押し開く。刃先がリリアから逸れたところで、相手の肩をテーブルへ叩きつけた。男は抵抗したが、足元がふらついていた。酒に酔った戦闘員の力は、酔っていない時の力とは違う。踏ん張りが効かず、腕の動きも遅い。
刃物が床に落ちた。
俺は男の首の後ろを押さえ、顔をテーブルに伏せさせた。暴れる力が弱まり、やがて身体から力が抜けた。気絶したらしい。
残る二人は、こちらを見ていた。俺の顔と、エースの識別章に目をやる。片方は何か言いかけ、結局、床に落ちたナイフを拾うこともせずに仲間を残して逃げていった。
酒場のアンドロイド店員が、倒れた男の脈を確認している。人だかりはできていたが、誰も近寄らなかった。
「怪我は」
俺が聞くと、リリアは首を振った。
「ない。ありがとう」
彼女は俺の腕に触れた。指先が制服の袖をなぞる。
「レンって、思ったより優しいんだね」
「酔っ払いを床に寝かせただけだ」
「それでも助かったよ」
彼女の距離は近かった。甘えるように肩を寄せ、俺の顔を見上げる。俺も、悪い気はしなかった。助けた相手に礼を言われ、きれいな女に触れられている。明日になれば、また出撃や訓練がある。そう考えれば、一晩くらいはいいだろうと思った。
それが間違いだった。
その夜、俺はリリアを自分の部屋へ連れていった。
朝、彼女は「昨日のお礼」と言って、金を渡そうとした。俺は受け取らなかった。昨夜のことに報酬はいらない。彼女も、無理に押しつけようとはしなかった。
別れ際、彼女は俺の首輪に触れかけ、手を止めた。
「また会える?」
「ああ。要塞にいるんだからな」
俺はそれを、ただの挨拶のつもりで言った。
その後、俺の生活はいつも通りに続いた。出撃し、訓練をし、報酬を受け取る。酒を飲み、別の女を抱く夜もあった。レンナと食事をしたり、格納庫で話をしたりもした。
リリアは、その「いつも通り」を気に入らなかったらしい。
ある日、レンナと並んで格納庫を出たところで、彼女が通路の向こうから歩いてきた。リリアは俺を見るなり、笑顔で手を振った。近づいてくる足取りは軽い。けれど、レンナに気づくと、その笑顔がわずかに固まった。
「レン、どうして連絡くれないの?」
「何の話だ」
「私に会いたくないの?」
「そうは言ってない」
「じゃあ、どうして私じゃない人と会ってるの?」
彼女は俺の隣に立つレンナを見た。目元の化粧は崩れていない。声も明るいままだったが、その明るさがかえって張りつめて聞こえた。
「レン、私のこと好きになったんじゃないの?」
「一晩過ごしただけだろ」
「助けてくれたじゃない」
「それとこれは別だ」
「私のこと、抱いたじゃない」
「それも、好きだって約束にはならない」
リリアの口元から笑みが消えた。
「なんで私に連絡をよこさないんだよ。なんで惚れないんだ。なんで私じゃない人と会ってるんだ」
一度に吐き出された言葉は、責めるというより、答えを強要するようだった。俺には、責められる覚えがない。彼女に何かを約束したわけでもない。彼女もまた、俺以外の男と会い続けている。
それを言えば、彼女は何と返すだろう。
「レンナ、先に行っててくれ」
俺が言うと、レンナは俺の顔を見た。次にリリアを見て、何か言いかけたが、やめた。
「あとでね」
彼女はそれだけ言って、整備区画へ向かった。
リリアはレンナの背中を見送った後、俺の袖をつかんだ。
「私のこと、嫌い?」
「嫌いじゃない」
「じゃあ、私のことを見てよ」
「今見てる」
「そういうことじゃない」
「なら、どういうことだ」
リリアは答えなかった。つかんだ袖を離し、俯く。少しして顔を上げた時には、いつもの笑顔を作り直していた。
「また来るね」
そう言って、彼女は去っていった。
その言葉どおり、次の日から、リリアは俺を探してやってくるようになった。食堂、格納庫、ラウンジ。俺の予定を知っているわけではないはずなのに、妙なところで出くわす。彼女は見かけるたびに手を振り、近くに寄り、俺の隣に立とうとした。
他の男と一緒にいる姿も変わらず見かけた。運営側の男とラウンジへ入るところもあった。別の日には、背の高い男の腕に寄りかかり、耳元で何か囁いていた。
それでも、俺がレンナと話していると、彼女は不機嫌になる。
自分は好きな相手と過ごす。客とも会う。気に入った男がいれば、その男と寝る。それでも、俺には自分を優先してほしい。彼女の中では、矛盾していないのかもしれない。自分が誰かに求められることと、俺に求められることは、別々の場所にあるのだろう。
だが、俺にはその区別を埋める義理がなかった。
ペトルは、彼女を見かけるたびに視線を追っていた。
「リリアって、やっぱりきれいですね」
「近づくな」
「まだ何もしていません」
「する前に言ってる」
「隊長、忠告が早いですね」
「お前が遅いんだ」
ペトルは苦笑したが、忠告を聞き入れたようには見えなかった。俺はもう一度、「やめておけ」と言った。彼女の顔を気に入ること自体は勝手だ。だが、彼女の求めるものと、ペトルが期待しているものが同じだとは思えなかった。
そうして、数日が過ぎた。
その日の出撃は、艦隊同士の撃ち合いだった。味方艦隊は中型空母二隻と護衛艦、駆逐艦。俺たちの飛行隊は空母から発進し、敵戦闘機を押さえながら敵艦の砲撃圏へ向かう予定だった。
出撃前のブリーフィングで、イリヤが配置を確認した。
「敵機の数は同程度。艦隊砲撃が始まったら、隊形を崩すな。旗艦を狙う機体を通す。レン、第一小隊は右舷側を押さえろ」
「了解」
俺はネッサ、ペトル、マルクと機体を確認した。整備士が最終点検を終え、各機の状態を読み上げる。レンナは俺の機体の翼端に残った補修跡を指で示し、「前回より振動は減ってる」と報告した。
「助かる」
「帰ってきたら、また見せて」
「ああ」
その短いやり取りを、リリアが少し離れた場所から見ていた。彼女は出撃しない。格納庫にいる理由もないはずだったが、誰かの許可を得て見学区画に入ってきたらしい。彼女の隣には、見慣れない男が立っていた。
発進後、隊列を組み直し、艦隊の前へ出る。
敵の砲撃は遠距離から始まった。光が横切り、護衛艦の装甲を削る。艦隊同士の砲撃が続く中、敵戦闘機が散開してこちらへ向かってきた。
「右舷、敵機四。ネッサ、上を押さえろ」
『了解』
「ペトル、マルクは俺の後ろを維持。追いすぎるな」
『了解』
『分かりました』
味方機と敵機が交差し、照準が次々と開く。俺は一機を追い、短い射撃で敵の進路を塞いだ。撃墜には至らなかったが、敵機は隊列から外れ、味方艦の砲撃圏へ逃げていく。
その時、警告音が鳴った。
後方から射撃。
味方識別信号が表示されている。敵機ではない。別の飛行隊の機体が、俺の後ろを取っていた。
「そこの機体、何をしている。撃つのをやめろ」
通信を開く。返答はない。
次の射撃が、俺の機体の左側をかすめた。衝撃で機体が揺れる。装甲の警告灯が一つ点灯した。
「味方機だ。識別信号を確認しろ。攻撃を中止しろ」
再び呼びかけても、返事はなかった。
後方の機影が、もう一度照準に入る。俺は機体を急旋回させ、砲撃の線を外した。艦隊の射線が交差する宙域で、俺だけを狙っている。誤射ではない。誰かが意図して撃っていた。
「隊長、後ろ!」
マルクの声が通信に割り込む。
『分かってる。マルク、隊形を崩すな。ペトル、ネッサと合流しろ』
「でも――」
『命令だ』
後ろの機体が再び追ってくる。敵機の迎撃と艦隊の砲撃を避けながら、味方の攻撃までかわさなければならない。俺は敵艦へ向かう進路を捨て、回避に専念した。これでは敵機を抑えられない。艦隊の護衛にも穴が開く。
その機体の識別番号が、表示の端に出た。
別飛行隊の戦闘員、エドガー・ヴォス。
リリアに貢いでいる男として、ラウンジでも何度か見かけた名前だった。彼女に酒を渡し、肩を抱き、他の男を牽制していた。あの時、彼女に言い寄っていた三人のうちの一人だったかもしれない。顔を思い出すより先に、機体がまた撃ってきた。
「ヴォス、射撃をやめろ。命令違反だ」
返答はなかった。
その瞬間、別方向から青白い光が走った。
ヴォスの機体が被弾し、姿勢を崩した。追撃の射撃が機体の推進部を捉える。機影が一度大きく揺れ、回転を始めた。
イリヤの機体が、俺の後ろから射線を外していた。
『レン、こちらで止めた。そっちは飛べるか』
「飛べる。助かった」
『まだ戦闘中だ。礼は帰ってからでいい』
ヴォスの機体から脱出ポッドが射出された。味方識別信号が点滅する。戦闘区域の外へ流されていくポッドを、運営の回線が拾った。
『味方機による攻撃を確認! これは予定外の展開だ! 遺恨怨恨があるのか!』
歓声が通信の向こうで膨らんだ。
『仲間撃ちだ! 戦場に新しいドラマが生まれた!』
俺は歯を食いしばった。
運営にとっては、理由などどうでもいいのだろう。味方機が味方を撃った。それだけで番組になる。ヴォスが俺を撃った理由も、彼が生きて戻るかどうかも、画面の向こうでは賭けの材料になる。
『レン、前方の敵機が戻ってくる。こちらで処理する』
イリヤの声が通信に入る。俺は機体の損傷を確認し、味方の隊列を見た。ネッサは敵機を一機押さえている。ペトルとマルクも、命令どおり距離を保っていた。
「第一小隊、隊形を戻す。敵の護衛艦を抜かせるな」
『了解』
俺たちは戦闘を続けた。
空母の甲板から発進した機体が次々と交戦し、艦隊の主砲が敵の駆逐艦を貫く。敵機は数を減らし、こちらも一機を失った。最後には敵旗艦が大きく傾き、撃沈判定が出た。勝敗が決まると、残った敵機は交戦宙域から離れていった。
帰投の信号を受け、俺たちは母艦へ戻った。
着艦後、整備員が機体を固定し、損傷箇所の確認を始める。俺はハッチを開け、外へ出た。左腕が少し痺れていた。被弾の衝撃が残っている。床に降りると、整備士が機体の外板を指さし、俺に近づかないよう手で制した。
「右側の装甲に傷がある。機体は整備班に任せて」
レンナだった。
「大丈夫だ。かすっただけだ」
「かすっただけで警告灯がつくなら、確認は必要」
彼女は俺の腕を見た。俺が動かしてみせると、レンナはまだ納得していない顔をした。
「痛む?」
「少し」
「医療室に行って」
「あとでな」
「今」
彼女がそう言いかけた時、格納庫の入口が騒がしくなった。
リリアが走ってきた。
誰かが通行を止めようとしたようだが、彼女はそれを振り切って俺のところまで来た。周囲の整備士が一斉に手を止める。リリアは俺の胸に飛びつき、両腕を首に回した。
「レン! 無事でよかった!」
俺の腕が痺れているのを知ってか知らずか、彼女は強く抱きしめた。
レンナの表情が変わった。
「離れて」
「え?」
「今、機体から降りたばかり。身体を確認してるところなの」
「でも、レンが無事だったから」
「誰のせいでレンが危険な目に遭ったと思ってるの」
リリアの腕が、俺の首から少し緩んだ。
「私のせいじゃないよ」
「あなたに貢いでいた男が、レンを後ろから撃った。彼はあなたのことで逆上していたんでしょう」
「私は撃てなんて言ってない、知らない」
「言っていないから関係ない、で済ませるの?」
レンナの声は低かった。怒鳴ってはいない。だからこそ、言葉が格納庫に残った。
「彼が勝手にやったことだよ。私だって怖かったんだから」
「怖かったのはレンも同じ。あなたを助けた夜のことが原因で、レンが撃たれたのよ」
「レンは私を助けてくれた」
「だから何? 助けられたら、その後は何をしてもいいの?」
リリアは口をつぐんだ。
俺はレンナの肩に手を置こうとしたが、彼女は振り返らなかった。彼女が怒っているのは、俺がリリアを助けたことに対してではない。助けた後の彼女の振る舞いと、その結果として俺が撃たれたことに対してだ。
「レンナ、もういい」
「よくない」
彼女は俺に向き直った。目に浮かんでいた怒りは、リリアだけに向けられたものではなかった。
「あなたもよ。腕を診てもらって」
「分かった」
リリアは俺の背後へ回った。レンナから隠れるように、俺の服の後ろをつかむ。
「レンは私のこと嫌いじゃないって言った」
「その話を今するな」
「でも――」
「リリア」
俺が名前を呼ぶと、彼女は一度だけ唇を噛んだ。泣きそうな顔を作りかけて、やめる。彼女は俺の背中に隠れたまま、レンナを見ていた。
その場を収めたのは、イリヤだった。
彼はヘルメットを小脇に抱え、俺たちの前へ来た。まずレンナに短く頷き、それからリリアへ向き直る。
「ここはドックだ。整備作業と帰還後の確認をする場所だ。リリア、見学許可があっても、今は出ていってくれ」
「でも、私はレンに会いに」
「今は機体と負傷の確認中だ。話なら後にしろ」
リリアは俺を見た。俺は返事をしなかった。
「レン」
「イリヤの言うとおりだ」
一瞬、彼女の顔から表情が消えた。
それから、彼女は笑顔を作った。
「分かった。あとでね」
リリアはレンナの横をすり抜け、格納庫の出口へ向かった。出ていく直前、彼女は振り返ったが、誰も引き止めなかった。
レンナは俺の腕を取り、傷の具合を確かめた。
「本当に医療室へ行って」
「ああ」
「あとで、じゃない」
「分かった」
彼女は手を離すと、整備班へ機体の損傷箇所を伝えに行った。俺はその背中を見送った。彼女が怒った理由は分かっていた。俺が誰と一晩過ごそうと、それを彼女に説明する必要はない。だが、リリアの身勝手な執着に巻き込まれ、戦場で背後から撃たれるのは別の話だ。
帰還報告の端末には、ヴォスの機体番号と脱出ポッドの回収状況が表示されていた。生存は確認されたらしい。処分は運営の審査待ち。戦闘中の味方撃ちを、規則違反として扱うのか、興行上の演出として利用するのかは、まだ分からない。
ただ、戦場の映像には、すでに見出しがついていた。
「エースを襲った同僚――女を巡る怨恨か」
リリアの顔と、俺の機体が被弾した瞬間が並べられている。レンナの怒った顔も、格納庫の監視映像から切り取られるかもしれない。
俺は端末の画面を閉じた。
リリアが俺に惚れているのか、それとも自分を選ばなかったことに執着しているだけなのか、俺にはまだ分からない。だが、彼女の周囲にいる男たちが、俺の命まで賭けの材料にし始めたことだけは分かった。




