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『ダンジョンで勝つたび三択報酬 ~弱小マスターの俺、希少種族の問題児ばかり引き当てて最強勢力になっていた~』  作者: 0JOY0
第四章 二人目を召喚したんですが、群れの外では問題児でした

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第23話 群れの長に手を出したんですが、相手が悪かったみたいです


「たぶん、そんなに遠くない」


ネイラの言葉に、俺はボルドが来た通路へ目を向けた。


服や荷物、それに靴にも残っているという複数人の知らない匂い。それもかなり新しく、ネイラによれば今も近くにいる可能性が高いらしい。


「ボルド。今日ここに来るまで、誰かと会った?」


「いや。少なくとも話した奴はいねえな」


「途中で休んだりは?」


「二回ほどな。ただ、人の姿なんざ――」


そこまで言ったところで、ボルドが黙った。


何か思い当たったらしい。


「……心当たりある?」


「一人だけ、面倒なのがいる」


「何その嫌な言い方」


「実際、面倒なんだよ」


ボルドが苦虫を噛み潰したような顔をする。


詳しく聞こうとした、その時だった。


ネイラの黒い耳がぴくりと動く。


「来る」


「え?」


ネイラの視線は、俺たちが見ていた通路のさらに奥へ向いていた。


「どっち?」


ネイラが無言で指差す。


やっぱりボルドが来た方向だ。


「何人?」


「五人」


「近い?」


「もう近い」


俺にはまだ何も聞こえない。


リュネリアも同じらしく、ネイラが見ている方向へ目を凝らしている。それでもネイラだけは確信しているようで、耳の向きを細かく変えながら通路の奥を見続けていた。


やがて、俺にも聞こえ始める。


複数の足音と、金属同士が擦れるような音。それが少しずつ大きくなり、通路の向こうから明かりが見えてきた。


「やっぱりここか」


最初に姿を現したのは、二十歳を少し過ぎたくらいの男だった。


地下を歩くには妙に上等な服を着ていて、腰には装飾の多い剣。指にもいくつかの指輪をつけている。その後ろから現れた四人の男は全員武装しており、どう見ても護衛だった。


先頭の男がこちらを見つけると、満足そうに口元を吊り上げる。


「随分奥まで来ると思ったら、こんなところに隠れてやがったのか」


ボルドの顔が露骨に歪んだ。


「……お前か」


「久しぶりだな、ボルド」


「俺をつけてきやがったのか?」


「人聞き悪いな。商売の調査だよ」


「それを尾行って言うんだろ」


思わず口を挟むと、男の視線が初めて俺へ向いた。


「誰だ、お前」


「こっちの台詞なんだけど」


ここ、俺のダンジョンなんだけど。


何で勝手に入ってきた奴から、俺が誰なのか聞かれなきゃならないんだ。


男は俺を上から下まで値踏みするように眺めたものの、特に興味を引かなかったらしい。すぐにボルドへ視線を戻した。


「それで、考え直したか?」


「何をだ」


「うちとの契約に決まってるだろ。お前の扱う品は全部うちに卸せ。他には流すな。値段もこっちで決める」


「断る」


即答だった。


男の眉が動く。


「またそれか。悪い話じゃねえだろ。親父の商会と専属になれば、お前みたいな個人商人じゃ扱えねえ量まで売ってやれる」


「その代わり、俺の仕入れ先も客も全部お前らが握るんだろうが」


「商売ってのはそういうもんだ」


「少なくとも俺の商売は違う」


どうやらボルドが言っていた『面倒なの』とは、こいつのことらしい。


何度言ってもボルドが首を縦に振らないからか、男の表情から次第に余裕が消えていく。


「頑固な爺だな……」


小さく舌打ちしてから、男が周囲を見回した。


通路を見て、俺を見て、リュネリアを見る。


そして、ネイラのところで視線が止まった。


「……へえ」


嫌な声だった。


男がネイラを上から下まで眺める。


肩甲骨辺りまで伸びた黒髪に、同じ色の狼耳と尻尾。琥珀色の瞳で相手を見返しているネイラは、確かに見慣れない人間からすればかなり目立つ。


「そっちの黒いの、見たことねえな。何の獣人だ?」


ネイラは答えない。


自分に向けられた質問なのに、完全に無視している。


……群れの外だからか。


「月狼族」


仕方なく俺が答えると、男の目がわずかに見開かれた。


「月狼族? 聞いたことねえぞ」


「珍しいらしいからな」


「へえ……」


男がもう一度ネイラを見る。


今度はさっきより露骨だった。


「珍しいだけじゃなく、見た目もいいな」


……何となく。


本当に何となくだけど、こいつとは仲良くできない気がしてきた。


「おい」


「何?」


「それ、お前のか?」


「仲間だよ」


「仲間?」


男が鼻で笑う。


「魔物使いみてえなもんか?」


「違う」


「まあ何でもいい。売れよ」


一瞬、何を言われたのか分からなかった。


「……何を?」


「そいつ」


男がネイラを指差す。


「珍しい種族なら欲しがる奴はいくらでもいる。見た目もいいしな。俺が買ってやるよ」


頭の中で、何かが切れかけた。


「……商品じゃない」


「金なら払う」


「そういう意味じゃねえよ」


自分でも分かるくらい声が低くなった。


ネイラと会ってから、まだ大して時間は経っていない。勝手に狩りへ行くし、腹が減ったからという理由でボルドの干し肉を食うし、すでに問題児の片鱗は嫌というほど見せてもらった。


それでも俺の仲間だ。


指差されて値段をつけられて、笑って流せるほど俺はできた人間じゃない。


「やめとけ」


ボルドが低い声で割って入る。


「そいつらは俺の取引相手だ。嬢ちゃんも商品じゃねえ」


「お前には聞いてねえよ」


男は面倒そうに手を振ると、そのままネイラへ近づいていった。


「近くで見りゃ、もっと――」


伸ばされた手がネイラの耳へ向かう。


その指先が触れる直前、ネイラの身体がわずかに横へずれた。


男の手が空を切る。


「……あ?」


もう一度伸ばす。


ネイラはまた避けた。


殴りもしないし、手を払いもしない。ただ触らせないだけで、相手の動きに合わせて最小限の距離を取っている。


「ちょこまかすんなよ」


男の顔に苛立ちが浮かび、ネイラの耳も少しずつ立ち始めた。


……まずい。


俺とネイラの目が合う。


小さく首を横に振る。


まだ。


ネイラは数秒こちらを見つめていたが、やがて姿勢を戻した。


ちゃんと伝わったらしい。


「何だよ。躾はされてんじゃねえか」


……ぶん殴りてえ。


かなり。


それでも、まだ我慢する。


こいつがどこの誰なのかも分からないし、ボルドとの関係もある。ここで俺たちから手を出して、あとから面倒なことになるのは避けたかった。


「用があるならボルドと話せ。俺たちには関係ないし、話が終わったなら帰ってくれ」


「……さっきから何なんだ、お前」


「ここ俺の場所なんだけど」


男の表情が変わった。


「お前の?」


「ああ」


その一言を聞いた途端、男の視線が俺から周囲へ移り、次にボルドを捉えた。


何かが繋がったらしい。


「なるほどな。最近こいつが妙な品を扱い始めたと思ったら、お前か」


「勝手に決めんな」


「ここが新しい仕入れ先ってわけだ」


俺がボルドを見ると、本人も眉を寄せている。


何の話か知らないけど、こいつの中ではもう答えが出ているらしい。


「だったら話は早い」


男が俺を見る。


「お前、今後ボルドとの取引やめろ」


「嫌だけど」


「……あ?」


「何で知らない奴に取引相手決められなきゃならないんだよ」


男の顔から笑みが消えた。


後ろにいる護衛たちも、明らかに空気を変える。


「ガキ。俺が誰だか分かって言ってんのか?」


「知らないから聞いてんだけど」


「…………」


横でボルドが額を押さえた。


「大隅、お前も煽るな」


「煽ってないって」


本当に知らないだけだ。


男はしばらく俺を睨んでいたが、やがて鼻で笑った。


「まあいい。知らねえなら教えてやるよ」


「別にいい」


「お前な――!」


怒るくらいなら最初から聞くなよ。


男の顔が赤くなる。


「……少し痛い目見せねえと分からねえらしいな」


後ろにいた護衛が一人、前へ出た。


俺の背中に冷たいものが走る。


さっきまでのくだらない言い合いとは違う。


こいつら、本気だ。


横目でネイラを見ると、すでにこちらへ動こうとしていた。


俺はもう一度、視線だけで止める。


まだだ。


ネイラの足が止まった。


「最後に言うぞ」


男が俺を指差す。


「ボルドから手を引け。そいつらも置いていけ。それで今回は見逃してやる」


「断る」


「なら――」


男が片手を上げた。


「少しくらい痛い目見せろ。二度と俺の商売に口出せないようにな」


その言葉に従い、護衛が俺へ向かってくる。


さっきまでは、できるだけ揉めない方がいいと思っていた。相手がどこの商会の人間なのかも分からないし、ここで敵を増やせば、あとからもっと面倒なことになるかもしれない。


だからネイラも止めたし、腹が立っても我慢した。


けれど、向こうはその気遣いを全部踏み越えてきた。


護衛の手が俺へ伸びる。


避けようとした、その瞬間だった。


横から黒い影が割り込んだ。


バァンッ!!


鈍い衝撃音とともに、護衛の身体が真横へ吹き飛ぶ。そのまま数歩先の壁へ背中から叩きつけられ、持っていた武器が床を滑っていった。


「…………は?」


何が起きたのか理解するより先に、俺と護衛の間へネイラが立つ。


さっきまでの静かな雰囲気は完全に消えていた。黒い耳は真っ直ぐ立ち、重心も低い。琥珀色の瞳だけが、残った護衛たちを冷たく見据えている。


「ネイラ?」


「マスターに危害を加えようとした」


その声に、怒鳴るような強さはなかった。


ただ、ネイラにとってはそれだけで十分だったらしい。


「なら敵」


護衛たちが一斉に武器を抜く。


その瞬間、俺の目の前に半透明の文字が浮かび上がった。


《警告》


《ダンジョン内部における敵対行動を確認》


《侵入者五名を敵性個体として認定しました》


「……本当に敵判定まで入ったのか」


さすがに笑えない。


それでも男は状況を理解していないらしく、壁際に倒れた護衛を見て顔を真っ赤にした。


「何してやがる! そのガキども、全員ぶっ殺せ!」


そこで、俺の中に残っていた最後の迷いも消えた。


こいつがどこの商会の息子なのか。倒したあとに何が起きるのか。面倒な連中に目をつけられないか。


さっきまでは、そんな先のことまで考えていた。


でも、もういい。


勝手に俺のダンジョンへ踏み込んできて、ボルドを脅し、ネイラを商品扱いした。挙句の果てには俺を痛めつけようとして、今度は全員殺せとまで言った。


そこまでされて、まだ我慢する理由もない。


ネイラが俺を見る。


「マスター」


「何?」


「もう、いい?」


俺は一度だけ息を吐いた。


「……先のこと考えてたけど、やめだ」


どうせ向こうから全部ぶち壊してきた。


だったら。


「やっちまえ」


ネイラが動いた。


一番近くにいた護衛が慌てて剣を振るうが、その刃が届く頃には、ネイラはもう軌道の内側へ潜り込んでいた。低く沈んだ身体が男の懐へ滑り込み、剣を握る腕を取ると、踏み込んだ勢いまで利用して体勢を崩す。


そのまま床へ叩きつけた。


「ぐっ……!」


護衛が起き上がろうとした時には、ネイラの膝がすでに首元を押さえていた。


「一人」


「……強っ」


思わず声が漏れた。


速いだけじゃない。


相手が武器を振るうより先に懐へ入り、反撃できない形に崩してから仕留める。大きな動きも派手な攻撃もないのに、護衛の方だけが一方的に床へ転がされていた。


リュネリアとは、強さの方向がまるで違う。


あいつが広い範囲を圧倒的な火力で吹き飛ばすなら、ネイラは狙った一人へ潜り込み、反撃する暇すら与えずに落とす。


なるほど。


こいつ、索敵だけじゃない。


むしろ敵の位置を見つけて、気づかれる前に近づいて、一体ずつ消していくところまで含めて得意なんだ。


「囲め!」


残った護衛の一人が叫ぶ。


二人がすぐに左右へ分かれた。一人目を見て、正面から一人ずつ行けば勝てないと判断したらしい。片方がネイラの正面を塞ぎ、もう片方が斜めから回り込んで、互いの死角を補おうとしている。


ネイラが踏み込もうとした瞬間、正面の男が剣を構え、同時に横の男も動いた。


さすがに一対二では入りづらい。


ネイラは無理に突っ込まず、すぐに距離を取った。


単体なら圧倒できる。


でも複数で囲まれれば、さっきみたいにはいかない。


だったら、囲ませなければいい。


「ネイラ、一回戻れ!」


「分かった」


呼んだ瞬間にはもう俺の近くまで下がってくる。


俺は左右へ視線を走らせた。


右にはネイラ。


左には回り込もうとしている護衛。


さらにその先には誰もいない。


壁と通路だけ。


なら、いい。


「リュネリア、左!」


「はい!」


すぐに返事が飛んだ。


「左の通路ごと潰していい!」


「分かりました!」


リュネリアが片手を向ける。


その掌へ銀色の光が集まり始めた瞬間、左から回り込もうとしていた護衛の顔色が変わった。


「な、何だそれ――」


次の瞬間。


銀色の光が通路を呑み込んだ。


轟音が響き、床が爆ぜる。


護衛は咄嗟に後ろへ飛び退いて直撃を避けたものの、そのさらに奥で壁まで大きく抉れ、砕けた石材が進路へ雪崩れ込んだ。


一瞬で、左から回り込む道そのものがなくなる。


「…………」


うん。


狙った場所にはちゃんと当たってる。


そこは本当に完璧なんだよ。


威力がおかしいだけで。


「ネイラ、右!」


「うん」


その声と同時に、ネイラが走った。


左側の護衛はリュネリアの一撃で分断され、援護に入れない。結果として、右側に残った一人だけが完全に孤立する。


そこまで作れば、あとは早かった。


護衛が振り下ろした剣の軌道をネイラは身体一つ分だけ外し、そのまま懐へ潜り込む。腕を取って体勢を崩し、足を払う動きまでがほとんど途切れずに繋がった。


男の身体が床へ叩きつけられる。


「二人」


左側にいた護衛が、崩れた通路の端から無理やりこちらへ戻ろうとする。


遅い。


あいつが回り込むための道は、もうリュネリアが半分消している。


「ネイラ、そのまま!」


「分かった」


黒い影が向きを変えた。


護衛が崩れた石材を乗り越え、ようやく開けた場所へ出た時には、ネイラはすでに目の前まで迫っている。


慌てて振るわれた剣を身体を沈めてかわし、そのまま足を払う。男の身体が傾いたところで武器を持つ腕を捻り上げると、剣が金属音を立てて床へ落ちた。


「三人」


「……すげえ」


今度は素直に感心した。


リュネリアが場所を潰して、相手の動ける範囲を減らす。


そこで一人になった奴をネイラが落とす。


二人とも強いけど、強さの方向がまるで違うからこそ、噛み合った時がとんでもなく速い。


そして、どこを壊して誰を孤立させるか決めるのは俺だ。


俺が道を選ぶ。


リュネリアが逃げ道ごと吹き飛ばす。


ネイラが残った一人を仕留める。


……これ。


「かなり相性いいな」


「そうですか?」


リュネリアが嬉しそうに振り返る。


その背後では、さっきまで通路だった場所から砂埃がもうもうと立ち上っていた。


「うん。めちゃくちゃいい」


「良かったです!」


「ただし、また通路なくなったけど」


「ちゃんと狙った場所には当てました!」


「そこは疑ってないんだよ」


問題はずっと、その先なんだ。


でも今回は壊していい場所を俺が指定した。


だったら事故じゃない。


これはちゃんと戦術だ。


……たぶん。


「ひっ……」


情けない声が聞こえた。


見ると、商人の男が少しずつ後退している。


さっきまでの威勢は完全に消えていた。連れてきた護衛たちは床へ転がり、自分だけが残っている。


男の視線が俺からリュネリアへ移り、最後にネイラを見る。


それから逃げ道を確認した。


その瞬間。


ネイラの耳が立った。


琥珀色の瞳が細くなる。


あ。


これ知ってる。


「ネイラ」


「何?」


「遊ぶなよ」


「遊ばない」


黒い尻尾が揺れた。


「尻尾」


ぴたりと止まる。


「動いてない」


「今止めただろ」


「最初から」


「嘘つけ」


その間にも男はじりじりと後ろへ下がっていたが、とうとう耐えられなくなったらしい。


「く、来るな!」


背中を向けて走り出す。


同時にネイラも動いた。


今度は数秒すらかからなかった。


「うわあああっ!?」


悲鳴が響く。


振り返った時には、男は床へうつ伏せに倒されていた。ネイラがその背中に片膝を乗せ、逃げられないよう片腕を押さえている。


「捕まえた」


「よし。そいつはそのまま」


「分かった」


男が必死に身体を捩る。


「離せ! 俺が誰だか分かってんのか!?」


「知らない」


ネイラが答えた。


「お前には聞いてねえ!」


「暴れるなよ。余計痛くなるぞ」


「こんなことしてタダで済むと思ってんのか! 俺の親父が知ったら、お前ら全員――」


まだ元気だな。


さっきまで逃げてたくせに。


その時だった。


俺の目の前に、再び文字が浮かび上がる。


《ダンジョン内の敵性個体を制圧しました》


《防衛行動の成功を確認》


《報酬を算出します》


「……お」


来た。


《DP+1,800》


《基本罠設置枠+2》


まず通常報酬。


思っていたより悪くない。


そして文字が消え、一瞬だけ何もない時間が流れた。


次の瞬間。


俺の目の前に三つの光が浮かび上がる。


赤。


青。


金。


それを見た瞬間、心臓が跳ねた。


《勝者特権》


来た。


「マスター?」


リュネリアが首を傾げる。


ネイラも男を押さえたまま俺を見ている。


当然、二人には見えていない。


俺だけに見える、勝った時だけの三択。


さっきまでの苛立ちが一瞬だけ吹き飛んだ。


いや、別にこいつらが来てくれて嬉しいわけじゃない。


ボルドを尾行して、勝手にダンジョンへ入ってきて、仲間を商品扱いした挙句、俺たちに危害まで加えようとした。


最悪だ。


本当に最悪なんだけど。


俺は床に転がっている護衛たちを見て、次にネイラに押さえつけられている男へ視線を移した。


それから、目の前で輝く三つの光を見る。


「……こいつら」


「大隅?」


ボルドが怪訝そうに俺を見る。


口元が緩みそうになるのを、俺はどうにか堪えた。


「報酬まで持ってきてくれた」

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