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魔女と汽車-人間の魔女とエルフの弟子-  作者: 白波
第15章 再びシャルロの森へ

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第71話

 カノンからあらかた話を聞いた後、マーガレットたちはカノンの案内で森の少し奥の方を訪れていた。その目的はカノンが普段過ごしている場所を訪れるためだ。もちろん、その間も情報収集は怠らない。

 カノンが言うところによれば、カノンに外の世界のこと……パンだったりおもちゃだったりといったことを教えたのはほかでもなくフラーだったらしい。最初はカノンは森の中に人間が入ることを警戒して中に入れなかったそうなのだが、フラーがパンやおもちゃを持ってきて交渉をしているうちに徐々に警戒心よりも彼女が持ってくる外の世界のモノへと関心が移り、結果的にツリーハウスを作ってそこを拠点に森の植生などについて研究することを許したのだという。最も、魔女フラーがどのような目的をもってしてシャルロの森の植生について調べていたのかについてはカノンはわかっていないようなのだが……

「あっあそこが私の住処よ。そう。おうち」

 そのようなことを話している間にマーガレットたちは木々に囲まれた小さな広間にたどり着く。そこにはカノンが寝ているとみられる葉で作られた寝床といくつかのおもちゃや絵本が置いてあり、カノンはそこにたどり着くなりいくつか置いてあるおもちゃからマーガレットがカノンに渡した機関車のおもちゃを差し出す。

「まずはこれで遊んで。そう。遊んじゃって」

 そこからカノンの要求に従うような形で遊びながら、彼女から話を聞いていく。

 カノンから聞いた話を整理すると、魔女フラーはひとりでシャルロの森を訪れて、カノンと交渉をし、許可を得たうえで魔法を使ってあのツリーハウスを作ったのだという。これだけを聞くと、フラーがシャルロの森を訪れたのはフラーの出身地が南部連邦だということも踏まえて勇者一行に加わる前だと推定される。

 そうした話をしているうちにカノンからの要求はひと段落し、マーガレットたちは再びカノンの案内でツリーハウスへと帰る。

「今日は遊んでくれてありがとう。うん。感謝してる」

「こちらこそ、貴重な話をありがとう」

 ツリーハウスの前でカノンとお互いに挨拶を交わしたのち、カノンは森の奥へ、マーガレットたちはツリーハウスへと入って行く。

「……それにしても、あの魔女フラーがこのツリーハウスを建てたなんて意外でしたね」

「そうね。もっとも魔女フラーが植生の研究をしたという点について詳しいことはわからなかったけれどね……」

 そこまで話をして、マーガレットは小さく息をつく。

「まぁとりあえず、明日からは路銀を稼ぐために薬草づくりをしていきましょうか」

「はい。そうですね」

 その会話の後、マーガレットとアイはそれぞれ就寝の準備をして、ベッドへと寝転がった。


*


 シャルロの森についてから二週間ほど。

 森で取れた薬草を使った薬は順調に売れて、西部連邦にある大聖堂……ラミーの大聖堂の方へ向かえるだけの路銀が集まった。

 マーガレットたちはカノンに挨拶を済ませ、シャルロ東駅から西へ向かう列車へと乗り込み、車窓を眺めていた。

「……それにしても、いろいろと意外な事実がありましたね」

「そうね。おそらく、あのツリーハウスもシャルロの森の中ではないところに建っていたら史跡扱いされていたのかもしれないわね」

「そうですね。そう考えると、知られていないだけで実は歴史的な価値があるものというのはたくさんあるのかもしれませんね」

 そのような会話を交わす中で、マーガレットの頭の中にあるのはザドの大聖堂から闇市を通して流出した文献のことだ。

 おそらく、それらの文章も歴史的な価値がありながらもどこかに持ち出されてしまっているのだろう。正直な話、マーガレットとしてはそれらをできる限り回収したいところだが、今はそれどころではないし、仮にマーガレットに時間的余裕があったとしても販売リストのような決定的な証拠がない限りはそれは不可能に近いだろう。

 そこまで考えて、マーガレットは小さく息をつく。

「どうかしましたか?」

 そんなマーガレットの姿を見て、アイが心配の声をかける。

「いえ。なんでもないわ。ちょっと考え事をしていただけ」

「そうですか……何か悩み事でしたらいつでも相談に乗りますよ」

「ありがとう」

 そのような会話を交わすころには車窓からはシャルロの森はすっかりと消えて列車はシャルロの町の中心部にあるシャルロ駅へと到達していた。

「……まぁいずれにしてもこの先は今回みたいな自体がないことを願いたいわね……」

 マーガレットはシャルロ駅で乗り降りする人たちを眺めながら、ぽつりとそうつぶやいた。

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