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魔女と汽車-人間の魔女とエルフの弟子-  作者: 白波
第15章 再びシャルロの森へ

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第70話

 シャルロの森のツリーハウス。リアの家から帰宅したマーガレットは椅子に座り、窓の外を眺めながら深くため息をつく。マーガレットの頭の中にあるのはリアの家で話をした『北のエルフが魔女マーガレットを探している』という話だ。

 いったいどういう経緯から……もっと言えば、誰がマーガレットのことを探しているのだろうか? 真っ先に頭の中に浮かぶのはルイス家だが、やはりルイス家がエルフに頼るとは考えづらい。となると、ルイス家とは別でマーガレットのことを探している勢力があるということになる。

「はぁなんだか面倒なことになってきたわね……」

 今のところ北の大陸には用事はないのだが、マーガレットのことを探しているエルフというのがどのような存在なのかという話によっては今後の対応が変わって来る。もし仮にルイス家がなりふり構わずエルフに頼っているという構図だったらまだましな方だ。それなら、注意すべきなのはルイス家だけでいい。しかし、自分のことを探しているのが未知の勢力でその目的もわからないとなればずいぶんと困ったことになる。一番の懸念事項としては、北の大陸にあるミカの大聖堂で聖書を発見した時点では聖書のことは極秘事項ではなかったので、何かしらのルートで聖書のことを知り、それを利用しようとしている勢力であった場合が一番厄介である。それなら、マーガレットが世界中を旅していることも知っているので、全世界的に声をかけてマーガレットを探そうとしていてもおかしくはない。『代償はあるモノのどんな願いでもかなう』という聖書の力に関してはどんな種族であったとしても魅力的な代物であることには間違いないからだ。

 こうなると、取るべき行動というのはある程度限られてくる。一つは聖書を早く集めて本当に願いが叶うのかという実証を早く行ってしまうということ。もう一つは北の大陸のエルフ……もしくはそれと協力している何かしらの勢力がどういったものなのか調査をするということ……とはいっても、北の大陸にはアリス教授以外に協力者と言えるほどの協力者はいないし、半分は終わっているとはいえ聖書を集め終わるまでまだ時間がかかるだろうということを考えると、どちらも迅速に行うということはできないだろう。

 そこまで考えてマーガレットは深くため息をつく。

「どうしたの? 何か考え事? そう。悩んでるの?」

 そんなマーガレットに声をかけるのはいつの間にかツリーハウスの中に入ってきていたカノンだ。

「……ちょっとね」

 それに対して、マーガレットは簡潔に答えを述べる。そんな会話が交わされている中でアイが三人分の紅茶をもってやってくる。

「マーガレット様はずいぶんと考えこんでますからね。実際にカノンが話しかけるまでいることに気づいていなかったですし。今回の件に関してもそうですけれど、考え込んでも前に進まないことばかり考えていても仕方ないんじゃないですか?」

 アイの言動からしてカノンは少し前からツリーハウスを訪れていたようだ。アイはマーガレットとカノンの前に紅茶を置き、自らが座るイスの前にも紅茶を置いてから席に着く。

「うーん。そうかもしれないけれど、気になっちゃって……」

「それはわかりますけれど、下手に何かを探ろうとしてマーガレット様を探している勢力に見つかるようなことがあれば本末転倒ですよ」

「確かにそうね。とりあえず、このことに関しては一旦はおいておきましょうか」

 そこまで話をして、マーガレットは大きく伸びをする。

「さてと……カノンは何か用事があってきたの?」

 マーガレットが尋ねると、カノンは首を横に振る。

「ううん。ただ単純に遊びに来ただけ。そう。遊んでほしいの」

「あーそう言うことね……」

 カノンと何をしようかと考えている中でマーガレットはあることをふと思う。そう言えば、このツリーハウスは誰が建てたものなのだろうかと……森の中に放置されていたにしては状態が良すぎるし、このツリーハウスと森の資源で生活が完結できるようにもなっている。となれば、このツリーハウスはどのような意図をもって、誰が建てたものなのだろうか?

「ねぇカノン。一つ聞きたいのだけど、このツリーハウスって誰が建てたの?」

 マーガレットはこのツリーハウスについて詳しいであろうカノンにそのまま疑問をぶつける。そうすると返ってきたのは意外な答えだった。

「うーんとね。魔女さん……名前は……名前はフラーだったかな?」

 カノンの返答にマーガレットだけではなくアイも大きく衝撃を受ける。

「フラーってあの勇者一行のフラーですか?」

 アイが質問をすると、カノンは小さく首をかしげる。

「うーん。外のことはよくわからないけれど、フラーっていう魔女さんが森で研究したいからって言って建てたの。そう。建設したの。建物自体は魔法で保護されているからいつまでもこの形を保っているって言っていたよ。そう。言っちゃってた」

 どうやら知られていないだけでこの建物には相当な歴史があるらしい。そうなると、気になって来るのはこの建物以外に魔女フラーが残した遺構があるかどうかという点だ。

「ねぇカノン。遊んであげるから少し頼まれごとをお願いしてもいいかしら?」

 マーガレットは小さく笑みを浮かべてカノンに声をかけた。

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