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魔女と汽車-人間の魔女とエルフの弟子-  作者: 白波
幕間14 マリーの決断

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幕間14-1

 北部連邦のフランの町にあるフラン魔法大学校。

 その旧校舎の一室でアリスとマリーは向き合っていた。

「それで? 答えは出たのか?」

 今回の件に関してはマリーの意思に委ねよう。そう考えつつも、アリスの頭の中にあるのはエルフたちの手によって没落の危機にあるルイス家のことだ。本来だったら、自分が雇った探偵であるカイの進言通りに彼女を保護すべきなのかもしれないが、それ以前に彼女の意思というのは重要なモノであると考えているからだ。もしも、ルイス家が没落するからと言って彼女の意思に反して引き止め、無理やりここに居座らせるのは少々違うとアリスは考えている。

「はい。出ました」

 深々と考えを巡らすアリスに対して、マリーはアリスの目をまっすぐと見ながら返答する。どうやら、何かしらの答えが彼女の中では出ているのだろう。

「そうか。聞かせてもらってもいいか?」

 アリスが尋ねると、マリーはゆっくりと深呼吸をしてから答える。

「私は……私はここに残りたいです。失礼なことをしてしまったことはわかっているつもりです。でも、ここで魔法を学んでいるうちに本当に魔法について興味がわいてきているんです。なので、ルイス家とは縁を切るのでここにいさせてもらってもいいですか?」

「そうか……」

 それだけ答えてアリスは再び思考を巡らせる。探偵のカイからの進言のこともある。マリーの意思もある。となれば、少し観察する期間を設けたうえで彼女を助手として近くに置いておくというのは間違った選択肢ではないだろう。ただ、そうなると次に問題になるのは彼女にマーガレットの現状をどこまで話すかという点だ。

「……ところで一つ質問があるのですが……アリス教授は本当に姉の現状を知らないのですか?」

 まるでアリスの思考を読んでいたかのようにマリーから質問が飛んでくる。それを受けて、アリスは再び考え始める。果たして、今のマリーにどれだけの情報を与えていいのだろうかと……最も、聖書自体は極秘事項なのでそれをについて教えることはできないのだが、せめてマーガレットは世界を巡る旅をしているということぐらいは伝えた方がいいのだろうか? 最も、伝えるにしてもそれはある程度の期間を過ぎてマリーが本当に信頼に足りえる存在になってからの方がいいのかもしれないが……

「……知らないわけでない。ただ、今すぐに教えることはできない。とだけ言っておく」

 なので、アリスはこの話題については言葉を濁すことにする。仮にマリーにマーガレットの現状について話すのなら、マーガレットから何かしらの連絡が来るか、マーガレットが聖書を集めるという目的を達成してからの方がいいだろう。こちらから積極的に情報提供をして彼女の旅に何かしらの不都合が発生してしまった場合、責任を取ることはできない。マーガレットの現状というのはそれほど重要なモノだと言えるだろう。

「……そうですか」

 アリスの回答を聞いたマリーは少々暗い表情を浮かべる。おそらく、彼女からすればまだ自分が信頼に足る存在に成れていないという風に解釈したのだろう。今の状況を考えればそのような答えに至ってもおかしくはない。

「さて、一応こちら側に着くというのなら、マリーが知っている情報を洗いざらい話してもらうことになるがいいかね?」

「はい。それはもちろん大丈夫です」

 その会話の後、マリーはアリスの前の前に日記帳を置いて話始める。曰く、その日記帳の内容はルイス家に置いてあるそれとつながっており、それに書かれた内容はルイス家に置いてある日記帳に自動的に書き込まれる仕組みになっているとのことだ。当初の作戦ではこの日記帳を使ってマーガレットの行動を監視し、頃合いを見計らってマーガレットを捕まえるという算段になっていたそうだ。

 その話を聞いて、アリスはふと考える。そう言ったマジックアイテムがこの世に存在するのなら、アイが『書いた量に比例してページが増える』と言っていた日記帳にそのような仕掛けはされていないだろうかと……今のところ……と言っても、最近の動向はわからないが、アイがマーガレットに何かしらの危害を加えようとして近づいている気配はない。しかし、もし仮にアイが持っている日記帳にも似たような細工がされていて、マーガレットを監視しているという可能性はないのだろうかと……そこまで考えてアリスは首を横に振る。いや、いくらなんでも考えすぎだろうと……そのような状況ならば、アイもまた何かしらの理由でマーガレットの監視をしているということになるが、そのような状況はないと考えたいところだ。

 そこまで考えを整理してからアリスはマリーに声をかける。

「……ふむ。なるほど……仕組みは理解した。この日記帳に関しては私が預からせてもらう」

「はい。わかりました」

 アリスはそう言ってからマリーから日記帳を取り上げて立ち上がる。

「とりあえず、私はこれをしまって来るよ。それまでの間、この部屋で待っているように」

 それだけ言い残すと、アリスはマリーの答えを聞くまでもなくそのまま教室を去って行った。

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