↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女と汽車-人間の魔女とエルフの弟子-  作者: 白波
幕間13 マリーとアリス教授

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
80/94

幕間13-1

 北部連邦のフランにあるフラン魔法大学校。

 その旧校舎の一室でアリス教授とマリーは向かい合うような形で座っていた。

「……あのーアリス教授。お話というのは?」

 なんだかピリピリとした雰囲気を感じながらもマリーが尋ねると、アリス教授は一枚の紙をマリーの前に差し出す。その紙には『調査報告書』という題名がつけられており、マリーがその内容を読んでいくとどんどんと顔が青ざめていく。

「これは一体どういうことか説明してもらいたいのだが」

 調査報告書を一通り読み終わったころにアリス教授が声をかける。マリーが読んだ調査報告書の内容は至極単純なもので、マリーが没落したと説明したルイス家がまだ存在しており、マリーがマーガレットの行方を追うために父親の力を借りながら情報を収集し、マーガレットに接触したという内容だ。今までの間でも調べようと思えば調べられるような内容だったのだが、なぜ今になってこのような情報が出てきてしまったのだろうか?

「少し前に冒険者ギルドに用事があってね。そしたら、ルイス家名義でマーガレットの捜索を依頼する手配書が掲示されていた。それで、ちょっと知り合いに調べてもらったんだよ。というわけで、この報告書のどのあたりまでが真実なのか教えてもらってもいいかな? 話次第ではお前を許してやる可能性もある」

 ついにばれてしまった。それがマリーの第一の感想だ。それと同時にこれはどう考えても言い訳の利くものではないというのが第二の感想である。そのため、マリーは素直に話をするしかないと覚悟を決めて口を開く。

「……この報告書については真実です。確かに私は昔から姉であるマーガレットを探していました。そして、ある日その調査に父も協力すると言い出しまして……それからはあっという間です。父が雇った探偵が姉の居場所を突き止めて、ノースに来るタイミングを教えてくれたんです。それで、私は使用人を使って泥棒の振りをして姉に接触を……」

「そうか。つまり、ここに書いてあることを全面的に認めるということだな」

「……はい。だますような真似をして申し訳ございませんでした」

 マリーはそう言ってから深く頭を下げる。その姿を見たアリス教授は深くため息をつく。

「まったく。こっちとしてはある程度君に期待していたんだがな……それで? これがばれた以上、君には二つの選択肢しかない。一つはここを離れてルイス家に戻ること。もう一つはルイス家を裏切ってここに残ることだ。まぁ後者の方は難しいだろうし、私としては君が本当にルイス家と縁を切ったかどうか見させてもらう期間を設けさせてもらうがね」

 アリス教授に二つの案を提示され、そこでマリーは小さくうつむく。どちらの選択肢を選んでも先に待っているのはいばらの道のりだろう。ルイス家の当主であるコニーはなぜかマーガレットをルイス家に連れ戻すことに執着している。このまま成果もなくルイス家に戻されることがあれば、どのような待遇を受けるか分かったもモノではない。しかし一方でアリス教授についていくことを選んだ場合、ちゃんとルイス家と縁を切れるかと言われると厳しいモノがあると言えるだろう。

「まぁいい。簡単に答えが出るものではないだろう。考える時間を用意する。三日だ。三日間で答えを出すように」

 それだけ言うと、アリス教授はマリーの前から去っていく。その姿を見送ったマリーは頭を抱えて深く考え込む。この場合、どうするのが正解なのだろうか? マリーとしてはマーガレットの行方は気になるし、魔法についても興味が出てきているところだ。しかも、このまま何も成果なしで家に戻ろうものなら父親から何を言われるか分かったものではない。それこそ、マーガレットに言った虚言のような状況になってもおかしくないとまで感じてしまう。そうなると、ここにとどまるのが最善なのかもしれないが、それはそれで問題が発生するだろう。もし仮にマリーが父親に対して絶縁宣言をし、アリス教授……もう少し言えばマーガレットの側に着くと言えばこちらの居場所が明確に分かっている以上、強引に連れ戻されて自ら戻ったときよりもひどい目にある可能性すらある。

「……いったいどうすれば……」

 こればかりは当初の目的がばれてしまったことを後悔するほかないだろう。もっと言えば、こういった形でばれるより前に自らこのことを自白しておいた方がもう少し状況は良かったのかもしれない。

「とりあえず、アリス教授ともっとしっかりと話をしないと」

 もし仮にマリーがルイス家を完全に捨て、アリス教授の側に着くとして教授はマリーをどの程度守ってくれるのだろうか? そのあたりについて聞いて、それである程度安心できるようだったらアリス教授の側に着くという選択肢を取ればいいだろう。逆にそのあたりについて明確な回答を得られない場合や守ることが難しいと言われれば、マーガレットの行方を追うことをあきらめ、素直にルイス家に帰ればいい。とにかく、自らはマーガレットのことが心配であって、ルイス家の威信がどうとかそういったことはどうでもいいということと、最近は魔法にある程度興味を持ってきていてそれについてもっと学びたいと考えていることをしっかりと伝えるべきだ。

 マリーは自分の中でそう結論付けてアリス教授を探すために部屋を出て行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。