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魔女と汽車-人間の魔女とエルフの弟子-  作者: 白波
第12章 ザドの大聖堂

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第59話

 聖書がある部屋の入り口があるとみられる場所を見つけてから数時間。マーガレットたちはようやく空間の中に入る通路を開くことができ、中へと入って行く。

 今回の空間はミカの聖書やルッシの聖書が置いてあった場所に比べて比較的通路は単純でマーガレットたちはすぐに聖書がある場所へとたどり着く。

「……アイ。アルベルトに聖書が発見されたと伝えてきて」

「はい。わかりました」

 マーガレットはアイに指示を出してからザドの聖書を手に取る。聖書が置かれている台座には相変わらず『この本は、神の導きを受け、願いをかなえることができる者にのみ開かれる』という文言が書かれており、聖書自体もほかのそれと大差はないように感じる。マーガレットはほかの人にこれを見られないようにササっと聖書をカバンの中にしまってからアルベルトの到着を待つ。

 そうしている間にも入口の方から近くを通ったと思われるシスターの声が聞こえてくる。内容としては『こんなところに通路になんてあったかしら?』だとか『隠し通路じゃない?』だとかそういった会話だ。それを受けてマーガレットは一旦部屋の外に出て、その場に集まりつつあるシスターたちに『文献調査』の結果、隠し通路が発見されて、その先の空間で貴重な文書が多数発見されたという旨の話をする。そうすると、シスターたちは驚いた様子を見せつつも『発見された文献』に興味を示しているような様子だ。

 そうしていしばらく待っていると、アイとアルベルトが現場に到着する。

「おい。ちゃんと持ち場に戻れ」

 アルベルトがそう指示をするとシスターたちは惜しそうな表情を浮かべながらもそれぞれの持ち場に向けて散ってゆく。それを確認したアルベルトはさっそくと言わんばかりに隠し通路の中へと入って行く。

 それに続くような形でマーガレットたちも隠し通路の中へと進んでいく。

「一応、『例の本』に関しては先に回収させていただきました。それで、『例の本』以外の文献に関する調査ですが……」

 マーガレットが本来の意味での『文献調査』について口にしようとしたところでアルベルトはその言葉を遮るような形で口を開く。

「その必要はない。『例の本』を回収したのなら君たちにはとっととこの大聖堂から出るべきだ」

「えっあぁそうですか」

 どうやらアルベルトは聖書以外には興味がないらしい。マーガレットとしては貴重な魔導書や文献があるのでもったいないなと思ってしまうのだが、この大聖堂の責任者であるアルベルトがその調査は必要ないと判断するのならそれに従うほかないだろう。

「……なるほど。ここに『例の本』が?」

 アルベルトは聖書が置いてあった台座を確認するなり、マーガレットに声をかける。

「はい。現物は確認しますか?」

「そんなものは必要ない。モノがあったならとっとと出て行ってくれ」

「……わかりました」

 いろいろと言いたいことはあるが、一応この大聖堂から出るまではアルベルトの指示に素直に従っておくべきだろう。そう判断したマーガレットは特に文句を言うわけでもなくアルベルトの言葉を受け入れる。

「それでは私たちはこの場で失礼します。調査への協力ありがとうございました」

 なので、マーガレットは調査に対して礼を言った後、そのまま隠し部屋の外へと出ていく。

「マーガレット様。これでいいんですか?」

「向こうがそう言っている以上いいんじゃない? こっちとしてもあんな態度をされている中でこれ以上の文献調査なんてしたくないし」

 マーガレットとアイがそう言った会話を交わすころには二人は隠し通路の外へと出ていて、二人はそのまま大聖堂の外へ向けて歩いて行った。


*


 聖書が発見された日の夜。マーガレットはさっそく宿で聖書を開いて中身を確認していた。

「……うーん。やっぱり、ほかの聖書と内容はあまり変わらないわね……」

 当然と言えば当然なのかもしれないが、聖書に書いてある内容自体はほかのそれとあまり変わりない。今のところ、五つの聖書を集めたときにどういったことをすれば『なんでも願いが叶う魔法』が発動するのかわからないが、そのあたりについてはやはり五つ集めきらないとわからないようになっているのだろうか?

「うーん。それにしても、これに関しても疑問は考えだしたらきりがないですね……」

 そんな状況を前にしてアイがそのような言葉を口にする。

「そうね。聖書に書いてあることが嘘でない限りは何かしらの方法で願いが叶って、代償を受けることになるはずだけど……おそらく、途中でその方法がわからないように何かしらの仕掛けがされていると考えるのが自然なのかしらね」

「……そうですね。確かにところどころに手掛かりが書かれていてそれをつなげば五つ集めなくても方法がわかる。なんてことになれば意味がありませんからね」

「そう言うこと。まぁとりあえず五つのうち三つは手に入ったのだから、あとは次の大聖堂へ向けて旅をすることを考えないといけないわね」

 そう言ってから、マーガレットは手元の路銀を確認する。聖書を探すために買った魔導書の料金がかなり響いていて、路銀は少々心もとないことになっていることが現状だ。となれば、この町である程度路銀を集めてから次の大聖堂を目指した方がいいだろう。

「とりあえず、まずは路銀集めね」

「はい。そうですね」

 そのあたりの認識はアイも同様らしく、マーガレットの言葉にアイはあっさりと同意する。それを確認したマーガレットは聖書をカバンの中にしまい、そのままアイとどうやって路銀を稼ぐが話し合い始めた。

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