表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女と汽車-人間の魔女とエルフの弟子-  作者: 白波
幕間11 マリーの考え

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
67/75

幕間11-1

 フラン魔法大学校の旧校舎の準備室。

 マリーは今日も今日とて特大のため息をついていた。最近、魔法について学ぶこと自体には不満はなくなくなってきたのだが、ルイス家からの……もう少し具体的に言えばコニーからの『マーガレットに関する情報はまだつかめないのか』という要求が日々激しくなってきているのだ。そんなことを言われてもマーガレットがアリス教授に何も連絡を取っていない以上わからないものはわからないし、マリーとしても、マーガレットの捜索といった面で言えばただただ時間が無駄に流れて行っているのだというのは感じざるを得ないのだが、何となくではあるがこのままマーガレットが見つからずに魔法を学ぶ日々が続けられたらいいのかもしれないなと思っている自分がいるということも確かな点だ。

 それにしてもである。マリーの父親であるコニーはなぜ今さらになってマーガレットのことを血眼になって探しているのだろうか? つい数か月前まではマリーが細々と探しているだけでコニーはマーガレットに関して興味は持っていなかったのに今となってはマーガレットを探すことが自らの仕事よりも上になってしまっているのではないかと感じてしまうほどだ。そこら辺の心境の変化に関してはコニーが語らない以上は何があったのかわからないが、このままではルイス家は本当に没落してしまうのではないかという危機感すら感じてしまう。

 そこまで考えたところでマリーは再び息をつく。

 いずれにしても、今マリーができることは限られている。それは、できる限りアリス教授に真実を悟られないようにしながらマーガレットに関する情報が入って来るのをひたすら待つということだ。正直な話、アリス教授と行動を共にするのは時に大変なことはありつつも、何となく貴族の令嬢として過ごすよりも充実しているように感じてしまっている。

「マリー。準備はできたか?」

 そこまで考えたところでアリス教授から声がかかる。

「はい。もうすぐ終わります」

 それに対して、マリーは手が止まっていたことに気が付いて返事をする。

 作業を再開しながらマリーは再び考え込む。このような状況にある以上、いっそのことアリス教授にすべてを話してしまい、このままアリス教授の助手という立場でいられないだろうかと……そんな虫のいい話が簡単にまかり通ることはないというのは確かなのだが、ある日何かしらのきっかけでこのことが表にさらけ出されてしまった場合、アリス教授との関係は間違いなく崩壊するだろう。だったら、いっそのことこちらから自白してしまった方がダメージは少ないのではないのだろうかと……

 そこまで考えて、マリーは首を横に振る。

 自分は何を考えているのだろうかと……自分はルイス家の人間であり、その再興のため動いているのだと……マーガレットに続いて自分まで魔法の道を進んでしまっては、これまで育ててくれた父親に対しての恩義というモノがなくなってしまうのではないか……

 そう考えると、マリーはまさしく魔法と科学というある意味で相反する勢力の間で不安定に心が揺れている状況になっていると言えるだろう。

 そこまで考えたころにはアリス教授に指示された準備はすっかりと終わり、マリーはそれをもってアリス教授が待っている教室へと向かう。

 教室に入ると、アリス教授は小さく首をかしげながらマリーに言葉をかける。

「……何かあったのか? 表情が暗いぞ」

 どうやら、先ほどまで考えていたことが表情に出てしまっているらしい。

「あぁいえ……その、姉が……姉がどこで何をしているのかというのが心配でして……」

 とりあえず、精一杯ごまかしてみるが、アリス教授は一旦それで納得したような表情を見せる。

「……そうだろうな。マリーからすればせっかく探していた姉が見つかったのに私のところに預けられてそのままマーガレットは連絡すらよこさないからな」

「あぁいえ。アリス教授と一緒にいることには不満はありませんよ」

 とりあえず、今大切なのは今の状況を崩さないことだ。アリス教授との関係を適切に守りつつ、姉であるマーガレットの行方を心配している妹のマリーという構図だけは絶対に崩してはならない。実際問題、マリー自身もマーガレットのことを心配してるのは真実なのでこれだけは嘘ではない。ただ、この先問題になって来るのはアリス教授と行動している間に『実はルイス家は完全に没落したわけではない』という真実がさらけ出されてしまうことだろう。今のところ、アリス教授はルイス家のことについて何も言ってこないが、万が一にでもルイス家が本当は健在だということがばれてしまった場合どう行動するか。それに関しては一旦しっかりと考えておいた方がいいのかもしれない。

「そうか。マリーが現状に不満を感じていないならそれでいい。さて、それではさっそくマジックアイテムの解析を始めようか」

「はい」

 マリーとアリス教授との間でそのような会話が交わされた後、二人はとある商人から依頼されたマジックアイテムの解析を始める。

 できれば、このような時間が長く続きますように……マリーは心の中でそういったことを願いながらアリス教授の指示のもとマジックアイテムの解析を行っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ