表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女と汽車-人間の魔女とエルフの弟子-  作者: 白波
第10章 妖精の森

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
61/76

第49話

 シャルロの森の森にあるツリーハウスに住みはじめてから数日目。マーガレットはある程度状況を理解し始めていた。

 アイが実際に冒険者ギルドでマーガレットに関する手配書の依頼を受けてみたのだが、冒険者ギルド側からの説明によると、一回依頼は来たもののそれ以来続報がないからすでに発見されてルイス家に連れ戻されているかもしれないという説明を受けたのだという。となると、現状において少なくとも南部連邦では二回目、三回目とルイス家が手配書を出しているという状況ではないようだ。

 これに関してはリモリアでいったん発見されたため、東部連邦を中心に捜索しているのかはたまた全世界に手配書を出し続けるほどの体力がないのかで変わって来るが、とりあえずはいい兆候としてとらえていいだろう。一応、アイからは冒険者ギルドで受け取ったのだという手配書を見せてもらったが、その内容はリモリアの町で手に入れたものとは相違はなく、手配書が掲出されたのもリモリアの町での騒動と時期が重なるため、一回だけ全世界に手配書をばらまくだけばらまいてそのままだという説を補強する状況となっている。

 そうなれば、マーガレットは何か月も森に引きこもる必要はなく、ある程度期間が経ってそれでもなお新たな手配書が出てこなければ、残りの大聖堂を巡る旅を再開しても問題はないのかもしれない。

「さてと、とりあえず明日売る分の薬を作りましょうか……」

 情報収集のために町へ出かけるアイを見送った後にマーガレットはひとり、そうつぶやいてから森で収集した薬草を材料にして薬の調合を始める。

 こういった状況を想定してなのか、はたまた急なけがなどに対応するためなのかわからないが、アリス教授はこういった森の中においてどういった薬草をどのような組み合わせで調合すると、どのような効能を持った薬ができるのかということが掲載された辞典をマーガレットに託しており、そこには北部連邦にある薬草だけではなく、南部連邦などそれぞれの大陸の気候に合わせて薬の作り方が載っている。

 マーガレットはそれをもとに薬を作り、アイは街中で『エルフの知り合いの魔女が作った薬』として、それを専門の業者へと売り渡すという形で路銀と生活費を稼いでいる。一応、ここまで案内してくれた妖精は過剰に取らない限りは森のモノを収集しても構わないと言っていたのでこういったことが実現しているといった状況だ。

 マーガレットとしては魔法とは直接関係のない薬についての本にあまり興味はなかったのだが、ここぞとばかりに本を読み漁り、この本を託してくれたアリス教授に感謝をしながら日々薬の調合をしているというような状況だ。マーガレットは薬づくりについては本に頼らなければならない初心者なのだが、アイが言うには意外と薬の売れ行きは良く、割といい稼ぎになっているのだという。もしかしたら、エルフが売っているという点だったり、今となっては珍しい存在となっている魔女が作っているというあたりで受けているのかもしれない。

 そんなことを考えている間にも用意した材料分で終わる調合は終了し、マーガレットは薬を瓶に詰めてから台所で紅茶を入れて、一人森の風景を眺めながら一息つく。

「それにしても暇ね……アイにも負担をかけてしまっているし、早く状況が改善してくれればいいのだけれど……」

 ほかに話し相手がいない中、マーガレットの口からそのような言葉がこぼれる。もしかしたら、妖精のうち誰かが答えてくれるかもしれないが、妖精の数は意外と少ないらしくこういったときに答えが返ってくることはない。

 こうして考えてみると、以前に妖精の森に住んでいた人物というのはどういった目的でここに住んでいたのだろうか? マーガレットが見る限り、この家自体は見た目の割にはしっかりとしているし、広い空間も確保されている。ある程度の魔力を感じることもできるから、この家自体は魔法で作られているのかもしれない。

 今度、どこかで妖精に出会ったらこの家がいつから存在しているのか聞いてみてもいいかもしれない。

「マーガレット様。ただいまなのです」

 そんなことを考えていると、アイは一通りの用事を終えたのか家に帰って来る。

「おかえりなさい」

 マーガレットがそれを出迎えると、家の中は少しだけにぎやかになる。マーガレットは森で取れた木の実とアイが町で調達してきた食材で夕食を作り始め、アイはその手伝いをするといった光景が展開されるからだ。

「さてと。とりあえず食事をとりながら今日のことについて話を聞いてもいいかしら?」

「もちろんです。と言っても、あまり変化はありませんが……」

 そういった会話をしているころには夕食は出来上がり、マーガレットとアイはそれぞれ自分たちの分を食卓へと持って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ