表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女と汽車-人間の魔女とエルフの弟子-  作者: 白波
幕間9 アイと日記帳

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
56/75

幕間9-1

 ルーニアの町にある宿の一室。マーガレットがベッドに寝転がっているのを見ながらアイは今日の出来事を日記帳にしたためていた。

 そんな中でアイはふと考える。この行動にどういった意味があるのだろうかと……確かにアイとしてはマーガレットについてのことを記すことに関して不満があるわけではないし、むしろ依頼内容にこういったことが含まれていなくても進んでやっていたと思うのだが、なぜ匿名の依頼主はわざわざ日記帳も一緒に送ってきてここにマーガレットにかかわる事柄について書いてほしかったのだろうかという疑問だ。もしかしたら日記に何か仕込みがあるかもしれないと思ってしまうが、そのあたりについては深く考えない方がいいような気もする。

 もし仮にこの日記を通してマーガレットの行動が広く流出しているのなら問題になるのだが、何となくそういったことではない気がするのだ。最初、マーガレットに関する依頼を受けたときに書いてあった文言は『この人物を見守ってほしい』だった。もし、マーガレットを捕まえようとする勢力だったらそのような書き方はせずにシンプルに『この人物を捕まえてほしい』と書くだろう。実際、リモリアの町で手に入れた手配書も賞金付きでマーガレットを捕まえてほしいという内容だ。

 しかし、気になると言えば気になる。だが、この日記帳に『あなたは誰ですか?』と書いてみたところで答えは返ってこないだろう。

 そこまで考えてアイは小さくため息をつく。いったい自分は何を考えているのだろうかと。手元にあるのはページが自動的に増えるという機能はあるもののどこかにその内容を報告するという機能はついていないはずだ。なので、手元の日記帳を通してマーガレットの情報が外に漏れているということはないはずである。

「まぁ考えるだけ無駄ですね……」

 そう言って、アイはそのことに関して考えることをやめる。

「アイ。どうかしたの?」

 あまりにも考えている時間が長かったからか、はたまた先ほど口にした一言が原因なのか、マーガレットがアイに声をかける。

「あぁいえ。なんでもありませんよ」

 そう答えて、アイは再び日記帳に向き直る。

 そう言えば、マーガレットは聖書を集めきったときにどのような願い事を叶えてもらう気なのだろうか?

 前にも少し考えたことはあるし、マーガレットに直接聞いてみたこともあるが、その答えはいまだに不明である。今のところ、アイの中ではマーガレットの願いは長寿に関するものである可能性が一程度あるという結論に至っているが、仮にそうでなかったとしたらどうだろうか? これまで旅をしてきた中でマーガレットという人物を見てきたが、おそらく権力を手にしたいだとか、強い力を手にしたいだとかそういったことは望んでいないような気がする。どちらかと言えば、魔法を研究し尽くすために長寿を願うか、ストレートに魔法に関する知識が欲しいと願いそうな気もする。

 最も、マーガレットは聖書がそろうまでは願い事は教えないと言われてしまっているので、これはどこまで考えても推測の域を出ないのだが、もし仮に彼女が世界を相手取るような事態になった場合、自分はどこまでついて行けるだろうか? 聖書の願いがどこまでの範囲で願いを叶えてくれて、なおかつどのような代償を払うことになるのかわからないが、いずれにしてもアイができる限りマーガレットに付き添っていくことには変わりない。

 そこまで考えて、アイは日記帳を書く手を止め、窓の外へと視線を向ける。

 窓の外はすっかりと暗くなっており、夜空にはちらほらと星が見えているような状況だ。その風景を見ながら、アイは思う。考えてもわからないことはわからないので今考える必要はないだろうと……

 そう考えて、アイは再び日記帳に今日のことを記録し始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ