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魔女と汽車-人間の魔女とエルフの弟子-  作者: 白波
第9章 気分転換

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第42話

 ルーニアの町の中心部にある観光案内所。マーガレットたちはそこで受け取った観光者向けの地図を眺めながら、この町についての案内を聞いていた。

 受付担当の人によると、この町は海岸と崖に挟まれ東西に長く広がる『本土』と渡し船で渡ることができる『南島』に分かれており、町の至る所に自然が創り出した美しい風景や町の歴史を感じられる場所があるのだという。

 特に町の中心部にほど近い場所から渡ることができる『南島』はその数が多く、多くの観光客が訪れるそうだ。なので、観光をするのなら南島に渡って、島を一周するのがおすすめなのだとか。

 マーガレットたちは一通りの説明を受けてから観光案内所を後にする。

「なるほど……では、まずは南島への渡し船が出ている港へ向かってみようかしら」

「はい。そうしましょうか」

 そういった会話を交わしたながら、マーガレットは港へ向けて歩いて行った。


*


 南島へ向かう渡し船の中。マーガレットたちを含めて二十人ほどの乗客を乗せた船はのんびりとした速度で本土を離れて南島へと向かっていた。

「ただいま前方に見えてまいりますのが、私たちが目指している南島で……」

 船に乗ってから約十分ほど。船頭の後ろに乗っているガイドが徐々に近づいていく南島についての説明を始める。

「あれが南島か……」

「そうですね。思っていたよりも早く着きましたね」

 ガイドの説明を聞きながら、マーガレットたちは会話を交わす。聞こえてくる説明によると、南島はルーニアの南に広がるルーニア諸島で一番本土に近く、唯一の有人島なのだという。そんな南島は古くから漁業の町として栄え、現在もたくさんの漁師が住んでいるのだという。

「船が小さいのだから早くついてくれないと困るわ」

 現在、マーガレットたちが乗っている船は二十人の乗客でほぼ満席で、波は穏やかではあるもののそれなりに揺れている。

 安全面の方は大丈夫なのだろうが、あまり船に乗り慣れていないマーガレットからすればこの状況は少々不安に思ってしまう。最も、たとえ船が転覆しても魔法を使って何とか切り抜けられる自信はあるのだが……

 そんなことを考えている間にガイドの説明は終わり、船は南島の港へと到着する。到着してまもなく、下船の準備が整い、マーガレットたちは船員の指示に従って船を降りる。

「……ようやく着いたわね」

「いえ。あっという間だと思いますよ? もしかして、マーガレット様は小さな船が怖かったですか?」

「……そんなことないわよ。とりあえず、市場の方へ行って昼食をとりましょうか」

 船に関しては怖くなかったと言えばうそになるが、それを素直に認めるのはなんだか違うような気がする。そういったことは一旦置いとくとして、港に設置されている時計は昼時を示している。それを確認したマーガレットはアイと共に港の近くに併設されている市場へと向かっていった。


*


 市場で食事を終えた後、マーガレットたちは島の西側にある海岸を訪れていた。

 西の海岸は岩場に挟まれた砂浜で説明によると遠浅で凶悪な生物もほとんどいないため、海に入ることができるうえに夕方まで待てば綺麗な夕日を見ることもできるのだという。

 今日はこの島にある宿に泊まる予定なのでこのまま夕焼けを見てもいいかもしれないが、今回はこれとは別に見たい場所があるため、砂浜に沿って整備されている道をゆっくりと歩いて行く。

「きれいな景色ね……」

「そうですね。せっかくだったらちょっと泳ぎたいぐらいです」

 確かに現在の気温は少し高めで水に入ると心地いいかもしれない。実際に海の方を見ると、水着を着て泳いでいる人たちの姿もちらほらと見受けられる。

「まぁそういうのはまた別の機会にしましょうか」

「そうですか? こんなな気温なんですから少しぐらい水浴びしたいですけれど……」

 不満そうな表情を浮かべるアイの頭をマーガレットは優しくなでる。

「別に水浴びがしたくなったら、いつでも水を出す魔法で水をかけてあげるから安心してちょうだい」

「いや、そういう意味で行っているわけじゃないんですけれど」

 そういった会話をする頃には二人は砂浜の横を通り抜け、岩場に作られた会談へと差し掛かっていた。

「さて、目的地まであと一息ね。早くいきましょう」

「はい。わかりましたよ」

 アイは不満そうな表情を浮かべたままだが、マーガレットはそのまま彼女の手を引いて島の南側にある目的地へ向けて歩いて行った。

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